2019年 11月 17日 (日)

会社の問題解決、ダイエットにたとえて解説 データ活用した「ビジョンアプローチ」を推奨

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   経営者が、経営に問題があると考える理由は、経営について何らかの理想を持っていて、そのことと現実とのあいだにギャップがあることににほかならないという。ギャップが際立つほどに、悩みは深くなる。

   本書「会社の問題発見、課題設定、問題解決」の著者2人は経営コンサルタント。経営の問題をダイエットの悩みにたとえて次のようにいう。理想の体重、体型、健康状態を規定したうえ、減量する幅を決め、どうしてそれほど多いのかを分析し、その解決方法を考え、実行するのが順当な流れ、と。

「会社の問題発見、課題設定、問題解決」(永井恒男、齋藤健著)クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • ソフトバンクとトヨタ自動車は将来に向けた新事業で共同出資
    ソフトバンクとトヨタ自動車は将来に向けた新事業で共同出資

成長企業は将来からの「上から目線」

   「問題発見から解決に至るスタイル」の一つが「ビジョンアプローチ」。理想とする将来像を描き、その実現に向けて経営者、従業員が主体的、積極的に推進していく。 昭和時代の前半から現代まで、成長を続け、また、成長を始めた企業をみると、未来について熱く語る経営者が数多い。ソニー創業者の一人である盛田昭夫は、町工場の時代から世界的企業になる夢を周囲に語っていたという。

   現代では、ソフトバンクの「新30年ビジョン」、パナソニックの「環境ビジョン2050」などが知られれる。ソフトバンクは同ビジョンのなかで300年後にまで言及し「テレパシー通信カンパニーになっているかもしれない」とも。パナソニックは「環境ビジョン」とは別に、100周年を迎えた2018年、次の100年で家電メーカーから「暮らしアップデート業」になると宣言した。

   「問題発見から解決に至るスタイル」にはもう一つあり、それは「ギャップアプローチ」。しかし、本書はこれについては否定的。なぜか。こちらは、定量的な目標を設定し、従業員らをプレッシャーによって駆り立てるやり方。過去の実績をベースに将来の計画を立て、「過去5年間の平均成長率3%」を根拠に「次の5年間も3%成長の計画で」という流れが繰り返されるという。外部環境が考慮され、数字は過去の成長率に「プラス・マイナス・アルファ」。過去の延長線上に目標を設定していては、「失われた10年」が延々と続くだけ、という。

   「5年、10年単位の期間を置いて、高い目標(理想の将来像)を設定し、未来から逆算して短期の目標を設定するバックキャスティング(未来からの発想法)こそが、成長やイノベーションをもたらす」と本書。

必要なのは「データ活用」

   では「理想の姿」をとらえるには、どうしたらいいのか。本書は、「現状」から具体的なアクションプランを仕立てることという。ここでカギを握るのが「デ―タ分析」だ。富士山登山を例にこう説明されている。

   たとえば現在の状態が、「5号目」とする。5合目の現状分析から「このままのペースで歩くことができれば、あと○○歩、○時間○分で頂上に着ける」というところまで落とし込まれた状態が、具体的なアクションプランという。

   だが、多くの企業でこうしたデータ分析ができていないのが現状。たとえば新商品をめぐるあるメーカーの経営会議で「そろそろ何か手柄を挙げたい」営業部長が、テスト販売での「大半の人から好評」「来客者の何人かに一人は試した」といったレビュー程度で市場への大量投入を提案することも。IT企業でも、商品のマーケティング方法の議論となると、「良い商品だから......」と根拠のない「豪語」で締めくくりとなるような実状があるという。

   本書では、情報通信白書などを引用して、全体の8割の企業でデータ活用ができていないことを紹介。機械学習やAI(人工知能)など、データ分析する手段は急成長しているなかで、非常に残念な事態となっているとする。

   分析へのアプローチ方法や人材の不足という側面もあるが、本書は、企業に必要なのは、データ分析ができる技術者ではなく、データをどのように活用すべきか現場がわかった上でそれを実行できる人材や機能・仕組みと強調、それらは自前で育成、装備できると指摘している。

   本書の後半では、データ分析のアプローチや、自社データの整理法、データとの向き合い方の詳細が詳しく丁寧に解説されている。

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「会社の問題発見、課題設定、問題解決」
永井恒男、齋藤健著
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
税別1680円

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