2018年 10月 23日 (火)

その64 首長選挙、党派を隠す「無所属」での立候補 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   2018年9月30日に投開票があった沖縄県知事選挙では「無所属」の玉城デニー氏が、やはり「無所属」で対立候補の佐喜真淳氏を破って当選した。

   ところで、同じ無所属だけど、2人の立場はかなり違っていた。玉城氏は直前まで「自由党」の衆議院議員だったし、佐喜真氏は若い頃に「自由民主党」に入っている。しかし、今回の知事選挙には、2人とも「無所属」で立候補した。

  • 玉城デニー氏の沖縄県知事選挙当選を伝える2018年10月1日付の朝日新聞朝刊。候補者は4人とも無所属だった。
    玉城デニー氏の沖縄県知事選挙当選を伝える2018年10月1日付の朝日新聞朝刊。候補者は4人とも無所属だった。

いささか「ずるい」 票欲しさに信念曲げる? 

   そのうえで、佐喜真氏は自民党、公明党、日本維新の会、希望の党の推薦を受けた。なかでは、自民党の力の入れようは並大抵ではなかった。菅義偉官房長官や小泉進次郎・筆頭副幹事長(当時)が繰り返し沖縄を訪れ、佐喜真氏のそばで応援演説に努めた。

   自民党は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を推進する立場である。ただ、無所属の佐喜真氏はそれへの賛否を最後まで明らかにしなかった。賛成して票が逃げるのを恐れたからだろう。

   一方、辺野古への移設に反対する玉城氏には、立憲民主党の枝野幸男代表や自由党の小沢一郎代表ら野党の幹部が応援に駆けつけた。しかし、玉城氏と街頭ではほとんど並ばなかった。佐喜真氏と同じ無所属ながら、玉城氏はさらに党派色を消す作戦を徹底した。

   でも、玉城氏にしろ、佐喜真氏にしろ、本来の党派を覆い隠して無所属で戦うというのは、有権者から眺めて、いささか「ずるい」のではないだろうか。

   まるで「仮面」をかぶっているみたいで、票欲しさに自分の信念を曲げているようにも見える。

「無所属」は票が集まりやすい

   いや、何もご両人だけを責めているのではない。

   知事、市長、区長、町長、村長といった首長の選挙では今や、無所属で立候補するのが当たり前である。特定の政党の公認を受けると、他の政党支持者の票が回ってこない。無所属だと、各党相乗りの推薦・支持も受けやすい。そんな思惑があるようだ。

   首長というものは、国会議員とは違って特定の政党に偏らず、広い立場ですべての住民に奉仕すべきであるから、無所属が望ましいとの説もある。

   一応はもっともな意見だと思う。ただし、今までどの政党・党派にも属したことのない人がそれを言うのなら、納得できる。でも、今はびこっているのは、無所属を名乗ったほうが、票が集まりやすそうだとの「ご都合主義」ではないだろうか。

   「自分はもともと○○党員だから、票欲しさから無所属で出るなんて卑劣なことはしたくなかった。そこで、○○党の公認で立候補した。しかし、当選した暁には党派に偏らない政治を行うつもりだ。○○党の支持者でない人も、ぜひ自分に投票してほしい」。首長選挙で、これぐらいのことが言える、腹の座った候補者が出てこないものだろうか。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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