2019年 9月 19日 (木)

「やる」と決めたら愚直にコツコツ イチロー選手が教えてくれた「一流」になる条件(大関暁夫)

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   米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が、日本で行われた2019年の開幕シリーズをもって28年にわたる現役生活に終止符を打ちました。

   日本のプロ野球で9年間、米大リーグで19年間。常に第一線で活躍を続け、前人未到の通算安打の世界記録4257安打、最多試合出場記録3563試合という超人的な活躍を続けてきた、間違いなく賞賛に値する稀代の大選手であると言えるでしょう。

   また、今回はその引退の潔さに、改めて感心させられもしました。イチロー選手の姿勢には経営者が学ぶべきことが多々見えるので、そんな観点で今回はこの話題を少し取り上げてみたいと思います。

  • 目標に向かってコツコツと!
    目標に向かってコツコツと!

一日も欠かさずルーチンワークを続ける

   まず何より注目したいのは、イチロー選手のいわゆるルーチンと言われる、毎日しつこくしつこく同じことを繰り返すという努力姿勢です。

   毎日やると決めたことは、どんなに調子がよくても手を抜かず、あるいはどんなにスランプで絶不調であっても諦めず続けるということ。「愚直」という言葉がピッタリくるこの姿勢。驚くことに、2018年5月3日付でマリナーズ会長付特別補佐という試合には出られない肩書きになって以降も、一日も欠かすことなくルーチンワークを続けてきたそうです。

   私は常々ビジネス万能の法則として「成果の法則」、すなわち「成果=知識・情報量×行動量」を念頭においた行動のすすめを提唱しています。

   これは、何事も知識と情報を蓄えたうえで行動量を着実に増やせば、成果は絶対についてくるという理論です。特に行動量の増やし方に関して最も効果的な方法は、日々愚直に繰り返すということ。イチロー選手はどのように自分を鍛え、どのような技術を身につけたらいいのか、たゆまぬ研究と情報収集に注力し、作り上げた彼のルーチンワークを、とにかくコツコツと愚直に愚直に継続していくことで前人未到の記録を次々築き上げた、まさに「成果の法則」の手本なのです。

   経営者がここから学ぶべきは、やると決めたことを積み重ね実践することの重要性です。たとえば、業績が伸び悩む場面にぶち当たったならば、営業方法を工夫しそれを営業担当全員に日々愚直にやらせるとか。社内のコミュニケーションの流れが悪くギスギスした雰囲気を感じたならば、社長自身がコミュニケーションの中心に立って、社員一人ひとりの意見を聞きそれに答えるといった行動に、毎日一定時間を割いてみるとか。社員の残業がなかなか減らないならば、毎日毎日、意識が定着するまで定時退社を声かけするとか。

   せっかく前向きな施策を思い立っても、それが成果につながらない原因の大半は、それを続けないこと、すなわち成果が見えないからと簡単に諦めてしまうことにあるのです。

ドラフト4位のイチロー選手が「超一流」になれたワケ

   「愚直に続ける」ということは、会社の風土改善、会社の施策浸透、社員の教育と、あらゆる面で成果を生み出すために大変重要なことなのです。イチロー選手は、確かにプロで通用するだけの才能は持って生まれてきたのかもしれません。しかし彼は入団時点ではドラフト指名4位という、プロ選手としてごくごく普通レベルの評価に過ぎなかったわけです。

   そんな入団時は「プロで一流選手なるにはちょっと足りない」状況にあった彼を、球史に残る超一流選手にまで押し上げたものは、毎日愚直に続けたルーチンワークに他ならないのです。

   「継続は力なり」という言い方もあります。何か足りない点や問題点があったなら、知識と情報を駆使して改善策を考え、それを徹底して愚直続けること。イチロー選手はその大切さを、身を持って教えてくれていると、改めて思うところです。

   もう一つ、イチロー選手の行動から経営者にご理解いただきたいのは、今回の引退と向き合った姿勢です。

   前述のように彼は2018年5月以降、会長付特別補佐という試合には出場できない肩書きを与えられ、そのままシーズンを終えました。勘のいい野球ファンは、「ていのいい引退勧告か」「イチロー選手の引退は近い」と思ったことでしょう。彼は以前から「最低50歳まで現役を続ける」と公言していました。球団から会長付特別補佐の肩書きを与えられ、試合から遠ざけられた段階で彼は44歳。まだ目標にまで6年を残していました。

過信やおごりが判断を鈍らせる

   もし、イチロー選手が会長付特別補佐の肩書を与えられた段階で現役にこだわるなら、その肩書を拒否し、自由契約を選択して他球団への移籍を模索することもできたでしょう。大リーグでの現役継続が難しいなら、日本に戻って年俸を下げてでも現役を続ける道もあったかもしれません。

   しかし彼の決断は、球団の申し入れを受け入れることでした。報道によれば、近年著しく落ち始めた彼のパフォーマンスによほどの改善が見られない限り、来シーズン(2019年シーズン)の日本での開幕シリーズをもって引退するということが、すでにその段階で提示されていたそうです。

   かくして、イチロー選手は今シーズン開幕2試合を、日本でプレーしての引退発表となったわけですが、注目すべきは自分の置かれた状況に対する客観性を失わない冷静な判断と潔い決断です。

   イチロー選手ほどの超一流選手になると、自己に対する過信やおごりから客観的に自分を見ることができなくなりそれが判断を誤らせることにもなるものですが、彼にはそれが微塵もなく客観的かつ冷静な判断をもって、美しく潔い引退を決断したと思います。

   これは経営者にも相通じる大切なことです。社長という組織内での絶対的地位に惑わされて、自分勝手な考えに固執しすぎたり、客観性を失ってしまったり。そんな経営者を私も何人も見てきています。会社を大きくできない、経営に対する求心力に乏しい、そんな会社では必ずや経営者の誤った独断専行があるものなのです。

   決めたことは愚直に続けること、客観性を失わないこと、潔く非を認めること、そして付け加えるなら経営者としての引き際も客観性をもって潔くすること。超一流スポーツ選手であるイチロー選手の引退に、ジャンルを問わぬ一流の条件を教えられる思いです。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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