2019年 12月 7日 (土)

年寄りほどオトクな年金制度 将来がないものに、そりゃあ若者は納めない(小田切尚登)

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   「年金が足りない」という話題が日本中を席巻している。

   この問題の発端となった金融庁のレポートには「夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり...... 不足額の総額は単純計算で 1300万円~2000万円になる」とある。

   日本の年金制度はダメなのか? とんでもない。日本の年金制度ほど素晴らしい投資はなく、高齢者の多くは公的年金のおかげで安定した生活を送っている。これに加えてパートなり運用などで月に5万円くらい足せば、豊かな生活が送ることができますよ......。これが今回の話の趣旨だと考えるべきだ。数字をもとに実態を分析してみよう。

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「現行」の年金、じつは儲かる!?

   まず、国民年金(老齢基礎年金)は、年78万100円を65歳から死ぬまで毎年支払われるというものだ。これをもらうため、われわれは月1万6410円の保険料を20歳から60歳まで支払う。

   40年分を合計すると787万6800円。つまり年金を10年間すなわち65歳から74歳まで受給すれば、ほぼトントンになるということだ。わが国の平均寿命は男性81歳、女性87歳なので、たいていの人は払った金額よりもずっと多くの金額をもらえる。

   じつは得するのはこんな程度の話ではない。実際に今の高齢者が払い込んだカネはもっとずっと少ないのである。たとえば、今65歳の人が20歳だった時(1974年)、国民年金保険料の振り込みは月額たった900円だった。

   その10年前は月額なんと、100円。高齢者は長年続いた日本の経済発展の果実を年金の形で得ているということだ。

   厚生年金保険も、国民年金以上に劣らず有利な投資だ。サラリーマンは毎月の給料の18.3%を保険料として天引きされるわけだが、半分は事業主が払うので、本人は9.15%を負担するだけで良い。加えてサラリーマンの専業主婦も保険料を一銭も払わずとも老齢基礎年金を受け取れる。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ、60歳。
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