2018年 12月 13日 (木)

戦争にテロ...... 怖い怖い地政学リスク 株価急落で泣かないための心構え(小田切尚登)

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   トランプ氏が米大統領になって以降、国際政治の動きが加速している。日本では何と言っても北朝鮮そして中国の動向が気になるところだが、世界ではそれ以外にも色んな問題が山積している。欧州ではBREXIT(英国の欧州連合からの離脱)やイタリア問題などがあるし、中東はイランやイスラエルを中心に今も目が離せない。

   地理的条件が国家に与える影響を分析することを地政学と呼ぶ。地政学は株式相場にどのように影響を与えるであろうか?

   今回はこの極めて重要であるが、あまり分析されていないテーマについて考えてみたい。

  • ああぁ…… 株価急落
    ああぁ…… 株価急落

地政学と株価動向の関係

   戦争やテロが起きると、その直後に株式相場が下がることが多い。これは当然ことであろう。世界情勢の変動は、市場の不確実性を増すことになるからだ。

   あるいは地政学的事象によって、我々は世界の不確実性を再認識する、と言ってもいいだろう。投資家は不安を感じたらとりあえず株を売っておく、というようなリスク回避の行動を取りがちである。そのため株価は押し下げられる。

   しかし、たいていの場合、その後の短期間に株価はV字回復する。戦争やテロの惨禍を受けても、人々の努力によって再建が進み、正常な経済活動が再開するためだ。

   短期的な地政学的な変動は中長期的な企業収益にはあまり影響することがないということである。なかには、株価がすぐには回復せず何年にもわたり低迷するような例もあるが、それは世界大戦あるいは世界恐慌と呼べるような超弩級のケースに限られるとみられる。

   実際に株価がどのように反応したかについて近年の代表的な地政学的な6つの事象を例にして見てみよう。

   英国の欧州連合(EU)離脱(2016年)、米リーマン・ブラザーズの経営破たん(2008年)、9.11米国同時多発テロ(2001年)、アジア通貨危機(1997年)、湾岸戦争(1991年)、ブラックマンデー(1987年)である。

   このうち直後の株式市場にマイナスの影響が出なかった事例が2つあった。湾岸戦争とリーマン・ショックである。湾岸戦争の場合は、米国の参戦によりむしろ事態が早めに収拾するという見方が当時支配的だったためだと考えられる。また、リーマン・ブラザーズ経営破たんのすぐ後はほとんど反応がなかったが、当時はリーマンの破たんが金融危機の火ダネになるとはまだ思われていなかったためであろう。

   そして、事件後1か月、3か月、6か月が経つと、直後には大きく下げた相場も回復していくというのが一般的な展開である。英国のEU離脱、9.11米国同時多発テロ、アジア経済危機は、その後に当初の下げを相殺して余りあるだけの大幅な上昇を記録した。

   唯一、リーマン・ショックに端を発する金融危機は数年にわたり世界経済を停滞させる大事件となった。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ、60歳。
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