2018年 10月 22日 (月)

彷徨う為替市場、次の大きなテーマはなにか?(志摩力男)

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   トランプ米大統領は、対中経済制裁第3弾を発動。中国製品2000億ドルに対して10%の関税引き上げを決めました。

   2019年には25%に引き上げられます。それに対して、中国側も対抗措置として米国製品600億ドルに対して5~10%の関税引き上げを決定しました。ついに、貿易戦争が本格的に始まりました。

  • 次の為替相場はどう動く?
    次の為替相場はどう動く?

貿易戦争は今後20年続く?

   しかし、為替市場の反応は予想外に「リスクオン」(投資家がより高い収益を目指してリスクの高い資産に資金を振り向ける状況。反対がリスクオフ)の様相。株価は上昇し、米国金利も上昇、円高も進まず、豪ドルなどは買い戻されました。

   多くのエコノミストが「市場の反応は間違っている」「市場は過度に楽観的になりすぎている」...... などのコメントを発信しています。「噂で売って、事実で買う」という市場の典型的な動きもあるのでしょうが、米国株が下がらないので、市場全体がリスクオフの方向に流れないのでしょう。

   2018年は2月にVIXショート(VIXは恐怖指数のこと。市場暴落の気配が漂ったときに急騰。数値が高いほど危ないとされる)のファンドが爆発し、米国の株式市場も荒れたのですが、それ以降は至って静か。着実に米国株は上昇しています。最大の理由は、トランプ政権による税制改革で、米企業の収益力が格段に上昇したこと。そして、いわゆるリパトリ減税(海外子会社の資金を本国に戻したり、海外の資産を売却したりする「レパトリエーション」に際して、その金額に課される法人税の税率を下げるなどの減税措置)によって海外に滞留させてきた利益が米国内に戻っており、企業の多くが自社株買いとして還流しているのでしょう。

   貿易戦争という大きなテーマが始まりました。中国・アリババの創業者であるジャック・マー氏によると、この貿易戦争は今後20年続くようです。

年後半、円相場の動きは......

   しかし、為替マーケットは今ひとつ動きません。このままだと、年間最低レンジ幅を更新しそうな状況です。では為替マーケットの、次の大きな材料は何があるのでしょうか。

   すぐに思いつくのは米中間選挙です。しかし、これを為替マーケットの材料とするには少し「苦しい」。トランプ政権、トランプ政策の是非が問われるのでしょうが、トランプ政権下で為替市場は動きませんでした。

   トランプ氏自身は低金利でドル安志向なのでしょうが、それがあからさまな形で為替市場に反映されることはありませんでした。よって、共和党、民主党のどちらが勝ったとしても、大きな変化はなさそうです。

   現状の予想では、下院は民主党が勝ちそうですが、上院は1/3のみ改選なので、民主党が共和党に勝つのは難しい。よって、もっとも有り得そうな結果は、下院が民主党、上院が共和党という結果です。上院と下院が割れれば、選挙後は法案を通すことは難しくなるでしょう。

   もう一つ考えられるのは、BREXIT関連です。英国がどのような形で欧州連合(EU)を離脱するのかで、こちらのほうはマーケットが動きそうです。

   「合意付きの離脱」となれば、その合意内容にもよりますが、市場はポジティブに感じるでしょう。ポンドは少し上昇するはずです。ポンド円で2~3円程度でしょうか。反対に、「合意なしの離脱」となれば、マーケットは大荒れ必至です。ポンド円で5円、タイミング次第では10円ぐらいの動きになりそうです。

   一方、貿易戦争が始まっても円高にならなかったのですから、やはり将来的には円安になる可能性のほうが高いのではないでしょうか。日本の経常収支の黒字は大きいですが、M&Aなどのフローは着実に出ており、インターネットでは円売りのほうが大きく感じます。

   2018年後半は円安方向の動きに注意したいと思います。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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