2024年 4月 25日 (木)

過労死漫画がベストセラーに!? 心の疲れ、じっくり立て直すために

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   厚労省(20180年版 自殺対策白書)によれば、2017年の自殺者数は2万1321人となり、対前年比576人(約2.6%)の減少であることが明らかになりました。

   とはいえ、お正月明けは1年のなかで3番目に自殺者が多いことが明らかになっています。さらに、何の前触れもなく原因が特定されない場合が少なくありません。

   年代別では15~39歳の死因第1位は「自殺」である(40歳以上、死因1位は悪性新生物)。15~39歳の死因第1位「自殺」は、先進国では日本のみで見られる現象であることから対策が急がれています。調査結果からは、若者の自殺以外に、中高年(50代)の自殺も顕著であることがわかりました。このような世相も相まって、本書は大きな話題を呼びます。

「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由(わけ)」(汐街コナ著、ゆうきゆう監修)あさ出版
  • 会社、辞めますか……
    会社、辞めますか……
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会社を辞められないワケ

「死ぬくらいなら辞めればができないのは、判断力が奪われてしまうからです。自分のことを思い返すといろいろ理由はありますが、他人を中心に考えてしまうことがありました。『会社や顧客に迷惑がかけられない』『親に心配はかけられない』『デキないヤツに思われたくない』『世間体が......』などがあげられます」

と、著者の汐街コナさんは言います。

「人を優先して自分を後回しにしているうちに、手遅れになってしまう危険性があるように思います。まずは、自分の命と人生を最優先に考えることが必要です」

とも。

   汐街さんの母親は、ハローワークで働いていた経験がありました。そして、次のような話をします。

「きょう来た人、会社の指示どおりに仕事をした結果、身体が不自由になってしまった。会社は責任もとらずクビにした。会社はいざという時、なにもしてくれないから、自分で守らなくてはいけない」

   そのようなことを、話したそうです。

「昔のことですが『自分の身体がおかしくなっても我慢してはいけない。会社はいちいち大丈夫かなんて考えてくれない。それでおかしくなっても自分で気をつけなかったのが悪いって言われて終わってしまう。誰も責任をとらない』。このようなことを言われたように記憶しています。若干、少し言葉じりなど違うかもしれませんが」(汐街さん)

会社や仕事にしがみついてはいけない

   「働き方改革」も、だいぶ浸透してきました。「働き方改革」は、一億総活躍社会の実現に向けたチャレンジとして、企業や暮らし方を変えるものとして提唱されてきました。しかし、その実現は果てしなく難しいかも知れません。残業は絶対になくなりません。

   早く帰宅することを好ましくないと考える会社が少なくないからです。私が知っている某大手メーカーは、社員が働いているオフィスの出入り口付近に、役員席と事業部長席を置いていました。定時が過ぎても、社員は帰ることができません。早く帰れば査定にも影響します。変化が起きたのは過労死自殺が発生してからでした。

   いまの40~50代は若いころ、上から怒鳴られ、ダメ出しをされて育ってきた世代です。「24時間戦えますか!」を合言葉に徹夜は日課みたいなものでした。いまのような閉塞感のある時代ではなかったので、忙しいなりにも夢があったのだと思います。

   周囲で、「24時間働くのは当然」「もう3日寝てないんだよ」。このような考えを強要する人がいたら、それを「正しい指導法」だと思い込んでいます。すぐに意識変革をするか、ラインから外さなくてはいけません。

   厚生労働省「人口動態調査」の集計によれば、1年でもっとも自殺者が多いのは、夏休みが終わる9月1日前後、2番目が新年度の4月1日~10日、3番目が正月明けになります。会社も上司も解決策を提示してはくれません。だから、あなた自身が自らを客観視しなければいけません。新年に読むべき本として紹介しておきます。(尾藤克之)

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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