2020年 1月 20日 (月)

大応援団の声援に応えるのが「仕事」 でも「名前」で呼ばれると恥ずかしい(山九 大石栞菜さん、大石利樹さん) 前編

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   子どもの頃からフェンシングに、姉弟してハマった。大石栞菜さんと大石利樹さんは共に2020東京オリンピックの代表候補としてメダルを目指す傍ら、物流大手の山九株式会社の総務・CSR部に席を並べる。

   北京、ロンドンと、いまや日本のフェンシングはメダルが期待される種目になった。姉弟は日本のフェンシングチームの一員として、そろって活躍する。そんな大石姉弟の「素顔」に迫った。

  • 大石利樹さんは、兄姉のフェンシングを見て育った(写真は、左が大石利樹さん、右が大石栞菜さん)
    大石利樹さんは、兄姉のフェンシングを見て育った(写真は、左が大石利樹さん、右が大石栞菜さん)

兄姉のフェンシング熱を見て育った利樹さん

――フェンシングを始められたきっかけを教えてください。

大石栞菜さん「利樹が5歳で、私が小学1年生。ふたつ上に兄がいるんですが、私は兄と一緒に始めました。(地元・大分県のフェンシング)クラブが小学1年生からしか、加入できなかったんですね。利樹は、練習場で『やりたい。やりたい』と言って、ずっといっしょにいました(笑)」

大石利樹さん「そうなんです。なので、フェンシングを習っているというより、『練習場に行って、フェンシングの動作で遊んでた』みたいなところがありました」

――なぜ、フェンシングだったんですか?

利樹さん「両親が興味を持っていたようで、そこから......。僕は始めたときの記憶があまりないので(笑)。気が付いたら、ずっとやっているみたいな感じです」

――ご両親がフェンシングをやっていたのでしょうか?

栞菜さん「それがやってないんですよ。なんででしょうね(笑)。私も見学に行ったときに、兄が始めると言ったので、『じゃあ、やる』っていった感じ。そんな記憶しかありません」

――それが小学校の1年生のとき。

栞菜さん「はい」

利樹さん「僕は兄姉が楽しそうにやっていたので。それがあると思います」

―― でも、フェンシング部がある学校はなかなかないと思うのですが......。

栞菜さん「大分はフェンシングが盛んなところなんです。たしかに中学校の部活はあまりないですが、ジュニアクラブに入っていたので、そこで。高校は県内に7校ぐらい部活があって、インターハイの枠を高いレベルで争っていました」

利樹さん「両親が、大分防府高校がインターハイに出場したという新聞記事を見て、近くにあったフェェンシング部の練習場を見学に行ったりもしてくれていました。大分には、いい指導者の方がたくさんいらっしゃるんです」

兄姉が楽しそうにやっていたフェンシングの道へ進んだ(写真左が大石利樹さん)
兄姉が楽しそうにやっていたフェンシングの道へ進んだ(写真左が大石利樹さん)

「所属が決まって、ホッとした」栞菜さん

―― 栞菜さんは、山九に入社して今年(2019年)で5年目です。どのような経緯があったのですか。

栞菜さん「きっかけは、アスナビ(経済同友会が支援する学生アスリートのための就職活動)ですね。先輩もアスナビを使って就職活動をされていたので、ある程度のことは先輩に話を聞いていました。それで予備知識のようなものがあったので、あまり不安は感じませんでした。
それよりも、(決まったときは)所属をもらえてありがたいという気持ちでしたね。この会社で、自分がどういう結果を出して恩返しできるか。結果はやってみなければわからないですが、『やらなきゃ』という思いが膨らみました」

―― フェンシングで勝つことが、会社への貢献につながるということですね。

栞菜さん「アスリートとしては、そうですね。ただ、会社の研修とは別に、アスナビの研修も受講したのですが、アスリートとしては、所属先を得たことで『じゃあいいや』ではなく、自分自身が『もっと頑張らないと』、そのためには『勝たないと』という、気持ちの高ぶりが一番大きいと思います」

