2020年 4月 9日 (木)

「働き方改革」中小企業の取り組みは56% 「したくてもできない」の声も

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   2019年4月、主に大企業を対象に施行された働き方改革関連法が、今年4月からは適用範囲が順次拡大され、中小企業も対象となってくる。それを前にした19年12月16日~20年1月6日に実施した帝国データバンクの「働き方改革に対する企業の意識調査」によると、働き方改革に取り組んでいる企業を規模別にみると、「大企業」は75.7%で全体の60.4%を大きく上回っている一方で、「中小企業」は56.7%、「小規模企業」は41.6%だった。

   調査に当たった帝国データバンク産業データ分析課の旭海太郎氏は、中小企業の現状について、

「大企業との差が大きいですね。働き方改革にはマンパワーと資金力が必要です。その差が表れています。中小企業は、長時間労働の解消への対応などを最優先に取り組んでいます。『やりたくてもできない』のが現状です。法でひと括りにすることの難しさがあります」

と指摘する。

   大企業から中小・小規模企業まで、働き方改革への対応がますます重要になってきそうだ。

  • 中小企業の働き方改革は進んでいくのか……
    中小企業の働き方改革は進んでいくのか……

10.9%の企業は働き方改革に消極的

   調査によると、働き方改革に「取り組んでいる」企業は60.4%で、前回調査(2018年8月)から22.9ポイント増えた。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」の企業(16.3%)を合わせると76.7%で、4社に3社が取り組みに積極的であることがわかった。

   一方、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は2.0%、「取り組む予定はない」と答えた企業も8.9%で、合わせて10.9%の企業は消極的だった=下図参照

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   働き方改革に取り組んでいる企業を規模別にみると、「大企業」は75.7%。「中小企業」は56.7%、「小規模企業」は41.6%だった。帝国データバンクでは、2019年4月施行の働き方改革関連法では、大企業が先行して適用対象となったことが、取り組みに「差」を生んでいるとみている。

「人手不足や業務多忙で手が回らない」

   働き方改革に積極的な企業が、取り組みで最も重視する目的は、「従業員のモチベーション向上」が32.4%でトップ。次いで、「人材の定着」の20.2%、「生産性向上」の13.5%と続いた。また、「従業員の心身の健康」(11.4%)など、従業員への影響を重要視している傾向がみられる。

   企業からは、

「従業員の自主性を重んじつつ、心身の健康を最大限配慮して、働きやすく自己向上できる職場づくりを目指していきたい」(経営コンサルタント、東京都)

といった前向きな意見が聞かれたほか、

「従業員のモチベーションが上がり、生産性が上がり、やがて企業のイメージ向上へと繋がっていくと考えている」(医薬品卸売、大阪府)
「人材の採用へ向けて休日の増加に取り組んでいる」(一般土木建築工事、岩手県)

といった意見があがった。

   一方、取り組んでいない理由(複数回答)では、「必要性を感じない」が34.2%で最も高く、「効果を期待できない」の25.4%が続く。必要性や効果に、懐疑的である様子がうかがえる。

   また、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(22.4%)というように、取り組みへの難しさがあるようで、なかでも中小企業からは、

「資金力、余剰人員の問題、人材などが異なる大企業と中小企業を同じ法律で縛るのは厳しいのではないか」(アルミニウム製品製造、東京都)
「中小企業にとっては導入したくてもできない状況」(プラスチック材料卸売、東京都)
「働き方改革を進めて魅力ある企業にしなければならないことはわかっているが、人手不足や業務多忙のために手が回らないのが現状」(一般土木建築工事、長野県)
「本来は従業員間で業務量に差が生じないようにすべきだが、取引先との関係や個人の能力を考慮すると難しい」(生鮮魚介卸売、愛媛県)
「有給休暇を消化するタイミングが難しい。休むと今度は工事が滞ってしまう」(一般土木建築工事、岩手県)
などの声が寄せられている。

対応に難しさ...... 「同一労働同一賃金」で人件費アップ

   さらに、働き方改革に前向きに取り組んでいる76.7%(「取り組んでいる」60.4%と、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」16.3%の合計)の企業に、取り組みの具体的な内容(複数回答)を聞いたところ、「休日取得の推進」が77.2%でトップ。次いで「長時間労働の是正」が71.0%と、この2項目が突出して高かった。

   労務・人事面では、「人材育成」(49.6%)や「健康管理の充実」(45.9%)。また、業務改善(生産性向上)では、「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(43.6%)が、経営・事業面では「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(44.7%)などが4割を超えた。

   その一方で、今年4月から導入される「同一労働同一賃金」などの「非正規従業員の処遇改善」は22.9%、「副業の許可」は9.2%にとどまった=下図参照

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   企業からは、

「法の主旨に基づき休暇を最大限に設け、労務時間の調査と適正な報酬、主体的な業務管理に向けて研修などを行っている」(土木建築サービス、奈良県)
「時間外労働、休日出勤などの勤務管理をペーパーレス化し、時間管理の徹底を周知している」(一般貨物自動車運送、山形県)
「社内業務のシステム化で、労働時間短縮を目指している」(ソフトウェア受託開発、東京都)

といった具体的な取り組み例が多く寄せられている。

   半面、

「同一労働同一賃金で人件費は必ず上昇し、赤字になる可能性があるため、人員を削減するしかない」(金属製スプリング製造、神奈川県)

というような、対応に難しさを感じているとの意見も少なくない。

   今後の取り組みでは、「サテライトオフィスやテレワークの導入」が23.6%と最も高く、「副業の許可」(22.5%)が続いた(複数回答)。いずれも現在の取り組みでは1割を下回っていたが、今後の導入を検討しているとみられる。

   現在、働き方改革に「取り組んでいない」企業に、今後新たに取り組む具体的な内容を聞いたところ、

「フレックスタイム制などに加え、サテライトオフィスなどの新しい取り組みも検討課題に上がっている」(ソフトウェア受託開発、東京都)
「社員がより活躍できる環境を整えるために、副業の許可を進めたい」(医薬品製剤製造、大阪府)

との声があった。

   なお調査は、全国2万3652社が対象。そのうちの1万292社(回答率43.5%)が回答した。

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