2019年 10月 19日 (土)

「肩書」を離れて会社の未来を追求 「オフサイトミーティング」の活かし方

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   「オフサイトミーティング」の手法を用いて会社経営をコンサルティングしていこうという「スコラ・コンサルト」。丁寧に、社員一人ひとりの話を聞いていくスタイルで、「誰一人もこぼさない」社員一丸になれる会社を目指す。

   人はそれを「理想」というかもしれないが、そうやって会社を軌道に乗せてきた、スコラ・コンサルトのプロセスデザイナー(コンサルタント)の岡村衡一郎氏に聞いた。

  • スコラ・コンサルトのプロセスデザイナー、岡村衡一郎氏は「オフサイトミーティングは、いつもの会議室を変えるだけでなく、役職や肩書などを離れて会社の現状や未来を話し合うこと」と話す。
    スコラ・コンサルトのプロセスデザイナー、岡村衡一郎氏は「オフサイトミーティングは、いつもの会議室を変えるだけでなく、役職や肩書などを離れて会社の現状や未来を話し合うこと」と話す。

「何が起こっているのか」「どんな想いで働いているのか」を聞く

   ――「オフサイトミーティング」の手法を用いて会社経営をコンサルティングしていこうと考えたきっかけには、どのようなことがあったのでしょう。

岡村衡一郎氏「30代前半の頃、ある喫茶店のローカルチェーンを支援していました。300人で損益ギリギリのところを、いろいろな施策を実行して来店者数を増やすことを目指したんですね。関係者でじっくり話し合って、さまざまな作戦を立てて実行しました。その結果、リニューアルで800人のお客様を呼ぶことができました。その打ち上げで『プロジェクト、成功しましたね』と、プロジェクトリーダーと喜びを分かち合おうとしたら、『喜んでいるのは、社長だけですよ』と。
当時のわたしは若くて、まだ力が弱く、業績を上げることで満足してしまったところがありました。でも、おそらくなにか見えていなかった、間違えていたんですね。そのことがきっかけとなり、当時からオフサイトミーティングを用いて、一人ひとりの主体性を引き出しながら実績をあげていた、柴田昌治が経営するスコラ・コンサルトの門を叩いたんです。15年前のことですね」

   ――「経営は数字が上がればいい」のではないのですか? オフサイトミーティングという新たな手法は、どのようなものなのでしょうか。

岡村氏「オフサイトミーティングというのは、弊社の創業者の柴田昌治が、自動車メーカーをお手伝いしていた時に始めたものです。『もっとよくしたい』とか、『このあたりを、もっとこうするべきではないのか』などの会社に対しての意見を、役職や肩書を離れて語り、会社の未来や現状の問題解決に向けた話し合いをすることが、オフサイトミーティングの原型なんです。
会社には社長や部長など、それぞれに役割があるわけですが、そういった肩書をいったん脇に置いて、今いったい何が起こっているのか、どんな想いで働いているのかを話し合うのがコンセプト。オフサイトのオフは、『肩書をオフにしましょう』という意味が強く含まれているということです。
もっとわかりやすく言えば、たとえば商品開発部と営業部とでは、いつも対立して、なかなか交わらないように思いますよね。不満の代表例は、営業部だと『商品開発部がもう少し売れる商品を作ってくれたらなあ』とか、商品開発部にしてみれば、『営業部、もう少し頑張ってくれよ』となることが多い。業績が芳しくなければ、本当はどうやったらもっとお客様に喜ばれる商品ができるのかを、一緒に話し合えばいいのですが、そこが会社組織の中に入ると難しいんです。そういった『壁』を、組織はもちろん、個人レベルでも取り払うのがオフサイトミーティングの第一ステップです」

   ――オフサイトミーティングに、手順はあるのですか?

岡村「ルールは立場や肩書を離れて、なるべく本音で話すこと。そして、話をするより相手の話をよく聞くこと。質問する場合はなぜそう思ったのかなど、掘り下げる質問にすることなど、いくつのルールを設定して、まずは対話に慣れてもらうことから始めます。
 世の中で『いい会社』と言われるところは、わざわざオフサイトミーティングをやりましょうと言わなくても、一日1時間くらいオフサイトミーティングに相当するような場を絶えず持っていることが多いです。そのような時間が、おそらく先々の創意工夫、商品やサービスの違いを作るうえで、ものすごく重要なんだと思います。
 つまりは、そういった環境をつくる『人』や『想い』が大事なんです。話し合うことが日頃から意識づけられているかどうかということですね」

その人を理解するために知っておくこととは......

