「恐怖指数(VIX)」――。野村證券のホームページによると、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500指数を対象とする30日間のオプション取引のボラティリティを元に算出して公表している指数をいう。将来の投資家心理を示す数値として利用されており、一般的にVIXの数値が高いほど、投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされている。株式相場の先行きに大きな不安が生じた時には、この数値が大きく上昇する傾向がある。VIX投資はよく調べてから「VIX」はvolatilityindex(ボラティリティ・インデックス)の略。ボラティリティ(変動率)が上昇するとき、つまり相場の急変動(ほとんどの場合、暴落時)で上昇する経済指標である。下のグラフは、過去30年間の推移チャート(2018年11月1日付)だ。(出典:macrotrends.net) チャートをよく見てほしい。VIXは過去に何度も急騰している一方、下限となる水準がある程度決まっていることがわかるだろう。通常、VIXは「10」から「20」のあいだで推移することが多いが、「10」を割り込むことはほとんどないといわれる。もしVIXが上昇すると思えば、VIX先物を買うことができる。ただ、多くの日本人投資家にとってのハードルは、海外(米国)に証券口座を開かなければ取引できないことだ。また、実際にVIX先物を取引しようとすると、短期間に大きな変動がなければ、高い確率で損するという問題点もある。もっとも、日本国内の証券会社も、VIXと連動する上場投資信託(ETF)などの金融商品を取り扱う会社は存在する。しかし、それらの多くは連動型投信で、VIX先物に対して一方的に不利か、手数料があまりに高いことがある。VIXという名前のついた類似商品でも、一定期間VIXが上昇しなければ利益となるような、まったく別の種類の金融商品も存在する。それぞれの金融商品の仕組みとリスクを調べたうえで、納得のいくものだけに投資する必要がある。VIXは、それ自体の上昇を狙って取引するよりは、経済指標として用いることが多い。VIXが急騰した時期は、政治的または経済的な事件が起きていて、株価の急落を伴っていることがほとんどだ。また、VIXが高値を付けた日から、なかなか10から20という通常の水準に戻ってこない場合、世界的に深刻な金融危機が起きている可能性が高いと言えそうだ。以下は、過去の主要な高値を記録した日付と出来事である(VIXが高値を記録した日は、引き金となった出来事が発生した日と多少ずれがある)。1990年8月23日 イラク軍クウェート侵攻1997年10月28日アジア通貨危機1998年10月8日ロシア財政破たん2001年9月21日米国同時多発テロ2002年7月24日米エンロン粉飾決算2002年8月5日米ワールドコムが経営破たん2003年3月12日 イラク戦争勃発2008年9月18日米リーマン・ブラザーズが経営破たん2008年10月24日 米リーマン・ブラザーズの破たんを発端とする世界金融危機(この日、VIXが史上最高値となる89.53を記録)2010年5月21日ギリシャ財政破たんの懸念2011年8月9日 米大手格付機関スタンダード&プアーズが米国債を格下げ2011年10月04日 ギリシャが財政破たん危機2015年8月24日中国株(上海総合)バブルが崩壊2018年2月6日原因不明の米国発世界同時株安また、過去の主要な安値は以下となっている。1993年12月27日8.892006年11月22日9.812007年 1月24日 9.872017年 7月26日 8.842017年11月3日8.992017年11月24日8.56(史上最低値)2018年1月4日8.92VIXを使えば、世界中の投資家の心理が把握できるといっても過言ではないだろう。(ブラックスワン)
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