2021年 5月 14日 (金)

【新連載】志摩力男のFX運命の分かれ道 イタリアは「対岸の火事」ではない!

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日本でも起こり得る、大規模な量的緩和政策の副作用

   なぜなら、ポピュリスト政権側が主張する政策は、すべて財政支出を大きく拡大するものばかりです。財政を拡大すると、当然債券の価格は下落します。債務返済の意思がないとみなされれば、債券価格は大きな下落に見舞われる可能性もあるのです。

   しかし、ECBの量的緩和政策があれば、すべては抑え込まれます。だからこそ、ポピュリストは台頭できるのです。

   ポピュリスト政権側にもっと責任ある政策を推し進めるように自覚してもらわないといけません。もしかしたら、5月29日のイタリア債の急落はポピュリスト政権側に自覚を持ってもらうための意図的演出だったのかもしれません。

   また、それは国民の側にも自覚してもらいたいというメッセージだったかもしれません。ユーロにとどまりながら、財政を大幅に拡大することは両立しません。どちらかを選びたいなら、どちらかを捨てなければなりません。イタリア国民のユーロ支持は7割ですが、同時に「五つ星」「同盟」を6割の方が支持していますが、矛盾があります。

   同じことが日本にも起こる可能性があります。イタリアで起こったことは、大規模な量的緩和政策の副作用です。量的緩和政策で市場を無理矢理に押さえつけていたからこそ、やめるときに大きな市場変動をもたらしたのです。また、限界に近い政策で危機を押さえつけているために、危機を危機として自覚してない人たちがたくさんいます。

   日本は世界で最も悪化した政府債務を持ちます。普通の国であれば、国債価格は暴落しているでしょう。そうならないのは、「黒田日銀」がデフレ克服の名のもとに、大量の国債を購入しているからです。

   それなのに財政を拡大しなければならないだの、消費税引き上げは延期すべきなど、いろいろな声があります。驚くのは、消費税引き上げは将来世代のためでもあるのに、自民党の若手グループが消費税引き上げ反対というのは解せません。

   日銀が長期国債の金利をゼロ%近辺で抑え込む政策をとっているからこそ、何も起こりませんが、その歪みが何かの拍子に表に出てきたらどうなるのでしょうか――。そうさせないために、少しずつ日銀は軌道修正していますが、コントロールに失敗したとき、イタリアで起こったことと同様、もしくはもっと悪いことが日本に起こる可能性はあり、我々はそれに対して備えなければならないと思います。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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