毎日何かとニュースになる政治家の方々ですが、今回、私が記憶に残ったニュースは、サイバーセキュリティー戦略本部の担当大臣である桜田義孝五輪相の、これまでご自身でパソコンを利用したことはない旨の発言でした。ウィンドウズ95の登場でパソコンの利用が企業で一気に広がりました。それに伴い、多くのビジネスパーソンはパソコン教室に通いワードやエクセル、パワーポイントなどの操作を習得しました。そんな中で時代の変化に追いつけなかったビジネスパーソン、また確たる信念のもとパソコンはやらん!と決めた方もいらっしゃるでしょう。部下から「アナログおじさん」と名付けられ......ひと昔前まで会社のパソコン操作に苦戦していると周囲から冷ややかな目で見られたものです。部下から陰のあだ名「アナログおじさん」などと名付けられ、操作方法を部下に聞きたくても聞きづらい。だって「部長、こんなの簡単ですよ。ほら、こうしてこっちへドラッグして、そしてここをクリックしたらできるじゃないですか」と、隣でサクサク操作方法を教えてくれる(教えているつもり)のだが、当の本人はマウスがカチカチ言って、画面がコロコロ変わるのを見ているうちにでき上がりで、何をどうしたらこうなったのかさっぱりわからない......。でも、また聞いたら上司としての権威が下がっちゃうよ......。さて、近年はというと学校を卒業したての若手社員が、パソコンスクールに通うケースも多いようです。学校でパソコンの授業はありますが、スマホでほとんどの用事が足りる現代は、パソコンを使用する機会が減りました。結果、就職してから会社のパソコン操作に苦労するようです。すると、上司が部下である彼らに、「若いのにパソコンも使えないのか」「パソコンくらい使いこなせなくてどうする!社会人失格だぞ!」などと小言を言ってしまうこともあります。ひと昔前と立場が逆転してしまいました。言われたほうは「プレッシャー」このように、パソコンやインターネットなどのITスキルが不足する人をバカにするような発言をする嫌がらせを「テクハラ=テクノロジーハラスメント」と呼んでいます。パワーポイントの操作が苦手な人に、「今日中にプレゼンの資料を作成しておいてくれよ。他社に負けないよう、見せ方も工夫するんだぞ」と指示したり、上司への報告で、「それはクラウドの〇〇に置いてありますから解凍してみてください」と言えば、言われたほうにとってはプレッシャーです。自分のほうが相手よりもITスキルに優れているという、優越感に浸るために他人を笑うというのは、良識ある大人の行為とは言えません。苦手なことやできないことを無理にやらせても効率が悪いだけでなく、相手からも恨まれ、人間関係がギクシャクします。もちろん覚える努力をすることは大切ですが、周囲も努力をしている姿を認め、教える時にはわかりやすく丁寧に教えるよう心がけましょう。(篠原あかね)
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