2018年 10月 23日 (火)

退職を認めない上司とどう付き合うべきか? 去り際を「キレイ」にする辞め方(城繁幸)

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   深刻化する人手不足を背景に、退職をなかなか認めようとしない会社の話を方々から耳にするようになった。実際、筆者のもとにもそうした相談が寄せられることもある。

   確かに、ただでさえ新規採用が難しい状況で戦力となっている社員に辞められたら困る。会社側のそんな気持ちはわからないではない。とはいえ、出資者でも何でもない従業員が会社の事情に付き合う義理もない。両者の落としどころはどうあるべきか。いい機会なのでまとめておこう。

  • 後先考えずに辞めると……
    後先考えずに辞めると……

とりあえず就業規則を確認しよう

   素直に民法の規定によるなら、正社員なら2週間前までに退職の意思を伝えれば問題なく退職は可能だ。なので、「2週間後に退職する。それから有給も消化するから実質的に出勤するのはあと1週間」という対応もできなくはない。

   ただし、ひと呼吸おいて、会社の就業規則に目を通してみよう。きっと退職の申し出について「〇〇日前までに申し出ること」と明記されているはずだ。その数字は会社によるが、1か月程度というのが一般的なように思う。

   その数字こそ、会社が退職者に対して、後任のアテンドや引き継ぎ完了までにかかるであろうと想定しているリアルな数字ということになる。

   だから、その数字を基本として上司と交渉するのが筋だと筆者なら考える。「どうしてもあとひと月待ってくれないか」と頼まれれば事情をヒアリングし、できる範囲で譲歩すればいい。「就業規則にはひと月前までとあるけど、先方から3週間後に入社してほしいと言われています」という場合は、その旨をきっちり伝えてお願いしてみるべきだろう。

   そうした交渉すら認めないという上司なら、無視して人事部を窓口に退職手続きを進めて構わない。引継ぎまでの期間を浪費して困るのは上司自身だが自業自得というものだ。

   たまに就業規則に「3か月前」「半年前」といった極端に長い期間を明記している企業もあるが、そうした場合も一般常識に照らして、ひと月を軸に交渉すべきだろう。

後先考えずに仕事を放り出してきた人材を人事部は評価しない

   それでも、中には「2週間前の申し出でOK」という事実も、有給休暇が労働者の権利である点も法律で決まっているのだから、「2週間後に退職します、でも明日から10日間ほど有給とりますね式の辞め方もアリだ」という人もいるかもしれない。

   実際にそれで損害賠償請求されても裁判では勝てるだろうし(普通は忙しいからその程度のことで)、そもそも普通は裁判すら起こさないだろう。

   ただ、もし何かの機会にそうした事実を次の職場となる、新会社の人事が知れば、そういう行為をけして快くは思わないはずだ。

「就業規則に〇〇日前までと明記してあった以上、それを受け入れたうえで就労してきたはず。なのに最後になってそれを破り、十分な引継ぎを行わずに出ていくとは...... この人はしょせんその程度の人材なのだろう」

   そうした評価を後々まで背負って働くくらいなら、せめて就業規則に明記されている時期程度は引き継ぎ、次に余裕を持ったほうがよいというのが筆者のスタンスだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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