知り合いが「株でひと儲けした」といった類の話を聞いて、「自分も株を始めたい」と思ったことはあるだろうか?
実際、そうしたことがきっかけで株式投資や外国為替証拠金(FX)取引を始めた人は少なくないだろう。
しかし気になるのは、いったいどれくらいの投資家が利益を手にすることができるのか、という点だ。確かに、自分の周りに株で儲かっている人が多いように思われても、利益を上げている人は「勝っている」話をするが、損している人はあまり話したがらない。よくある話だがこれについて、いくつかの興味深いデータがある。
個人投資家向けアンケートでわかったこと
野村證券の「ノムラ個人投資家サーベイ(2015年10月号)」によると、個人投資家1000人を対象とした投資動向調査で、通算で利益あるいは含み益となっている個人投資家は、全体の9.3%で、29.1%が損得ゼロ、損失あるいは含み損をとなっているのは61.6%だったことが判明している。
つまり、株式の個人投資家で利益を上げているのは、全体の約10人に1人に過ぎない。また、この「ノムラ個人投資家サーベイ」によれば、個人投資家の約10人に6人は損をしていることがわかった。
一方、米国における調査では、利益を上げていた割合は11.5%で、18.5%は口座残高の変動がなく、残りの70%の投資家は損失を出していたとする統計もある。日本と同じく、米国も利益を上げる個人投資家の割合は約10人に1人に過ぎないようだ。
では、FXではいったいどれくらいの人が利益を上げているのだろうか―-。
残念ながら、それらに関する情報は国内の証券会社が正式に公表していることはそう多くはない。しかし、海外の証券会社の一部では、顧客の何パーセントが損失を出しているか、公表している。
今回、海外のFX業者で「損失となった」トレーダーの比率を公表している7社を調査して、下表にまとめた。
トレードの世界は「ゼロ・サム・ゲーム」
今回、ピックアップした7社のうちで、最も損失を出しているトレーダーの割合が高かった業者では90%、最も低かった業者でも54%と、半数以上のトレーダーが損失を計上していることがわかった。
7社平均では損失を出しているトレーダーは76%と、約4人に3人が損失を被っていることになる。なお、損失を計上していないとされる残りの約4人に1人も、口座開設してからまだ一度もトレードをしていない人も含まれるため、利益を上げているトレーダーの割合はさらに低くなる。
また、別のデータによると、デイ・トレードに限っていえば、利益を上げるトレーダーの割合はさらに低くなると言われている。
一般に、トレードの世界は「ゼロ・サム・ゲーム」とされる。つまり、誰かが利益を上げれば、その分、誰かが損をしているということである。
しかも、その中で最終的に利益を上げる人は、全体の半分よりもはるかに少ない。そんな厳しい世界だからこそ、これからトレードを始めたいと思う人、これからも利益を上げていきたいと思う人は、ほかの誰よりも万全を期して相場に向かう必要がある。
ときには、ほかの投資家とは違う行動を取らなければならないことがあるかもしれない。しかし大事なことは、利益を上げ続けるための最善策を取り続けることだ。(ブラックスワン)