2021年 1月 25日 (月)

ボイスコンピューティングの覇者はすでに決まっている! カギは通販が握っている?

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デバイス販売、広告は......

   いまのところは数量的には圧倒的アマゾンが優位に立つが、ボイスコンピューティングが一般化することを見越して「どうやって収益をあげようとしているかを見ること」が、覇権の行方を占う方法だ。まずはデバイスを売ることだが、本書によると両社とも「アップルと違って、その選択肢に興味がない」。次に考えられるのは広告だが、音声広告ではスペースが狭く大した収益にはつながらない。音声で一つの答えを聞く前にいくつも広告を聞かされたらユーザーはそっぽを向くだろう。

   となると、音声で収益をあげる最大チャンスはショッピングとみられる。本書で引用されている市場に関する調査研究だと、音声ショッピングの年間取引額は「現在約20億ドル」だが、22年までには400億ドルになると予測されている。そうなると、アマゾン優位は動かないのではないか。というよりアマゾンがますます優位になりそうだ。

   アマゾンで利用者が何も指定しないまま音声で注文すると、アマゾンが一つの商品を提案する。たいていの利用者は他の候補を求めることはせず、そのまま購入する。アマゾンが提案する商品は、検索結果のトップあるいは上位のもの。製造や小売りの企業は、アマゾンが提案の対象として最初に選ぶプレミアムな地位を得るため大金を支払うことも考えられる。

アマゾン包囲網を構築

   グーグルや、アマゾンをライバル視している製造・小売りの会社が、このことに気づいていないわけではない。グーグルと、ウォルマートやコストコなど日本でも名前が知られている小売り大手のほか、ターゲット、コールズ、ステープルズなど有名各社が提携。これらの企業の製品はすべてグーグルの音声デバイスで注文できる仕組みがすでに作られている。

   「今後、グーグルは、グーグルショッピングのプラットフォームを拡張して、アマゾンの好敵手になるかもしれない」と本書ではみている。ただ、現時点では、アマゾンのアレクサが、市場シェアでも収益化のオプションでも他を引き離して先頭を走っていることは間違いない。

   アップルは「シリ」で音声AIに先鞭をつけたが、技術的な評価が散々で、同社がスマートスピーカー「ホームポッド」をリリースしたのは18年。アマゾンエコーから遅れること3年半、グーグル・ホームもその1年半前に市場投入されていた。フェイスブックはじつは、対話型AIの研究に熱心で、スマートホームスピーカーを開発したものの、個人情報の取り扱い問題で炎上したため、公開を差し控えたという。

   著者のジェイムズ・ブラホス氏は、技術ジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズ紙のほか、ワイアード、サイエンティフィック・アメリカ、アトランティック、GQ、ナショナル・ジオグラフィックなどの各誌でテクノロジーの未来に関する記事を執筆している。

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「アレクサVSシリ ボイスコンピューティングの未来」
ジェイムズ・ブラホス著、野中香方子訳
日経BP
税別1800円

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