2019年 9月 24日 (火)

その96 美観に欠ける中国の「簡体字」 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   街中や百貨店、駅などの「案内」に使われている言語が、日本語だけではなく英語から中国語、韓国語へと、多言語化してきた。

   訪日外国人の増加に伴うもので、中国語に至っては、大陸の中国やシンガポールで使っている「簡体字」と、台湾や香港で使っている「繁体字」の両方で書かれていたりする。

  • 百貨店内の中国語の案内にも「簡体字」「繁体字」の両方が登場するようになった。(東京・池袋で)
    百貨店内の中国語の案内にも「簡体字」「繁体字」の両方が登場するようになった。(東京・池袋で)

簡略化すればいいというものではない!

   簡体字とは、従来の漢字を簡略化したもので、1950年代に中国で誕生した。難しかった漢字の画数を減らすなど、わかりやすくしたものだ。戦後の日本でも同じような漢字改革が行われている。

   一方、繁体字は簡略化されていないもので、日本の旧字体に近い。たとえば、「国」は「國」である。

   ところで、簡体字も繁体字も同じ漢字ではあるけれど、簡体字には簡略化し過ぎたせいで「美観」に欠けるものが目立つ。これが漢字?と思う字もある。

   たとえば、日本の字体の「広」は簡体字では「广」である。真ん中の「ム」がなくて、スカスカである。おかげで、不安定だ。字が右側に倒れてきそうである。元来は「ム」ではなく「黄」が真ん中にあった漢字である。

   「産」も同じように、真ん中の「生」が捨てられた字になっている。この字も見ていると、不安になってくる。工場を意味する「廠」に至っては「厂」である。もともと不安定な「广」の上のテンまでなくなっている。もはや漢字とは呼びたくない。

   飛行機の「飛」は、右上の書き出しの3画だけである。こちらは左側に倒れてきそうである。また「風」や「岡」は、本来の漢字の構えの中心部が「×」になっている。これでは、もともとの「風」や「岡」に対して失礼ではないだろうか。

じつは日本の漢字もおかしい

   日本の漢字改革でもいろいろとおかしなことが起きてきた。たとえば、「器」「戻」「突」といった字の中にあるのは「大」だが、元来は「犬」」だった。それにはそれなりの意味があったのだが、なぜか「犬」の肩にあったテンを取ってしまった。

   そんなこともあるから、僕らは中国の簡体字に対して一方的に悪口を言う資格はない。それに、まあまあ「許せる」簡体字もたくさんある。しかし、これまでに挙げたような簡体字はどうも見苦しくて、漢字の「本家」中国にとっても恥ずかしいことではないだろうか。

   しかも、旧来の漢字を簡略化した1950年代と現在とでは、事情が変わっている。字は手で「書く」のではなくて、キーボードに「打つ」のが普通になった。画数が多いかどうかなんて、どうでもよくなってきている。

   「内政干渉」と言われるかもしれないけれど、以上の点を考えて簡体字を見直し、極端に簡略化したものはできるだけ本来の形に近づけてほしいのである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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