2019年 7月 17日 (水)

GW10連休、景気押し上げに力足らず かえって「迷惑」な人々は?

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   新天皇が即位する2019年5月1日が祝日扱いになったことに伴い、今年のゴールデンウイーク(GW)は、4月27日から5月6日まで10連休。参院選を控えての消費喚起や、改元に応じた和暦システムの更新に資することなどを考慮した措置とされる。

   産業界では、観光やレジャー業界、小売業界などで関連消費の大幅アップが予想され、景気への刺激も期待されているが、その半面、10連休がマイナスに働く可能性も指摘されている。ホントのところはどうなのだろう――。

  • 5月1日「改元初日」はお祝いムード一色に!(写真は、皇居)
    5月1日「改元初日」はお祝いムード一色に!(写真は、皇居)

旅行関連消費は前年比28.9%増

   ビジネスパーソンにとって長期休暇は、夏季や年末年始でもせいぜい5日間~1週間程度。「10連休」は異例の大型休暇になる。すでに旅行各社の海外ツアーでは予約が増えていることが伝えられている。

   ニッセイ基礎研究所が1月21日付で公表したレポートによると、2018年は4月末の3連休と5月初めの4連休に分割されていたが、19年は4月30日~5月2日の3日間が休日となって消費機会が増えるほか、5月1日の「改元初日」の効果が期待される。皇居のある東京への旅行動機につながることなどから、今年のGWの旅行関連消費は、前年比28.9%(3323億円)増の1兆4824億円に膨らむ見込みという。

   天皇が退位して上皇となり、新天皇が即位して改元されるなど、相次いで行われる皇室行事をめぐって、日本文化や歴史に関心が高まることが考えられ、レポートでは、古都・京都や奈良への国内旅行の需要の喚起も予想する。

   影響の程度を、年始の一般参賀が参考に検討。今年は前年比22.1%増と大幅な伸び率を記録、合わせて15万4800人が入場。急きょ、お出ましの回数を増やされて対応するほどだった。

   こうした現象は「新旧天皇への国民の関心の高まりを反映した」もので、皇居・乾通りの一般開放に入場者が殺到したことなどを合わせると、「多くの人が2019年には旅行需要が刺激されそうだと直感できる」としている。

祝日の増加は景気にむしろマイナス

   とはいえ、10連休で旅行業界などの景気はよさそうなものの、ほかの業界は休暇で稼働を停止し、こちらもまた異例の長期にわたって生産が止まる。ニッセイ基礎研究所の経済調査室長、斎藤太郎氏は、景気の押し上げ効果は旅行など一部の業種に限られたもので「日本の経済全体としては祝日の増加がむしろマイナスに働く可能性が高い」とみている。

   斎藤室長は、経済産業省の「鉱工業指数」「第3次産業活動指数」「全産業活動指数」などの経済指標をもとに、季節、祝日を考慮した独自の算出法で生産量を試算。休日が1日増えた場合の生産量の増減率を業種別に割り出したのだが、それによると、祝日が多くなると生産量が増えるのは、0.83%アップの「生活娯楽関連サービス」の1業種のみ。そのほかは軒並みマイナスで、なかでも創業日数が減る「鉱工業」はマイナス0.95%、第3次産業の「金融業・保険業」ではマイナス0.98%と減少率が高かった=下図参照

(提供:ニッセイ基礎研究所)
(提供:ニッセイ基礎研究所)

   「医療・福祉」についても、マイナス0.71%と減少幅が大きいが、これは「土日・祝日が休診となる病院が多く、10連休の悪影響が懸念されていることを裏付ける数字とみることもできるだろう」という。

   「生活娯楽関連サービス」のアップ率は0.83%と比較的大きいのだが、全産業に占める割合はわずか8.5%。このため経済全体に及ぼす影響は限定的にならざるをえず、景気全体を押し上げる効果はなく、済活動全般が対象の「全産業」での祝日が1日増えた場合の生産量の変化はマイナス0.41%だった。

旅行意欲はあっても気になることが......

   もともと斎藤室長は、祝日を増やした結果アップする消費支出に依存した景気後押しに懐疑的で、今回の調査でその持論が裏付けられたとしている。

   また別の調査では、官製による一斉休暇で景気にブレーキがかかっている気配もうかがえる。10連休で伸びが期待されている旅行関連支出について、旅行会社のエアトリが2018年10月に行った「GW10連休に関するアンケート調査」によると、

「めったにない機会なので海外旅行でもと考えたが、価格がとても高く断念」
「長期連休はどこも混雑するし、旅行するにも費用が高いので、自宅でリフレッシュ」

   など、旅行意欲はあるものの、混雑や価格の面で断念する人もいることがわかった。

   斎藤室長は、景気全体への好影響を目指すなら、企業内で休日を順番でとりやすくする方策がベターという。生産力のためには、「休み方」を考えた働き方改革が必要なようだ。(松本良一)

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