【株と為替 今週のねらい目】米中貿易摩擦の出口見えず、株価2万1000円の攻防(5月27日~31日)

   米中貿易摩擦の長期化が懸念される中で、米国による中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除の動きが株式相場に悪影響を及ぼしている。加えて、英国では欧州連合(EU)離脱をめぐりメイ首相が辞任を表明するなどの政治リスクが高まっている。

   ユーロやポンドに対して米ドルや日本円は買われやすいものの、米中対立の出口が見えない状況で積極的なドル買いは手控えられそう。

   どうなる? 今週の株式・為替マーケット!

  • 米国のファーウェイ排除に株式市場は……(写真はイメージ)
    米国のファーウェイ排除に株式市場は……(写真はイメージ)
  • 米国のファーウェイ排除に株式市場は……(写真はイメージ)

東京株式市場 欧州の政治リスクの高まり懸念

日経平均株価予想レンジ:2万800円~2万1200円

2019年5月24日(金)終値 2万1117円22銭

   今週の日経平均株価は、2万1000円をめぐる攻防か。

   前週の日経平均株価は、米国政府が中国通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)との取引を事実上禁じる方針を打ち出したことが大きく影を落とし、米国株式市場の下落を引き継ぐように下落した。日経平均株価は反発に転じる局面もあったが、週間ベースでは3週連続の下落となった。

   今週の日経平均株価は、2万1000円をめぐる攻防となりそうだ。米国政府による米国市場でのファーウェイ排除の動きに加えて、米中貿易摩擦の先行き不透明感も相場に暗い影を落としている。

   そのうえ、米国と欧州の経済指標が市場予想を下回り、景気の減速懸念が強まっているほか、英国のメイ首相の辞任表明による欧州の政治リスクの高まりも懸念される。日経平均株価は、3週連続安となったことで反発も期待できるが、積極的に買い上がっていくほどの好材料も見当たらない。

   経済指標は、国内では28日に4月企業向けサービス価格指数、29日に黒田東彦日銀総裁発言、31日には4月の失業率・有効求人倍率、4月鉱工業生産、4月新設住宅着工戸数が予定されている。

   海外では、30日に米国の1~3月期GDP(国内総生産)改定値、31日には中国の5月製造業PMI(購買担当者景気指数)、米国の4月個人所得・個人支出などがある。

東京外国為替市場 ドルの上値重く......

ドル・円予想レンジ:1ドル=108円00銭~111円00銭

2019年5月25日(金)終値 1ドル=109円29銭

   前週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが弱含みで推移した。中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)問題や英国のメイ首相の辞任表明による欧州の政治リスクの高まり、欧米の景況感の悪化などで、ドル売り・円買いの動きが強まった。

   今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの上値が重い展開となりそうだ。米中貿易摩擦の出口が見えないことが、ドルの上値を抑えている。

   さらに英国のメイ首相の辞任表明により、英国の欧州連合(EU)離脱問題が欧州での政治リスクを高めている。

   このため、ドル円相場で積極的なドル買いは手控えられそうだ。注目は30日に米国の1~3月期GDP改定値と31日の米国の4月個人所得・個人支出。結果次第では、ドル円相場の材料になりそうだ。

   経済指標では、国内では31日の4月失業率・有効求人倍率、4月鉱工業生産、海外では、31日に中国の5月製造業PMIに注目したい。

(鷲尾香一)

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