2018年 10月 23日 (火)

狙っていた武田薬品株を買いそびれ 判断が鈍った、そのワケは......(石井治彦)

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   しまった! 気がついたときには手遅れだった――。欧州製薬大手で英国に上場するアイルランドのシャイアー社の買収発表で揺れ動いた武田薬品工業の株価。武田株はこのM&A問題で、2018年6月19日に1株4203円の年初来安値をつけたが、直近(過去4か月)の株価は4300~4700円で推移していた。

   これはチャンス到来とばかりに、買いのタイミングを計っていたのに...... 嗚呼、なんたるチョンボ。ショックだ。

  • ショック! 買いそびれた武田薬品株(写真はイメージ)
    ショック! 買いそびれた武田薬品株(写真はイメージ)

M&Aで「時間を買う」

   この数か月、ずうっと武田株を狙っていた。会社四季報最新銘柄レポート(9月12日号)に、武田薬品工業は「大型薬特許切れによる業績低調からの再生めざし、2008年の米ミレニアム社、11年スイス・ナイトコメッド社、16年の米アドリア社などの大型買収で、グローバル化を急展開した」とあるように、積極的なM&A(企業の合併・買収)を繰り返してきた。

   2014年以降は、フランス人のクリストフ・ウエバー社長が経営を舵取り。消化器系や中枢神経系、がんなどに研究開発を絞込み、米国に重点シフトするなど研究開発の改革も推進した。希少疾患薬で世界首位のシャイアー社の巨額買収でも、「時間を買う」方法を選んだ。ウエバー社長が目指す方向性が、明瞭に見てとれると強く感じたからだ。

   シャイアーの買収で、武田薬品の売上高は1兆7370億円(会社四季報最新版 2018年4集秋号)となり、世界のトップ10入り。ビッグファーマの仲間入りを果たし、日本初のメガファーマ誕生となった。

   それにもかかわらず、株価はさえない。しかし、その理由もはっきりしている。

   (1)近年、慢性疾患治療薬の開発がほぼ一巡したため、新薬メーカーは、がんや認知症、希少疾病向けなど難易度の高い領域でしのぎを削っており、研究開発費が膨らむ状況にある。そうした状況の中で、武田薬品の2019年3月期の決算予想は減収・減益が見込まれている。原因は、国内薬価改定による利益の下押しと資産売却益の減少によるものとされる。

大型M&Aで有利子負債は4兆円超に

   また、(2)シャイアー社のM&Aで必要になる「7兆円」はあまりに巨額で、会社四季報最新版(2018年4集秋号)によると、武田薬品の年間売上高は1兆7370億円、時価総額は3兆6961億円。今回のM&Aに必要な7兆円は、年間売上の4.03倍。時価総額の1.89倍にのぼる。今回のM&Aの規模が、いかに大きいかがわかる。

   さらに、(3)7兆円の買収資金の調達で、「武田薬品は(買収資金の調達による)財務の悪化を抑える狙いで、買収提示額の約7兆円のうち3兆9000億円相当(武田薬品の時価総額相当)は新規に発行する自社株で支払い、残りの3兆1000億円は現金で支払うことにした。その現金支払いの資金は、銀行から借り入れる」(2018年4月26日付の日本経済新聞)ことにした。

   武田薬品は過去の大型M&Aにより、17年末時点で約1兆1000億円の有利子負債を抱えている。今回のM&Aで、それが4兆円超に膨らむ計算になる。自社株の活用を組み合わせても、「財務への影響が一定程度出てしまう」とも記していた。

   たしかに、現状の武田薬品はなお、世界トップのロシュ(スイス)の売上高、5兆円8842億円との差が大きく、またM&Aは売り上げ増を志向した前向きなものとはいえ、現実には過大な借入金と増資に伴う株式の希薄化が懸念されている。

   こうしたことがマイナス評価につながっているが、それにしても、あまりに過小評価しすぎではないか!

9月末の配当落ち後を狙ってみたものの......

   武田株を、株価チャートで10年月足の価格帯別出来高をみると、4700円辺りに5000万株弱、4900円辺りにも3500万株ほどの大商いがあり、株価の頭を抑える形になっている。してみると、6月19日の4203円が当面の底であったようにみえる。

   2019年3月期第1四半期決算(18年4~6月)を無事通過し、ひとまず落ち着きを取り戻したようだ。これはチャンスではないか――。長年、株式投資をしていても、今回のような機会はなかなかめぐり合うことはできない。

   そんな武田株を3900~4500円台で入手できればと考えていたが、9月に入ってからの株価動向を見ると、9月10日の4363円を底に、14日に4700円に乗せた後、26日には4870円の高値をつけている。

   株価チャートでは、4900円をクリアするようだと、その先は青天井にもみえる。そんなことで、9月26日、月末の配当落ち後を狙って4600円で買いを入れてみたが、不成立。さすがに、300円近くも落ちることはなかった。

   「買い」の判断を鈍らせたのは、日米の貿易摩擦。どうしても4500円台で買いたかったこともあり、休み明け(22~24日)の日米摩擦がこじれる。焦る必要はないと考えた。読み間違えた。

   残念だが、今回は買いのタイミングを逸したのかもしれない。(石井治彦)

2018年9月28日現在    保有ゼロ
年初来高値 2018/1/10   6693円00銭
年初来安値 2018/6/19   4203円00銭
直近 終値 2018/9/28   4861円00銭

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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