2024年 4月 19日 (金)

その99 多過ぎる「新聞休刊日」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   朝起きてすぐ、郵便受けに新聞を取りに行く。それが僕の日課になっている。ところが、その新聞が郵便受けに入っていない。

「あれっ、配達するのを忘れたのかしら!? あっ、そうだ、今日は新聞休刊日だった」

   新聞を定期購読していない方には無縁の話だけど、僕のような経験のある人は少なくないだろう。

  • 休刊日を知らせる、左から朝日、毎日、読売各紙の紙面(2019年9月8日付の各紙朝刊から)
    休刊日を知らせる、左から朝日、毎日、読売各紙の紙面(2019年9月8日付の各紙朝刊から)
  • 休刊日を知らせる、左から朝日、毎日、読売各紙の紙面(2019年9月8日付の各紙朝刊から)

理由は新聞配達員のリフレッシュと輪転機のメンテナンス

   2019年の場合、朝日、毎日、読売の各紙は月1回、同じ日に計12回の休刊日がある。スポーツ紙なんかを除くと、他の新聞もほぼ同様である。休刊日の前日の朝刊の第1面には、申し合わせたように「きょうは新聞製作を休み、あすの朝刊は休みます」といったお知らせが載る。

   でも、月に1回の休刊日なんて、多過ぎはしないだろうか。僕のように毎日、少なくとも1時間か2時間は新聞に目を通す者にとっては、月に1回も朝っぱらから手持ち無沙汰になる。

   休刊日ができた第一の理由は、朝刊・夕刊の配達に追われる新聞販売店の従業員を少しでも休ませるためだ。わが国の新聞社が「命の綱」にしている戸別宅配制度を維持していくには、まず配達員の確保が欠かせない。

   次の理由は、休刊日を利用して、輪転機などの点検・整備をすることだそうだ。

「デジタルへ どうぞ」は「敗北宣言」だ!

   僕も長年、新聞社で記者をしていたから、以上二つの理由は理解できなくもない。でも、僕が記者になった半世紀ほど前は、休刊日は正月とゴールデンウィークの2回だけだった。しかも、最近は夕刊がだんだんなくなってきたが、当時は日曜日も祝日も夕刊があった。配達は今よりも大変だった。

   いま休刊日を知らせる社告には、最新ニュースは(新聞の代わりに)「朝日新聞デジタルでご覧ください」「毎日新聞ニュースサイトで......」「読売新聞オンラインで......」と書いてある。これを読むたびに、僕は情けなくなる。「デジタルがあれば、新聞なんてなくても大丈夫です」と言っているみたいである。「敗北宣言」のようにも聞こえる。

   休刊日で新聞の製作は休んでいても、記者たちは取材をしている。それなのに、結果を伝える媒体はデジタルだけになってしまう。僕もデジタルでニュースを見ているが、新聞に慣れた身にとっては、なんとなく物足りない。

   デジタルは確かに重要である。これからの主流だろう。しかし、新聞社には、いたずらに休刊日を増やすのではなく、歯を食いしばってでも、可能な限り「紙」の新聞を届けるという「矜持(きょうじ)」を示してもらいたい。元記者の身びいきかもしれないけれど、新聞を読まない人が増えているだけに、余計にそう思うのである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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