2018年 12月 19日 (水)

世界の仮想通貨市場から消えた「80兆円」 そのインパクトは!?(志摩力男)

印刷

   このところ仮想通貨が値下がりしています。コインマーケットキャップ・ドット・コム(coinmarketcap.com)によると、仮想通貨の時価総額は2018年1月のピークから7000億ドル(約78兆9000億円)減少したことになります。

   それでも、仮想通貨の値上がりが加速した2017年1月の値段が10万円を少し超える程度であったことを考えると、まだ4~5倍の値上がり益があることになります。

   ただ、2017年12月の高値が200万円超であったこと、その時の仮想通貨全体の時価総額が100兆円を超えていたことを考えると、影響は小さくありません。

  • 仮想通貨市場が急落、80兆円が消えた!
    仮想通貨市場が急落、80兆円が消えた!

日本の実体経済への影響はGDPの0.8%

   実体経済に及ぼす影響を考えたとき、含み益は大きいですが、含み損の影響はもっと大きい。なぜなら、利益は放置できますが、損失は放置できない場合が多いからです。

   それを補填する経済行動が出てきます。利益の出ているものを売って穴埋めする、預金を減らす、消費を抑える等々です。

   世界経済全体から見れば80兆円は微々たるものですが、仮想通貨における日本人のシェアを一般的に言われている10%ぐらいとするならば、日本においては8兆円が消えたことになります。

   ただ8兆円とはいえ、安い値段で初期の頃から買っている投資家にとって影響はほとんどないでしょう。

   問題があるのは、タレントの出川哲朗さんのコマーシャルが流れた頃、つまり仮想通貨を高いところで買ってしまった投資家の方々です。そのインパクトが、8兆円の半分の4兆円ほどとするならば、日本の国内総生産(GDP)の0.8%程度です。決して小さくはない数字です。

では、その損失はどのような影響を日本経済に与えているのでしょうか――。それはおそらく、仮想通貨を取引する個人投資家が同様によく取引していると推測される、個別中小型株に影響を与えているのではないかと思われます。 事実、東証マザーズやJASDAQは今年1月を高値に結構下げており、現時点でマザーズは年初来23%の下落、JASDAQは13.5%下落しています。日経平均株価の下落が5%程度であることを考えると、際立っています。

仮想通貨と同様の下落をしている市場は世界中にある

   じつは東証マザーズなどの日本の小型株に限らず、仮想通貨群と同様に年初にピークを迎えたマーケットは多くあります。欧州株や中国株、韓国株などで、かなりのマーケットが年初にピークを迎えています。

   理由はさまざまであり、仮想通貨の下落が影響しているとは思われていませんが、半導体の売り上げがピークを打ったことや、米中貿易戦争、そして米連邦準備制度理事会(FRB)が今年着々と利上げをし、米長期金利が3.2%にも達したことが大きかったのだと思います

   我々はどうしても、非常に強い米国経済に目が行ってしまいますが、世界全体を見ると景気のピークは、じつは2018年の初めだったとも言えるかもしれません。

   仮想通貨の暴落と同時に、米国を除く世界経済全体も転換を迎えていたとなると、来年以降のマーケットは決して楽観できるものではなくなっているものと考えます。ベア・マーケット(下げ相場)を如何に取っていくか、それが来年、2019年のテーマでしょう。(志摩力男)

キャプション
志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
公式サイトはこちら
今すぐ無料会員に登録して、コメントを書き込もう!

注目情報

PR
J-CAST会社ウォッチ会員向けセミナー
しごとの学校
  • ついに第1号か!? GDPR違反で巨額制裁金 課される企業はあの......

  • 追悼
    J-CASTニュースをフォローして
    最新情報をチェック
    電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中