2020年 12月 5日 (土)

深まる経済のデジタル化を生き延びるには「無形資産」に投資せよ! 情報・データが成長の素になる

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   日本経済や社会が今後どうなるのか――。おそらくは、ますます高まるデジタル化や少子高齢化の波が大きく影響することは間違いない。

   しかし、考えられるプロセスはさまざまで、その間にも不測の事態がないとも限らない。民間シンクタンクの日本経済研究センターの理事長を務める岩田一政さんは、ただデジタル時代には情報やデータなどが「資産化」することは間違いなく、日本が人口減少などの「向かい風」に抗して成長を続けるためには投資先を誤らないことが重要だ、という。

「2060デジタル資本主義」(岩田一政、日本経済研究センター編) 日本経済新聞出版社
  • デジタル化進む社会では、情報やデータが重要な資産に
    デジタル化進む社会では、情報やデータが重要な資産に
  • デジタル化進む社会では、情報やデータが重要な資産に

デジタル化が進んだ「未来の風景」

   今後ますますデジタル化が進んだ社会では、富を生む道具は「無形資産」になるという。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術と、それらを生かす事業の仕組みがビジネスモデルになる。

   情報通信分野の技術進歩のスピードは目覚ましく、インターネットのデータ通信量は、2008年から18年までの10年間で10倍に増加。5G(次世代通信網)の登場で、増加はさらに加速が見込まれる。デジタル化が進んだ社会では、大量の情報がデータ化されAI(人工知能)によって処理される。顧客からの問い合わせを受けるコールセンターでは、AI処理された過去の対応の蓄積を使った自動応答が可能になり、すでに仕組みの一部は実用化されている。医療面では胸部エックス線検査の画像によるAI診断などで人間の精度に追いついているという。

   こうしたサービスの高度化、デジタル化が進展する社会では、生産活動でも機械設備や建物などの不動産といった有形資産より、知識や情報のように目に見えない資産、すなわち「無形資産」の重要性が増してくる。コンピューターのソフトウエアやデータ、研究開発により得られた技術や特許などだ。このうち、国内総生産(GDP)の統計にはソフトや研究開発などごく一部しか計上されておらず、推計の試みが進められている。

   多くの国では無形資産への投資が比重を増す傾向が進行中。米国や欧州の国々では、無形資産投資が、有形資産投資を逆転している。社会のデジタル化の流れは、企業の評価額にも表れている。世界の時価総額上位10社を見ると、2003年末にはエネルギー関連企業や金融機関が半分以上を占めていたのに対し、18年末時点では、7社が米中のIT企業。「データを活用するビジネスが将来にわたり価値を生む」と市場関係者は予想しているわけだ。

日本はビジネスモデル構築で苦戦

   日本では、有形資産投資はGDP比で減少傾向。無形資産投資は増加傾向にあるものの、まだ有形資産に偏った状態。無形資産投資の内容をみると、ソフトウエアや研究開発に対してはGDP比で他の先進国に劣らないものの、組織構造や社内教育などの「経済的競争力」に関する投資が小さく、2000年代以降、減少傾向にある。「技術は進んでいるが、それを市場ニーズに結び付けて高収益につなげるビジネスモデル構築で苦戦している日本企業の平均像がここに表れているともみられる」という。

   無形資産とは、個人や企業のデータ、効率的に生産を行うためのアイデアなど。機械設備などと異なり、使用のたびに減るとか、ある人が使っているときに他の人が使えなくなるということはない。同じ資産を複数の人、企業が同時に使うことができる「非競合的」な性質から、他の企業へも恩恵をもたらす波及効果が大きい。無形資産を広く共有・利用することができれば、その規模に応じて波及効果が生じることになる。

   日本は今後、人口減・高齢化が進行。労働力人口の減少に加え生産性の伸びも鈍り、1人当たりの所得は伸びない。そのうえに、デジタル社会の資源である無形資産への投資が小さいとなると、経済成長率は2030年代半ば以降、マイナス成長の常態化が見込まれるという。だが「デジタル変革に対する適応の仕方次第で、経済社会の姿は良くも悪くもなりうる」のもデジタル資本主義の一面。人口減の日本でもプラス成長が可能なパターンがあり、そのことは章を改めて触れられている。

   本書では、現状の延長線上の標準的未来、改革が実施された場合の未来など、将来の考えられるパターン別に「未来の風景」として、具体的な描写をちりばめた短い物語が収められている。そのなかで、無形資産への投資を怠った標準的未来の物語では、鉄道会社や自動運転車のサービス会社が、利用客らの移動に関するデータ蓄積やシステムなどを米プラットフォーム企業に丸投げし、自社運営で得られた利益を手放したばかりか、高度人材にも逃げられる様子が描かれている。

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「2060デジタル資本主義」
岩田一政、日本経済研究センター編
日本経済新聞出版社
税別1800円

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