2019年 9月 24日 (火)

「繁盛店」は何をしていて何をやっていないか(気になるビジネス本)

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『いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか』(大久保一彦著)ぱる出版

   飲食店経営についてインターネットで調べると、約35%がオープンして1年未満に閉店―などという調査結果がひっかかり、その道が平坦ではないことが分かってくる。

   その一方で、半年先、1年先まで予約が満杯という超人気グルメ店も珍しくないという。その「明暗」は、ネット文化が浸透したことの副産物。SNSなどでの評価をモニターするかしないか、情報発信するかしないか......。デジタル時代の飲食店経営にとっては、このあたりが成功か失敗かの分かれ道になってくる。

  • 飲食店の名店が軒を並べる都内の繁華街。繁盛店にも不人気の店にもそれなりの理由があるという
    飲食店の名店が軒を並べる都内の繁華街。繁盛店にも不人気の店にもそれなりの理由があるという

カリスマコンサルによる「評価アッププログラム」

   経営コンサルタントの大久保一彦さんは、飲食店チェーン数社で勤務したのち、「とんかつ新宿さぼてん」などを運営するグリーンハウスに転じ、同ブランドの低コストオペレーションの仕組みをつくり上げ、多店舗化を成功させた。

   その後、独立。さまざまな飲食店経営会社でブレーンとしてアドバイスする一方、食に関する口コミサイトやSNSの研究をはじめ、その検証作業が発展して、飲食店や宿泊施設の評価アッププログラムとしてサービスを提供するようになったという。本書『いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか』は、そのプラグラムを書籍化した。

   「プログラムを実践する店は、繁盛店へと成長するとともにさらにお店にとっては有益な『副産物』を生み出した。それは、離職率が低く、従業員も集まりやすい店へと変わったという点」とあるから、飲食店を始めようと考えている人にとっては必読の一冊といえる。。

「食べ歩いて発信」がレジャーに

   インターネットが広まり始めた当時は飲食店をめぐっては、グルメサイトへの投稿がブームになったがまもなく、専門業者の"暗躍"が指摘され注目度が低下。その後、SNSが爆発的に広がり、飲食店の感想や料理の写真を知人間で競うようにアップすることが当たり前のようになり、店の成り行きを大きく左右するようになっている。

   スマホの進化と普及で、利用者(消費者)は、食べ歩きレポートをするうえで機動力を備えるようになった。著者は「食べ歩いて情報発信することがレジャーになっている」とみている。その結果、初めて来た客が店を気に入ったとしてもリピーターとして定着することが少なくなり、昨今は「新規客の再来店率が極端に下がっている」状態なのだ。

   「店舗商売は、繰り返し来店で人間関係を築き、相互の関わりを通じて共に成長することにその素晴らしさがある」と著者。だが、なじみになって、その顧客だけを大事にしていれば順風満帆というわけではない。初めて来た客には再来店や、店にとってプラスになるような情報発信を促すもてなしを忘れてはいけない。本書に収められているのは「1年で客の評価がうなぎのぼりになる6つのステップ」。そのプロセスは、初めての客を魅了しリピーターのなじみ客に変え、その顧客の口コミが店の実力になるという流れ。

やってはいけないこと

   開店にあたっては必ず用意するのは「看板商品」。それも「『この料理を食べにこの店に行きたい』と思わせる商品設計が必要。口コミや評価が高まれば、ネット検索で来る新規客らの不安をなくすことができる。客に「おすすめは」と聞かれて「全部」と答えるのはNG。「食べ歩き」がレジャーになっている昨今、客はおすすめ料理を食べてみて再訪価値を判断しがちという。そうした期待に応えていない「全部」というレスポンスは客をシラけさせるだけなのだ。

   注意喚起のためのお知らせも、客をシラけさせる可能性大という。たとえば、こんな貼り紙。「車上荒らしが多発しています。当店の駐車場で起こった事故には当店は一切責任は負いませんので、お客様ご自身でお気をつけください」。法律的に責任を負わないで済むかどうかは別問題として、こんな注意書きは、客を突き放した印象を与えるばかり。従業員も責任感が低くなって店員ら定着しないことになり、その結果「よいサービスができなくなるという負のスパイラルになる」と著者は警告している。

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いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか
大久保一彦著
ぱる出版
税別1400円

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