大統領に就任して約1年半。すっかり定着した感があるトランプ米大統領のツイッターが最近、さらに存在感を強めています。とりわけ北朝鮮をめぐる情勢は、最新メッセージがツイッターに投稿されるやいなや、各国のメディアが速報で流すといった状況。今回は、激動の「いま」を同時進行で体感する「トランプ砲」解読のコツをお伝えしましょう。歴史を動かす「リアル英語」を味わえます。「金正恩」の英語スペルは?過激なメッセージや突然の重大発表で世間を驚かす「トランプ砲」。すっかり慣れきってしまった私たちですが、そもそも大国のリーダーが政府やメディアを介さずに、「直接SNSで重大発表をする」ことは異例中の異例です。おそらく、歴史上始まって以来のことでしょう。SNSをフォローさえすれば、世界中の誰もが「ダイレクトに」「リアルタイムで」大統領の発表に接することができます。内容の良し悪しは別にして、たった140文字で世の中を動かす「トランプ砲」は、英語のダイナミックさを体感できるツールです。ここでは、「トランプ砲」で「リアル英語」を楽しむ5つのコツをご紹介します。(1)登場人物の英語名を知るまずは、見落としがちなポイントから。突然ですが、北朝鮮の金正恩委員長や中国の習近平国家主席の英語名を書けますか?漢字の「習近平」は読めても英語表記は知らない人が多いでしょう。主要な登場人物の名前は英語表記で覚えて、スペルを見ただけでピンとくるようにしておきましょう。○北朝鮮情勢をめぐる主要な登場人物KimJongUn:金正恩(キム・ジョンウン)MoonJae-in:文在寅(ムン・ジェイン)XiJinping :習近平(シー・ジンピン)※( )内は英語表記の発音この3人は、昨今の「トランプ砲」によく登場します。XiJinping氏は、北朝鮮ニュース以外にも貿易関連の話題などで登場します。恥ずかしながら、私は英国BBCラジオでよく耳にしていた「シー・ジンピン」氏が、「シュウキンペイ」氏と同一人物であることにしばらく気が付きませんでした(笑)。(2)よく登場する「敵」を知っておくHillaryClinton:ヒラリー・クリントンPresidentObama:オバマ前大統領トランプ米大統領は、よほどこの二人がお嫌いなのでしょう。何かにつけて、「オバマの時代は最悪だった」とか「だからヒラリー・クリントンは選挙に負けた」と引き合いに出します。「それに比べて俺は偉大だ!」と主張するのがお決まりのパターン。とりわけクリントン氏に関しては、「crookedHillary」(悪徳ヒラリー)と、名前の前に「crooked(悪徳な、ねじ曲がった)」という形容詞を毎回のようにつけているほどです。「トランプ砲」でボキャブラリーを増やす!(3)よく使われる「短縮ワード」を覚えておくnytimes:ニューヨークタイムズ紙Dems:民主党員。Democratsの省略形政敵である民主党や(トランプ氏は共和党)、何かにつけて批判を繰り返すニューヨークタイムズ紙などもよく登場します。「敵」に対しては「短縮ワード」を使うのが「トランプ流」なのでしょうか。(4)ネガティブ投稿や自画自賛ネタはスルーするトランプ大統領は、多い時は1日に10本以上ツイッターに投稿します。そのすべてを読む必要はありません。政敵や気にいらない人を非難する罵詈雑言、必要以上に自己アピールをする自画自賛ネタは、読んでも得るものが少ないのでスルーしてしまいましょう。どの投稿をスルーするかの判断は、下記を参考にしてみてください。・写真付きの投稿はスルーする・「敵」の名前が出てくる投稿はスルーするパターンとしては、支援者や著名人と並んでポーズをとっている「記念写真」は自画自賛ネタのケースが多いです。また、「Obama」「nytimes」など「敵」の単語を含む投稿は、ほとんどの場合がネガティブな内容です。よほど興味がなければスルーしてもいいでしょう。(5)先に、日本のニュースを読む先に日本のニュースで基礎知識を仕入れてから英文を読むとすんなりと内容が理解できますし、わからない単語の意味も憶測できます。オススメは、「日本でニュースになった投稿だけを読む」方法です。北朝鮮をめぐる動きや車や鉄鋼の関税に関する話題などは、トランプ大統領がツイッターに投稿するやいなや日本のニュースで紹介されます。その投稿だけ「トランプ砲」で英文を読む。これで十分です。日本でニュースになった時だけチェックすれば、ポイントを逃さずに「リアル英語」を満喫することができます。北朝鮮と「生産的」な対話、英語では?英語のボキャブラリーを増やしたい人は、ニュースで気になったことばを書き留めておき、ツイッターで英単語を確認する習慣をつけましょう。「『後退』は英語でなんという?」「『生産的な』の英単語は?」を繰り返すうちにボキャブラリーが増えて、旬のネタを英語で話題にできるようになります。ちなみに、「後退」は「setback」、「生産的な」は「productive」です。 それではここで、「今週のニュースな英語」です。最近、「トランプ砲」で頻繁に目にする「productive」(生産的な)という形容詞を使った表現を学びましょう。ビジネス英語の基本ワードです。たとえば、「トランプ砲」ではこのように使われていました。WearehavingveryproductivetalkswithNorthKoreaaboutreinstatingtheSummit.(我々は、北朝鮮と首脳会談の再開について、とても生産的な対話を行っている)・productive:生産的な、有効な・reinstate:元に戻す・Summit:首脳会談Thediscussionswereproductive.(議論は実り多かった)Themeetingwasveryproductive.(会議は非常に成果があった)Thisisourmostproductiveplant.(わが社で最も生産的な工場です)名詞の「productivity」(生産性)も一緒に覚えておきましょう。Takingshortbreakscanimproveyourproductivity.(短時間の休憩をとると生産性があがるよ)何かとお騒がせな「トランプ砲」ですが、使い方によっては「productive」(有効)なツールになります。みなさんもちょっと、のぞいてみてください。(井津川倫子)
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