2020年 8月 9日 (日)

仕事とプライベート「どっちが大事?」 それが愚問になる時代がやって来る(城繁幸)

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   「仕事よりプライベート優先」という若者が6割を超えたとの内閣府の調査結果が話題となっている(「2018年版 子供・若者白書」6月19日公表)。前回調査より10%増とのことなのでトレンド自体が変化したと言ってもいいだろう。

   これをもって「若者の意識が変わった」と感じている人も多いだろうが、変わったのは彼らを取り巻く環境のほうだというのが筆者の見方だ。いい機会なのでまとめておこう。

  • 若者の6割が「仕事よりプライベートが優先」
    若者の6割が「仕事よりプライベートが優先」
  • 若者の6割が「仕事よりプライベートが優先」

変化したのは雇用を取り巻く環境

   終身雇用や新卒一括採用に代表される「日本型雇用」はかなり特殊な雇用形態で、新人は具体的な業務内容や勤務地なども未定のまま一律の初任給で採用され、以後も会社都合による全国転勤や残業を一方的に受け入れねばならないなど、会社側の強い人事権が認められている。

   要するに、圧倒的に「仕事>プライベート」が大前提となっているわけだ。

   もちろんメリットもあり、定年までの安定した長期雇用が保証され、一律の初任給からスタートしても40歳以降は十分な出世、昇給が約束されることになっていた。だから、プライベートを犠牲にする価値は十分にあったわけだ。

   だが、21世紀の現在はどうか――。厚生労働省の調査によれば、すでに大卒50代の過半数が非役職者であり、年功序列は形がい化してしまっている(賃金構造基本調査)。また、大手企業であっても、早期退職や追い出し部屋を使ったリストラは珍しくない光景となった。

   ちょっと想像してみてほしい。あなたが今年の新人だったとして、入社してみれば、職場にバブル世代のオジサン平社員がたくさん飼い殺されていて、給与のベースアップもないから昇給も40過ぎで頭打ち状態。そんな状況で「幹部候補になりたかったら毎晩21時までは席にいろ。35歳までは地方支店まわって実績を積み上げろ」なんて上司に言われたらどう思うか。

   「そこまでして会社のために働きたいとは思わない。自分のプライベートを大事にしたい」と考える人がほとんどではないか。変わったのは若手の意識というよりも環境であり、戦犯はモチベーションを惹きつけることのできなくなった人事制度というべきだろう。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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