2019年 11月 18日 (月)

海を越えた11歳の男の子の手紙 米アフラックCEOを動かす

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   がん保険大手のアフラックが小児がん患児を支援するために米国で開発したアヒル型ロボット「My Special Aflac Duck」が、このほど日本の小児がんの子どもたちにプレゼントされた。

   きっかけになったのは、かつて小児がんと闘った11歳の男の子から、同社のダニエル・P・エイモスCEO(最高経営責任者)に渡った1通の手紙だった。

  • My Special Aflac Duckと付属する7つのカード 撮影:稲垣正倫
    My Special Aflac Duckと付属する7つのカード 撮影:稲垣正倫

「TIME」誌が選んだ2018年トップ50の発明に

   アフラックは2018年から、米国でアヒル型ロボットのMy Special Aflac Duckを小児がんの子どもたちにプレゼントする活動に取り組んでいる。

   このアフラック・ダックは2016年、子どもたちの不安をやわらげるとともに、コミュニケーションのツールとして、アフラックと米国でロボットの設計、開発をするSproutel社が共同で開発した。周囲が大人ばかりの環境にあって、治療中の小児がんの子どもたちの中には、同世代の子どもたちと自由に遊ぶことができず、自分の感情を素直に表現するのが苦手な子もいる。そこで、症状が一時的に落ち着き安定した状態になってきたときに、感情をスムーズに表に出せるようにと、このアフラック・ダックをつくった。

   高さは約20センチ、一見ぬいぐるみのようだが、最新のロボット。やさしくなでると、ダックも応える。感情を表す7つの丸いカードが付いていて、ダックの胸元に当てると、その感情を表現する。子どもたちから周囲へ自分の感情を伝えることができる。やさしくなでると、ダックも応えてくれたり、音楽にあわせて踊ったり。ダックが居眠りをしたとき、尾羽をさわって起こしてあげることもできる。

   さまざまな機能を搭載した最新ロボットとして、米国で2018年のCES(Consumer Electronics Show=全米民生技術協会が主催する電子機器の見本市)で、「Tech for a Better World Award」に選ばれたほか、雑誌「TIME」誌が2018年トップ50の発明に選ぶなど、高く評価されている。

   小児がんの子どもが扱うため、開発には神経をつかった。米国で小児がんの子どもや医療関係者など100人以上の協力を得て、1年以上のテストを繰り返し、昨年から米国で小児がんと診断された3~13歳の子どもに無償で提供しはじめた。米国ではすでに3000羽が子どもたちに贈られている。

   そうしたなか、米見本市を紹介した記事を見て、アフラック・ダックの存在を知った男の子がアフラック生命保険(日本法人)の社長、古出眞敏さんに「日本でも早くMy Special Aflac Duckを」との手紙を出した。男の子はロボットのアフラック・ダックが米国の子どもたちにプレゼントされていると知り、手紙を書いたのだ。

   手紙は古出社長からエイモスCEOにも渡された。2019年5月22日に開かれたMy Special Aflac Duckの贈呈式に出席するため来日したエイモスCEOによると、米国での展開を踏まえ、日本でも2020年からの提供を検討していたが、それを1年前倒しした。

「手紙を読み、彼の気持ちに早く応えようと、日本での提供を前倒しすることにしました」

と、エイモスCEO。

   男の子の手紙が、エイモスCEOを動かしたのだ。

日本の小児がん、毎年約2100人

   毎年、日本では約2100人の子どもたちが小児がんと診断されているという(国立がん研究センター調べ)。子ども本人だけでなく、支える家族を含めた対応が求められるため、大人のがんとは異なる難しさが治療の現場では指摘されている。

   エイモスCEOは、

「小児がんは子ども本人だけでなく、その家族やまわりの人、コミュニティにもかかわってくるのが、大人のがんと大きく違う点です。米国では毎年約1万5000人の子どもたちが小児がんと診断されます(アメリカ小児がん協会調べ)」

と、話す。

   アフラックは米国で、1995年から「Aflacがん・血液病センター(アトランタ小児病院)」のスポンサーとなり、小児がん患児を支援している。エモリー大学とも協力し、全米トップクラスの質の高い医療を提供している。日本でも2001年に、自宅から離れた病院で治療を受ける子どもと家族がいっしょに宿泊できる施設「ペアレンツハウス」を設立。現在、東京と大阪に合計3棟あり、これまでに延べ13万人が利用してきた。

「もちろん、患児さんは無料です。費用の大半はアフラックの社員や代理店からの寄付で賄っています。施設は、ほかの子どもたちとコミュニケーションをとったり、親同士が悩みを語り合ったりする場としても活用されています。小児がんと闘う子どもたちやご家族に思いやりのある環境を提供したいという強い思いが、私たちのこうした取組みの源になっています」

   エイモスCEOは、そう説明した。

   さらに、がんで親を亡くした高校生や小児がんを経験したことのある高校生への奨学金制度の運営や小児がんの子どもと家族を支援する「ゴールドリボン運動」の推進など、小児がんをはじめとして、がんにかかわる社会貢献活動は、長年の取り組みであり、「アフラックの企業文化の一部となっています」と語る。

家族や地域とのかかわり重視、小児がん患児への支援続ける

   2019年5月22日、エイモスCEOから日本大学医学部附属板橋病院の子どもたちに、5羽のMy Special Aflac Duckが贈呈された。入院中の小児がんの4人の子どもたちに手渡されると、子どもたちはさっそくアフラック・ダックを抱きかかえたり、頭をなでたりとふれあった。

   最初こそ戸惑いぎみの子どももいたが、説明を聞いてさわってみると、ダックが反応するのに感激。ある男の子がMy Special Aflac Duckの胸元にスマイルのカードを当てると、ダックが「クワックワッ」と鳴いて喜びを伝えるのを見て、うれしそうにはしゃぐ場面もあった。

   この光景を、同席した親御さんや看護師も微笑ましく見つめる。縣美恵子看護部長は「大切に使わせていただきます」と話していた。

   日本の子どもたちにMy Special Aflac Duckが受け入れられたのを見て、エイモスCEOもうれしそうに笑った。

   アフラックでは今年、300羽を日本でプレゼントする予定。そのきっかけとなる手紙を書いた男の子の元にも届けられた。

エイモスCEOとMy Special Aflac Duckとふれあう子どもたち 撮影:稲垣正倫
エイモスCEOとMy Special Aflac Duckとふれあう子どもたち 撮影:稲垣正倫

アフラック生命保険株式会社
アフラック・インコーポレーテッド(会長兼社長兼最高経営責任者 ダニエル・P・エイモス氏)の傘下にある生命保険会社。 1974年11月、アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス(米ジョージア州コロンバス市)の日本支店として営業を開始。2018年4月2日に日本法人となり、社名を「アフラック生命保険株式会社」に。代表取締役社長は、古出眞敏(こいで まさとし)氏。


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