2021年 1月 26日 (火)

【IEEIだより】福島・双葉町レポート(その1)土地を売れない人々(越智小枝)

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「売らない」という選択

   現在双葉町の5平方キロメートル、大熊町の11平方キロメートルの区域が中間貯蔵施設建設予定区域に指定されています。双葉町だけで東京ディズニーランド10個分になります。

   今のところ、この中間貯蔵施設の中身は30年後にはすべて福島県外に出す、と決められています。そのため、区域内の神社仏閣は基本的に残されるそうです。

   この区域に自宅が含まれた場合の対応には、3通りしかありません。

「売る」
「貸す」
「売らない・貸さない」

   10年以上定住したことのない私は、30年間も住めない土地なのだから売ってしまうのが普通なのでは、と安易に考えてしまいました。しかし実際には土地を売らない方も多いとのことです。それはどういう方なのでしょうか。

   一つには、国や東京電力に対する抗議行動として土地を売らない、という人がいます。しかしHさんに話をうかがったところ、ことはそれほど単純な問題ではないようです。

「この町は1000年以上の歴史があります。旧い家では、数百年先祖代々が守ってきた土地を手放すわけにはいかない、という方も多いんですよ。特に本家の長男などは、土地を手放せば分家や親族の方々からの非難も避けられません」

   縄文時代からの人の営みが続いてきたこの町には、神社仏閣以上に長い歴史を持つ家が残っています。その土地の持ち主からすれば、30年などという「短期間」住めない、というだけで土地を手放すわけにはいかないのでしょう。外から来た人にはこの事情をなかなかわかってもらえない、とHさんは苦笑します。

「首都圏の方からは、『どうせ住めないんだから早く売ればいいのに』『お前らが復興を邪魔している』なんてプレッシャーをかけられることもあります。土地を売ったらご先祖様に申し訳が立たない、という気持ちは理解してもらえないこともありますよ」

   そして土地を手放した方もまた、決してお金目的ではなく「自分たちが犠牲にならなければ町や福島県などの復興が進まない」という苦渋の決断をしていることも知ってほしい。それがHさんの願いです。

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