お休み増えて、残業減って...... それで働きやすくなるの?(気になるビジネス本)
2019.03.21 15:00
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手付かずだった時間外労働の「上限」
労働基準法は、1947年(昭和22年)の制定。賃金や労働時間、休暇などの労働基準の最低基準を定めており、これまで87年(昭和62年)に週の法定労働時間が48時間から40時間になるなど、改正されてきた。
ところが、時間外労働の法定上限については労使の意見の対立が続き、手付かずのまま時間が経過。それが「働き方改革」でようやく、制定以来70年を経て初めて改定された。
1970年代後半、それまでの高度成長期の「副産物」ともいえる、長時間労働の原因とみられる「過労死」問題が表面化。88年に弁護士や医師らが長時間労働について電話で相談に応じる「過労死110番」が設けられると相談が殺到した。
この動きに掘り起こされる格好で「過労自殺」が取り沙汰されるようになり、過労死問題はさらに広がった。国際的にも注目されるようになり2002年には「karoshi(過労死)」が「世界最大」とされるオックスフォード英語辞典に新単語として登録されたほどだ。
長時間労働の解決のため、これまで法定労働時間の改正が行われるなどしてきたが、「時間外労働」については法的な上限はない状態が続き、過労死問題はじつは根本的な解決策が講じられないままだった。
ここ数年でも、大手広告代理店や、東京五輪関連の施設の工事を請け負った建設会社で、社員が長時間労働が原因とみられる過労自殺で亡くなり、大きく報道された。