2019年 12月 7日 (土)

スーパーマーケットに危機感なし! 追い落としをうかがうアマゾンにどう対抗?

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   スーパーマーケットは2018年12月に食品販売の市場規模で初めてコンビニにトップの座を明け渡した。ドラッグストアやアマゾンなどEC業界もスーパー追い落としの機会をうかがっているのだが、スーパー業界に危機感はあまりないという。

   スーパーマーケットの先進国、米国では、EC対策を「100年に1度の大変革期」と位置づけ、さまざまな取り組みを試行中。本書「スーパーマーケット近未来戦略」は日本のスーパーもそれを見習い、生き残り戦略を検討するよう促している。

「スーパーマーケット近未来戦略」(水元仁志著)商業界
  • アマゾンはスーパーも変える
    アマゾンはスーパーも変える

「アマゾンフレッシュ」化ける可能性

   アマゾンは、スーパーの主戦場ともいうべき生鮮食品にも進出。日本でも2017年に、最短4時間での宅配を掲げて「アマゾンフレッシュ」をスタートさせた。本書では、アマゾンのこれまでの例から、生鮮食品でも「バケモノ」化することを予想。米国ではすでに、それが現実となり業界各社は「近未来にむけてさまざまな取り組みを死にもの狂いで行っている」という。

   「それに比べて、日本のスーパーマーケットには危機感がほとんどない。ここで変革していかないと、アマゾンに市場シェアを根こそぎ奪われかねない」というのが本書の指摘だ。

   著者の水元仁志さんは「商人(あきんど)伝道師」を自称する経営コンサルタント。10年以上にわたって年2回以上の米国視察を続け、年に200日以上にわたり日本全国をめぐり、見聞を伝えているという。

   スーパーが取り扱う「食品、飲料、酒類」の販売で、アマゾンなどのECサイトが取り扱う割合は2.64%(2018年)と高くはない。だからといって安穏としていてはいけない。アマゾンは「無配」を続けるなど利益を出していないことで知られるが、一方で、企業価値はずば抜けて高く、それは成長のために利益を設備投資やシステム投資に投下できるということ。たとえば米国で実現させたように、スーパーチェーンの企業を買収して、リアル店舗とのコンビネーションで業容拡大を狙う可能性もあるだろう。

   米国でアマゾンを迎え撃つ勢力の一番手はウォルマート。リアル店舗での対策を強化するばかりか、オンラインビジネスでもアマゾンに対抗するため「すごい数」の企業を買収し続けているという。2018年にはオンライン小売業でアップルを抜き米国3位になったが1位のアマゾンはそれ以上に成長のペースを上げシェアは50%近い。

   リアル店舗でも、ウォルマートのアマゾン対策は攻めの姿勢が前面だ。展開を急速に拡大しているのは「カーブサイド・ピックアップ」。「カーブサイド」は「歩道」あるいは「歩道の縁石」の意味。顧客が商品をインターネットで注文し、店舗の駐車場にある特定の場所で受け取るサービス。

   自宅で配達を待つのではなく店舗に取りに行ってすぐに調達できることから、生鮮食品などで人気が高まっているという。このサービスは、アマゾンもスーパー買収後に同じサービスをスタート。他のスーパーチェーンも取り組んでいる。ウォルマートでは店舗によっては、売り上げの10%以上がカーブサイド・ピックアップによるものという。

顧客重視の決済アプリ

   アプリ(モバイル)決済も、顧客の囲い込みに効果を発揮している。ウォルマートの「セービングキャッチャー」は、単なる決済アプリではなく、顧客サービスを重視したもの。たとえば競合店のセール価格がウォルマートの価格より安かった場合に差額分のクーポンが登録される仕組みなどを備える。

   ウォルマートや他のスーパーなどで、アマゾン対策として活用されているのは「インスタカート」という買い物代行サービス。アプリなどオンラインでオーダーを入れると、空いた時間を有効活用したい人が買いものをしてくる仕組みで、現代ならではのプラットフォームでマッチングするシステム。商品によって購入店舗を指定することができ、商品力があるスーパーは選ばれる可能性が高く、大手の小売り店舗がこぞって活用している。買い物代行は日本でも最近新たなサービスがスタートした。

   日本でも導入がすぐにできそうで、流行する可能性があるのは「グローサント」。「グロサリー(食料品)」と「レストラン」を掛け合わせた造語で、スーパーで販売している食材を使用して、施設内に併設したイートインコーナーで食事を楽しめる。ECではできない、リアル店舗に行くメリットを、「食材購入」という行為ばかりでなく、「食事を楽しむ」という「体験」にも広げようとしている。

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「スーパーマーケット近未来戦略」
水元仁志著
商業界
税別1700円

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