2018年 9月 22日 (土)

その61 公共施設の「外来語風」の名前 「こんなものいらない!?」(岩城元) 

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   僕の住む市に3年ほど前、1700席の大ホールなどを備えた立派な「複合施設」ができた。県と市が共同で造ったもので、地上5階、地下2階。多目的ホールや会議室、県税事務所、教育事務所、市民相談室なども入っている。

   それはそれでいいのだけど、気に食わないのは、その施設の「ウェスタ○○」という「外来語風」「和製英語風」の名前だ。なお、○○は市の名前なのだが、自分が住んでいる市にケチをつけるのも気が引けるので、名を伏せた。

  • 本来の「公共職業安定所」よりも「ハローワーク」のほうが大きな顔をしている。(東京・池袋で)
    本来の「公共職業安定所」よりも「ハローワーク」のほうが大きな顔をしている。(東京・池袋で)

「ウェスタ○○」って、何だ?

   〇〇市の説明によると、この施設はJRや私鉄の駅の西口にあるので、まずは「WEST(西)」、そして、さまざまな市民活動がここから始まるという意味の「START(スタート)」を組み合わせた造語だそうだ。

   でも、なんで、公共施設にこんな名前をつけるのだろうか? 

   この施設は正式には県側が「△△県西部地域振興ふれあい拠点施設」、市側が「○○市文化芸術振興・市民活動拠点施設」だが、これではさすがに重苦しいので、「ウェスタ○○」という愛称をつけたようだ。それにしても、分かりにくい呼び名である。ダサくても「○○県民&市民会館」あたりでもいいのではないか。

   駅の東口にも市の複合施設があって、図書館や多目的ホールなどが入っている。施設の名前は「クラッセ○○」だが、この「クラッセ」って、なんだろう? 管理人のおじさんに尋ねると、「私には分かりません」。市役所の担当課に電話すると、すぐには分からず、「少々、お待ちください」。しばらく経ってから、「ドイツ語で、素晴らしいという意味だそうです」と教えてくれた。

本名「職安」よりも愛称「ハローワーク」が大きな顔

   わが家の近くにも別の複合施設がある。建物の上部に「メルト」と大きく書いてあって、その下にやや小ぶりで「○○西文化会館」とある。で、メルトって何? 事務所で尋ねると、女性職員が手元の資料を見ながら「MELT 和らぐ心」といった意味です、と解説してくれた。

   英和辞典を引くと、MELTは(1)(熱や水で)溶ける、溶かす(2)気持ちを和らげる(3)気持ちが和らぐとあった。歌の名前にもある言葉だが、原子炉の炉心溶融をMELTDOWN(メルトダウン)と言う。考えようによっては、メルトは怖い名前でもある。

   以上のような話は全国どこにでもあるだろう。そして、その中でもっとも知名度が高いものの一つが「ハローワーク」ではないだろうか。公共職業安定所の愛称で、僕には意味不明ながら、もう30年近くも使われている。

   わざわざ和製英語風の愛称をつけなくても、昔からある略称の「職安」で十分だと思うのだけど、役所としては、それはおイヤらしい。ハローワークと言うと、明るい感じがして、職安が繁盛するとでも思っているのだろうか。

   でも、役所が節操もなく、外来語風、和製英語風の名前に飛びつくのは、日本人としていささか恥ずかしい。仮にも日本の役所なのだから、もう少し日本語を大切にしてほしいのである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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