その人の仕事観や人生観を知る(写真は、スコラ・コンサルトのプロセスデザイナー岡村衡一郎氏)
その人の仕事観や人生観を知る(写真は、スコラ・コンサルトのプロセスデザイナー岡村衡一郎氏)

   ――具体的には、どのようなお話をするのでしょうか。

岡村「まずはその人を知る、理解することです。たとえば、入社後よりも入社前の話を比較的多く話していただくようにしています。小学校や中学校時代、どう過ごしてきたとか、好きだった科目、ご両親との関係や思い出話など。その人が会社に入ってから一番仕事で頑張ったこと、お客様に喜ばれたこと、その人の仕事観や人生観を知ることを最初にじっくりやります。
たとえば、美術が好きだった人がどんな想いで絵を描いていたのかというのが、今のその人が作った商品にどう活きているのか、そんなお話をするとお互いに協力のしどころがわかったりします。
そのうえで、その人が将来『こういう仕事をしたいんだ』『このあたりに力を入れていけば、目指すところに行けるんじゃないか』と、過去、現在、未来、時間と空間をどんどん広げていって、多面的にお互いを理解するように進めます」

   ――それは入社して5年目、10年目の社員にも同じように、聞くのですか。

岡村「はい。20年目でも、30年目でも同じ話をします。未来を作るのも人だし、そこにいるチームの人たちなので。
会社の会議は、多くがダウンロード型なんですね。あらかじめ決まった結論の伝達であったり、対策の確認であったりして、会議を始める前と終わった後でより意義のある結論がでることのほうが少ないのではないでしょうか。オフサイトミーティングの真髄は、意味が生成されていくこと。話し合いから、新たな意味が立ち上がってくることにあります。当初の結論より、よりよい結論が出る。あるいは結論は変わらないものの、推進力が上がる。そういうことに寄与するのが、醍醐味だと思います」

「社員みんなが有機的につながる」のが理想

   ――社員が話しやすいのは、岡村さんがコンサルティングに入っている外部の方だからではないですか。

岡村「ええ、そういう側面もあるかもしれません。しかし、話し合えたほうがいいことを素直に話し合えば、ミーティングは話しやすくなるものなのです。たとえば、モヤモヤしていることとか、本当はもっとこうしたいことがあるかなど、その人のエネルギーの発揮を妨げている要因や、本当に実践していきたいことなどのやりとりです。これができると、上司と部下の関係も大きく変わりますよね。左右の関係と言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、上下の関係ではなくなってくる。同じ目的を持って、一緒にそこを目指していくような関係になる。それが理想です。
いずれにせよ、抱えているモヤモヤ出しや、お互いのプロフィールを対話の入り口にしていくことで、それぞれがもともと持っていた答えよりも、いい答えにたどり着ける実感を持てるようになってくると、話し合いの質が変わってきます」

   ――組織というと、どうしても上下関係のあるピラミッド型をイメージしますが、岡村さんが描いている組織、理想の組織像はどのようなイメージでしょう。

岡村「物事を考える時、意見を求める時は『横』の関係がいいですね。実行する時は『縦』がいい。本当に社風がいい会社は、それが変幻自在にできるようになっているんですよ。
たとえば、何かスペックを決めるときっていうのは侃々諤々。新入社員、社長などの立場は関係ありません。ある音響メーカーで、『日本でトップの音を出せ』という指示のもと、いい音とは何かを追求したときの話です。その議論には、立場や経験の必要性は一切ありませんでした。アンプやスピーカーで、どのような音が最高の音なのかという答えがないのですから、その答えにたどり着くまで、立場は関係ないんです。こういう音にしようと、その議論の中で意味が生成されていくわけです。それが実行段階に移ったときに、従来の組織で役割分担しながら『縦』に動いていきます。
社内で『横』の関係と『縦』の関係を行ったり来たりというか。言いかえれば、上司と部下の関係があれば、家族みたいな関係もある。厳しいけれど優しさもある。変幻自在なんですよね。必要なシチュエーションに応じて体制が変えられる関係が、組織としては理想なんじゃないかなと思います。
時代の変化もありますが、社長ひとり、社長のアイデアだけに頼っていては革新のスピードは落ちていきます。社内全体からアイデアが沸き上がってこないといけないのですが、ピラミッド型のヒエラルキー組織だと、多くの社員が上司に忖度してしまうから、上司の予想を超えるアイデアは出てこないのです。だから、最初はよくても一定期間を過ぎれば、社長が一人で苦しむことになりかねない。そうならないようにするためにも、社員みんなが有機的につながって、いろんな意見を言い合える。そして決めたことを実践に移す。そこから学んで次の手が打てるような社風に変化するのが理想ですね。新たな価値をチームで生み出そうとする会社は強いですよ」
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