―― 利樹さんは、栞菜さんの様子をご覧になって就職を決めたのですか。

利樹さん「そもそも就職活動のことを、あんまりよく考えてなかったのですが、僕もアスナビを利用しました。ふつうに就活すると、練習や試合の合間に就活のスケジュールが割り込んでくるので、それがイヤで......。
姉が山九に入社して、明るい雰囲気でプレーしている姿を見て、興味が湧いてきました。どんな感じか、姉を通して聞いているうちに、なんだかトントン拍子で話が進んで。それで、お世話になることに決めました」

―― 会社の代表としてプレーすることに、プレッシャーはありませんか。

栞菜さん「う~ん。みなさん、あまりプレッシャーをかけてこないので。『負けたら、飛ばす(配置換え)ぞ』とか、ないですよ(笑)。『伸び伸びやれ』っていう感じで、温かく見守ってくれるので、うれしいです」

「みなさん、あまりプレッシャーをかけてきませんね」と話す大石栞菜さん
「みなさん、あまりプレッシャーをかけてきませんね」と話す大石栞菜さん

報告書を書くのに、そわそわしちゃう

―― 会社でお二人は、どのように勤務されているのですか。

利樹さん「出社は週1日ですが、基本的に出社日とかは別々です。練習も別の場所なので、それぞれのスケジュールで行動しています。ふだん会社に行くと、なんかそわそわしちゃって。結構、いろいろな書類を書かないといけないんですよ。報告書とか」

―― 報告書を書くのに、そわそわしちゃう?

利樹さん「報告書に書くとき、専門用語を使うべきか使わないべきかとか......」

栞菜さん「使わないでしょ(笑)」

利樹さん「専門用語を使えばいくらでも書けるんですけど、それを使わないと書くことが急になくなるんです」

栞菜さん「メンタルと、書く技術っていうことに問題があるのかな(笑)」

―― どのような報告書を書かなければならないの?

栞菜さん「遠征が出張扱いなので、その報告書を。試合の結果と、そのあとはこう思った、前回はこういった反省をしたが、今回それを生かせたか生かせなかったかを、簡潔に書きます」

利樹さん「どちらかと言えば、反省が多くなるじゃないですか。どうにか書こうと思うと、結局反省することばかり書いてしまうので、専務に『反省してばっかだな』って、おもしろおかしく突っ込まれてばかりで」

栞菜さん「反省文、『楽しみにしてる』って言われたんだよね。このインタビュー、専務が見たらどう思うかな。突っ込んでくれるかな(笑)」

会場のワンブロックを山九の応援団でいっぱいに

大分県はフェンシングが盛んでよい指導者に恵まれたという(写真は、大石利樹さん)
大分県はフェンシングが盛んでよい指導者に恵まれたという(写真は、大石利樹さん)

―― ふだん、一般の社員と話をする機会はありますか。

栞菜さん「そうですね。週1日の出勤と、あとは懇親会には積極的に参加してますね」

利樹さん「アスリートのメンバーをまじえ、試合後など、よく慰労会はありますよね」

―― 会社のみなさんは試合に応援に来てくれますよね。どんな様子なんですか。

利樹さん「国体などのときは、開催地近くの支店に挨拶に行ってから試合に向かいますし、全日本選手権の時などもみんなに声かけて出かけたりしています。
ほかの会社の応援団って10人ぐらいなんですけど、うちだけ100人くらいいたことがありました。ワンブロックを山九で使っちゃって(笑)。あの時は、応援のほうがスゴかったですね」

―― それは楽しいじゃないですか。応援が力になるのではないですか。

栞菜さん「試合に入ってしまうと対戦相手に集中するので、正直あまり聞こえていないんですけど、『頑張れ~!』という声が聞こえると、おおっ、応援に来てくれているとうれしくなります。でも、名前を呼ばれると『なになに?』って。なにかあるのかと思っちゃう。ずっと名前で呼ばれていると、あぁそういう応援なのかと気づいて、すぐに集中しようって切り替えます(笑)」

利樹さん「そうなんですよ。応援の声が聞こえる時って、集中力が切れてる時か、ピンチの時なので(笑)。聞こえているのは聞こえているのですが、相手に集中できている時は、なんていうか、世の中と遮断されているみたいな感じなんです」

栞菜さん「でも、マイナスになることはありませんよ。手を振る余裕があったりもしますから」

(つづく)

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