2019年 12月 6日 (金)

「仕事は振られてなんぼ」「無茶ぶり」をどうこなすかで人の真価がわかる(高城幸司)

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   よくよく振り返ってみると、自分の仕事はほとんど誰かから「振られた」ものです。たとえば、

「手が足りないから、ここだけ手伝って」

と、同僚から振られた会議の議事録の書記の仕事も、もとはといえば上司から振られた仕事のはずです。組織の中で働く人、場合によっては独立して働いている人でも、1日の多くは「振られた仕事」をこなすことに、時間を費やしているはずなのです。

  • 無茶ぶりはイヤかもしれないけれど……
    無茶ぶりはイヤかもしれないけれど……

上司に突然、会議の司会を頼まれたら......

   たとえば、営業部門であれば、売り上げ目標を達成しなければなりませんし、担当しているお客さまからの頼まれごとも多いことでしょう。総務や管理部門でも、自分のやる仕事の範囲は、自分だけで決めるわけではありません。会社の誰か、たいていは上司から「この仕事をやりなさい」と指示をされている=振られているはずです。こうした「振り」も、急な振りを「無茶ぶり」と言います。

   たとえば、

「そんな急に言われても困ります!何を言い出すのですか」

と、お笑いで相方や他人に対して打ち合わせなしにボケるよう振ること、あるいは不可能と思われる事柄を実行するように振るのが無茶ぶりです。

   テレビで芸人たちが、「どうにかしてそれをやろう」と悪戦苦闘するような姿を笑ったことが、誰でもあるのではないでしょうか。

   ビジネスの世界でも、頻繁に行われています。たとえば、やったことがない会議の司会を突然に「あなたにやって欲しい」と指名する上司と戸惑う部下。あるいは「明日から入社してくる後輩の面倒をよろしくお願いしたい」と、急に育成担当を任されて驚く先輩社員たち。

   そんな無茶ぶりに、「責任転嫁ではないか」とネガティブな意見を持つ人もたくさんいます。しかし、そこは無茶ぶりを巧みに駆使することで、仕事の幅が広がる、振られた人もトクする可能性が大きいと考えることはできないでしょうか。

   無茶ぶりを、いかにさばいていくか――。そのときに、大事なことは「どの仕事を自分がすべきか」と仕分けして、それ以外の仕事を誰かに任せるというのではなく、無茶ぶりに応えられる能力を持つことが重要と考えます。

仕事を振られることは「チャンス」を与えられていること

   では、私たちに仕事を振る、そしてしばしば無理難題を言いつけてきて悩みのタネとなる上司、あるいはもっと偉い人はどうなのか? こんな疑問が浮かびそうです。

   彼らにしても、新しい業務分野を開拓するなど、自ら戦略を立てて仕事をつくる機会が多いのは間違いないのですが、日常の仕事の多くは「振られる」ことによって成立しています。社長や役員だって例外ではありません。

   ある会社の営業部長が、社長にこう切り出しました。

「社長、お客さま感謝のパーティーに出席いただきたく、日程の調整を......」
「わかった。では秘書にスケジュールを確認して、開催日を固めてくれ」
「ありがとうございます。できれば、オープニングでご挨拶をいただきたく......」
「ああ、もちろん。挨拶の文案は営業担当役員のC君と練ってくれないか」
「承知しました。ではCさんにもその旨、お伝えして相談いたします」

   営業部長から社長、社長から役員に仕事が振られました。このように仕事は「振って、振られて」を繰り返し、イベントのプランが進行していくのがわかります。仕事というものは、そのほとんどが「発注と受注」という流れの中で生まれます。

   この「受発注」の流れは、会社の中だけでなく、たとえば顧客や取引先、株主などの利害関係者との間でも存在し、連綿とつながっています。スポーツ界、芸能界に限らず、ビジネスの世界でも「仕事を干される」という表現はよく使われます。説明するまでもなく、「干される」というのは仕事を「発注」してもらえない状況です。

「自分は、仕事を振られてばかりだ。つまらない」

   と嘆く人をよく見かけますが、働く機会を与えられるということは、それだけ頼りにされているということ、チャンスを与えられているということです。

   働く人間にとって、最も恐れなければいけない状況、それは業種や職種、階層にまったく関係なく、「仕事を干される」ことなのです。

仕事は振って振られての繰り返し

   つまり、仕事は「振られてなんぼ」なのです。自分が振った仕事が戻ってくる、あるいは互いに振り合うこともあります。また、隣同士でシェアするケースも見られます。たとえば、同じ職場の中で、専門家同士が二人で一つの仕事を分け合ってやる。あるいは、「手が足りないからここだけ手伝って」という場合もあります。

   先ほどの部長と社長の例を見るまでもなく、働いている人は誰もが、あるときは振る立場に、あるときは振られる立場になるのです。会社組織では、たいていの仕事は何人かでチームを組んで行なう「プロジェクト」であり、振る立場の人間は「プロジェクトリーダー」となります。プロジェクトリーダーは上司とは限りません。

   その仕事の責任者であり、自分で仕事を分解して各人に分け与えていく立場です。大きな仕事に複数の人間で取り組む場合は、このプロジェクトリーダーという役割が必要不可欠となります。

   一方で、このリーダーが今度は別のプロジェクトのメンバーになり、そのリーダーから仕事を振られることもあります。つまり仕事というのは、振る人と振られる人が明確に分けられているわけではなく、同じ人間が振ったり振られたりしながら成り立っているのです。

   上司から振られた仕事の一部を、部下に振る、ある仕事のかたまりを分解して人に渡したり、自分でやったりする......。それを繰り返すことが、組織の中では常に行なわれているのです。会社にいれば振る立場と振られる立場が常に存在し、振るだけ、振られるだけの人はいません。「振って、振られて」を繰り返していく中で、「振り上手」や「振られ上手」になっていく。こうして一人の人間がさまざまな仕事を体験することが、個人としても、また組織としても理想的だと言えます。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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