2024年 3月 28日 (木)

【社長のオススメ】「いつも新しさが変わらない」ドラッカー「プロフェッショナルの条件」(気になるビジネス本)

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   【10連休は本を読む】経営コンサルタントから起業する側に身を置き換えて6年。書籍の要約サービスを事業とする「フライヤー」代表取締役CEO(最高経営責任者)の大賀康史さん。仕事柄、数々のビジネス書を読破してきたが、その中で、この春に新社会人となった人たちに薦める一冊について聞くと、ピーター・F・ドラッカーの「プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか」(ダイヤモンド社)を挙げた。

  • 重ねてきた読書歴の中から、社会人1年生へのオススメはドラッカーの「プロフェッショナルの条件」(フライヤーの大賀康史CEO)
    重ねてきた読書歴の中から、社会人1年生へのオススメはドラッカーの「プロフェッショナルの条件」(フライヤーの大賀康史CEO)
  • 重ねてきた読書歴の中から、社会人1年生へのオススメはドラッカーの「プロフェッショナルの条件」(フライヤーの大賀康史CEO)

原題「エッセンシャル・ドラッカー......」。

   「プロフェッショナルの条件」は、2000年7月刊。現代経営学の発明者とされ「現代マネジメントの巨人」と称されるドラッカーの著作を、初めて読む人のために、著作10点、論文1点からエッセンスを抜き出し、ドラッカーが自身で再編集したという。原題は「エッセンシャル・ドラッカー......」。ドラッカーの主張の本質を集めたものであり、大賀さんは「何度も読み返している」という。

   20世紀初めに日本の労働力人口の90~95%は、農民、家事使用人、工場や建設現場の単純労働者など肉体労働者で、その寿命は短く50歳に達するころにはほとんど働けなくなっていた。ところが、時代が進み知識労働者の割合が増え、その「平均寿命は、今世紀初めには想像しなかったほど伸びる一方、彼らの雇用主たる組織の平均寿命は着実に短くなっている」と指摘。ドラッカーは「これからはさらに短くなっていく」と予見し、終身制などの雇用慣行が変わっていくことを見通している。

   ドラッカーによれば、終身雇用は日本では1950~60年代にかけ制度化されたが、欧米で19世紀後半に誕生しており、50~60年代にはピークに達していたという。英米のほかドイツやスイスでも新卒で就職し会社に完全に帰属、定年まで働くものとされていた。日本の労働や雇用のスタイルは、この国独自かと思われていたが、じつは欧米各国の後を追っていたものだった。

   日本で終身雇用が制度化されたころ、この制度がピークの米国では「パーティーで会った人に何をしているかを聞けば『GEで働いている』『シティバンクにいる』など、雇用主たる組織の名前が返ってきた。当時のアメリカは、今日の日本と同じだった」。それがいまでは「税務をやってます」とか「ソフトウエアの設計です」というのが定番。「今日では日本においてさえ、若い人は同じ傾向にある」とも。

   現代、また、これからは企業の競争力は知識労働者、つまり、それぞれがプロフェッショナルである従業員に支えられるものになり、「雇用主たる組織の盛衰を決めるものも、一人ひとりの知識労働者である」と、ドラッカー。米国の知識労働者の割合は、本書によると40%。「2020年には、欧州諸国や日本もそうなる」と指摘する。

   「多くの箇所で示唆に富み、読み飛ばすところがない」と大賀さん。折に触れ、「自らをマネジメントする」のページを開くそうだが「いつ読んでも新しさが変わらない」という。将来に向かって「プロフェッショナル」を目指すべき社会人1年生にとっては、まさに格好の一冊といえそうだ。

「プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか―はじめて読むドラッカー【自己実現編】」
P・F・ドラッカー著、上田惇生編訳
ダイヤモンド社
税別1800円

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