2021年 2月 27日 (土)

「恥さらしな夜」に見せた 英国「元ホームレス」選手らのスポーツマンシップ(井津川倫子)

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「流星」のように現れた元ホームレス選手

   じつは、一部のブルガリアファンの差別的な行動は以前から問題視されていました。イングランド代表にとっては、敵陣に乗り込んで完全アウエーの戦い。差別的ヤジの標的になったのは、代表デビューしたばかりのタイロン・ミングス選手(26)でした。

   192cmの大型DFのミングス選手は、アマチュアリーグからプレミアリーグにのぼり詰め、代表に選ばれるまでに成長した苦労人。アマチュア時代は、住宅ローンの担当者として不動産会社に勤務しながら、サッカーを続けていたそうです。しかも幼少期には、母親と妹の3人でホームレスのシェルターに住んでいたこともあるとか。

   「ホームレスから代表選手に!」と話題になったミングス選手は、ブルガリア戦でも大活躍でした。

Mings' meteoric rise continued as he produced a fine performance and kept a clean sheet
(素晴らしいプレーと無失点に抑える守備で、ミングスの流星のような出世は健在だった)
meteoric rise:流星のような出世

keep a clean sheet:無失点に抑るえ

   さらにサウスゲート監督は、ヤジに気づいて審判にアピールしたミングス選手のことを「完全アウエーのなかで、非常に勇気ある行動だった」と称賛。「元ホームレス」選手のスポーツマンシップあふれる言動は、差別主義者たちに対する痛烈なメッセージとなったことでしょう。

   それでも、私が一番心を打たれたのは、イギリス代表の一人がメディアに語った次のエピソードです。

   ブルガリア代表チームのキャプテンが、ハーフタイムでロッカールームに引き上げる途中、差別的な行動を取るファンたちに一人で立ち向かっていたというのです!

   「一人で立ち向かい、正しいことをするのは勇気がいることだ。こういった行動はちゃんと報じられるべきだ」とアピールするイギリス選手。「恥さらしな夜」と報じられた騒動の中で、いくつかのスポーツマンシップが存在したことに、キラリと光るものを感じました。

   それでは「今週のニュースな英語」は、米CNNテレビの見出しから「all eyes are on」を取り上げます。「すべての目が注がれている」「注目されている」というニュアンスで使う慣用句です。時や場所を後ろに加えていくと内容が深まります。

All eyes were on me
(みんなの視線が私に集まった)

All eyes were on me when I spoke
(私が発言すると、みんなの視線が集まった)

All eyes were on me when I spoke at the meeting
(会議で私が発言すると、みんなの視線が集まった)


   試合後のインタビューで、「差別的見方をする人のほうがかわいそうだと思う」と語ったミングス選手。遅咲きの苦労人に、これからも世界の視線が集まりそうです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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