2019年 12月 15日 (日)

ここがポイント! 副業OKでも、やってはいけないことがある

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   最近は、ランサーズやクラウドワークスのようなインターネット上で副業ができるようなサービスが増え、コンビニエンスストアや飲食店、道路の交通整理のような体力を使うアルバイトをせずにも、気軽に「副業」ができる世の中になっています。

   一方、副業禁止にしている企業も少しずつですが、減ってきているようで、お小遣い稼ぎに仕事終わりや休日に副業する人も多くなっているようです。

   そんな中で、副業に精を出しすぎてしまい、本業に支障をきたすような事象も増えているとのこと。こうした行為はどこまでなら許されるのか――。今回はそのあたりを、グラディアトル法律事務所の弁護士、北川雄士先生に聞きました。

  • 空いてる時間で「副業」してます
    空いてる時間で「副業」してます

「副業禁止」の法律はないけれど......

闘う弁護士先生

   そもそも、会社員の副業は違法ではないのか――。結論からいうと、法的には、労働者(会社員)が副業を行うことは自由であることが原則です。民間企業には、特に副業を禁止する内容の法律もなく、また勤務時間外の時間を、社員がどう過ごすかは、基本的に社員の自由といえるからです。

   ただし、副業を制限することを就業規則に定め、それが合理的な内容かつ労働者に周知されていれば、労働者は「労働契約の内容」として拘束されることになります。

   たとえば、合理的な内容の制限としては、下記のようなものがあります。

●競業する企業や関連する企業での副業

   競業企業や関連企業の副業をされると、本業の顧客データやノウハウなど機密情報が流用ないし漏洩され、本業の企業が損害を受けるリスクがあるからです。

●反社会的勢力のつながりが疑われているなどコンプライアンス上望ましくない企業での副業

   本業の企業の信用が失われるリスクがあるからです。

●本業の労務提供に支障をきたす副業

   たとえば、通常のフルタイムの本業の後に深夜遅くまで副業を行うことで、過労や寝不足などから、たびたび本業でミスを犯したり、遅刻・欠勤が増えたりすることは本末転倒だからです。

   なお、公務員については国家公務員法や地方公務員法で、一部の例外を除いて、副業は原則禁止とされています。

   もちろん、副業に関する就業規則の定めがない、言い換えれば、副業が基本的に許されている場合でも、信義則(当事者が相手の信頼に背かず誠意をもって行動しなければならないという原則)上の義務として制限されます。

社員には「職務専念義務」がある

   信義則上の義務とされている一つとして、「競業避止義務」があります。こちらは、先ほど説明した競業企業での副業は、やってはいけないということです。仮に副業に関する就業規則の定めがなかったとしても、労働者が在職中負うべき義務であるので、制限されることになります。

   また、「職務専念義務」(勤務時間中は労働の内容・遂行方法・場所などに関し使用者の指揮命令に従った労働を誠実に遂行する義務)があります。ですので、あくまで副業である以上、勤務時間中に副業を行うことは上記義務により制限されることになります。

   では、やってはいけない副業をすること以外で、懲戒処分を下される可能性はあるのでしょうか――。

   本業の労務提供に支障をきたす副業を行ったことで、懲戒処分を受けた判例をいくつか紹介します。

   まずは、本業が通常のフルタイムであるところ、許可を得ることなく無断で毎日深夜にわたって6時間ほど飲食業の副業を行っており、その影響があったかは明らかではないが、本業で居眠りや必要であった残業を拒否するなどの勤務態度であったことから、懲戒処分が有効とされた判例があります。

   もう一つは、非番や公休日のときにやっていた副業であったものの、副業禁止を十分認識しながら、あえて継続して実行していたこと。事故防止の観点から、十分な休息が求められるタクシー運転手という職種の特性を考え、懲戒処分が有効とされた判例があります。

   ただ、こちらは約30年前の判例なので、現在でも同様の判決となるかは微妙かもしれません。

   最後は、私傷病休職(有給)期間中であり、療養に専念すべきであるにもかかわらず、本業とはまったく関係のない商品を売っているものの、営業時間が本業と同じ時間帯で副業していたリアル店舗を、自ら開業・経営していたケースで、懲戒処分が有効とされた判例があります。

   最近よく相談されるのですが、会社の休憩時間にインターネットを使って副業することについてですが、休憩時間は勤務時間外ですので、「職務専念義務」の制限に反しない限りは、ネットを使って副業することは問題ないと思います。

   もちろん、会社のパソコンを使っての副業は問題になりますので、ご自身のスマホやタブレットを使うようにしてくださいね。

闘う弁護士先生

   ◆北川雄士弁護士のひと言◆
働き方改革の一環として副業が認められやすくなったこと、また、インターネットの発展でさまざまなカタチでの副業が可能となってきたことから、副業を行っている人が増えてきています。
しかし、あくまで副業である以上、本業あってのものですので、本業に迷惑をかけたり、支障をきたしたりすることにならない範囲で行うにとどめるべきでしょう。


今週の当番弁護士 プロフィール

北川雄士(きたがわ・ゆうじ)
弁護士法人グラディアトル法律事務所所属弁護士
京都大学法学部卒業後、神戸大学法科大学院修了
「労働問題」「男女トラブル」「脅迫・恐喝被害」「ネットトラブル」などを得意分野として扱う。ライトノベル作家「U字」としての一面もあり、「剣と弓とちょこっと魔法の転生戦記 1~凡人貴族、成り上がりへの道~」(MFブックス)で作家デビュー。その後も、「剣と弓とちょこっと魔法の転生戦記」シリーズとして続刊を刊行中。


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グラディアトル法律事務所
平均年齢30代前半の若手弁護士の精鋭集団。最新の法律知識やツールを駆使し、それぞれの得意分野を生かしながら、チーム一丸となって問題解決に取り組む。取扱分野は多岐にわたり、特殊な分野を除き、ほぼあらゆる法律問題をカバーしている。
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