2018年 10月 23日 (火)

その56 夫人同伴外交 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   2018年7月、西日本を襲った豪雨が被害を広げているとき、10日付の朝日新聞に「行くのかい おてて繋(つな)いで この最中」という、読者の読んだ川柳が載った。

   「おてて繋いで」とは安倍晋三首相と昭恵夫人のことである。首相は11日から18日まで欧州・中東を訪問することになっていた。同じ10日付の朝日新聞には「批判懸念 異例の外遊中止」「豪雨対応に万全期す」という記事も載った。緊急の用件もなかったようだから、中止は当然のことだろう。

  • 2018年4月17日、米国での夕食会の前、ドナルド米大統領夫妻と庭を散歩する安倍首相夫妻(朝日新聞の紙面から)。
    2018年4月17日、米国での夕食会の前、ドナルド米大統領夫妻と庭を散歩する安倍首相夫妻(朝日新聞の紙面から)。

かなりの公費が使われる

   それはそれとして近年、外遊の行き帰りに「おてて繋いで」あるいは腕を組んで、政府専用機のタラップを上り下りする安倍首相夫妻をよく見かける。

   緊急性が乏しくても、安倍首相の外遊には特に反対はしない。外交は大切である。でも、昭恵夫人をしじゅう連れて行くのは、いかがなものであろうか。当然、かなりの公費が使われることだろう。

   私たちはたとえ安倍氏を支持していなくても、議会制民主主義のもとで彼を首相に選んでしまっている。しかし、昭恵さんをいわゆる「ファーストレディー」に選んだつもりはない。晋三氏と昭恵さんが夫婦であるのは、全く私的なことである。

   それなのに、夫の公的な外遊に、私的な間柄の妻がなぜついていくのか。もし、妻がいたことで、日本国民に何か素晴らしいことがあったのなら、それも許せる。しかし、寡聞にして、そんな話は聞いたことがない。

   外国の首脳はよく妻を伴って外交の舞台に現れる。日本もそうしないと変に思われる――との主張があるかもしれない。でも、そんなのは放っておけばいい。夫人同伴外交はまるで「妻」が「夫」の従属物のように見える。日本にはそんな習慣はありません。そう言えば済むことではないだろうか。

昭恵夫人は「トラの威を借るキツネ」のよう

   ここまでは「夫人同伴外交」と書いてきたが、正しくは「伴侶同伴外交」かもしれない。欧米の女性の首脳は夫とともに外交の場に現れるようだ。かつては英国のサッチャー首相、最近ではドイツのメルケル首相なんかは、サミット(主要国首脳会議)に夫を連れて来ていた。この場合は「夫」が「妻」の従属物みたいである。

   ここまでは安倍首相をやり玉に挙げてきたが、夫人同伴外交は何も彼が始めたわけではない。古くは1961年に池田勇人首相が夫人を伴って訪米しているし、夫人が表に出たがらなかった田中角栄首相は娘さんを同伴していた。

   だが、安倍首相の場合、「弊害」も目立つのではないか。つまり、夫人同伴外交を続けていると、昭恵夫人は「トラの威を借るキツネ」のように、自分が偉いと思い込み、森友学園の「名誉校長」になったりしてしまう。そして、これが不祥事に発展していく。

   首相も夫人も「公私」のけじめをはっきりとさせてほしい。「おてて繋いで」も、私的な場合に限ってもらいたいのである。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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