2020年 2月 21日 (金)

派遣社員の安心できる働き方 一人ひとりに寄りそう「キャリアコーチ」がサポート

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   ここ数年で大きく変わりつつある派遣社員の働き方。2015年9月に改正労働者派遣法が施行されて以降、派遣社員が同じ職場で3年を超えて継続して働くことを希望したとき、派遣元で無期雇用になることが、選択肢の一つになった。

   2018年4月には、改正労働契約法が施行され、有期労働契約が通算5年を経過した有期雇用の社員が本人の希望に基づいて無期雇用へと転換することが可能になり、2020年4月には同一労働同一賃金が導入される。

   そうしたなか、派遣社員の「キャリア開発」に力を注ぎ、無期雇用化を積極的に進めるアデコ株式会社の川崎健一郎社長に、アデコ独自のさまざまな取り組みや過渡期にある派遣社員の働き方について話を聞いた。

  • 「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」がアデコのビジョン(川崎健一郎社長。東京・霞が関のオフィスで)
    「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。」がアデコのビジョン(川崎健一郎社長。東京・霞が関のオフィスで)

派遣社員とキャリアコーチが「二人三脚」

   ―― 改正派遣法の施行によって、派遣社員が同一の派遣先で勤務できる期間に3年という上限が設けられました。この3年という期限を迎える派遣社員が同じ派遣先で働き続けることを希望したときや、派遣先企業が同じ派遣社員の方に引き続き来てほしいと思ったとき、派遣元で無期雇用になることが選択肢の一つとなりました。
派遣社員の無期雇用化についてのアデコの考えを教えてください。

   川崎社長「無期雇用の派遣社員に対しては派遣先が決まるまでの待機期間中に休業手当が生じることなどから、無期雇用化に消極的な派遣会社もありますが、当社では無期雇用派遣事業をもっとも注力するサービスの一つに位置付けています。われわれは『キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。』をビジョンに掲げており、無期雇用派遣はこのビジョンを実現するための柱の一つとしています」

   ―― 派遣社員のキャリア開発のために、どのようなサポートを用意されているのですか。

   川崎社長「まず、派遣社員の皆さんにキャリアの道筋を示すため、『キャリアマップ』というツールを2014年に導入しました。この『キャリアマップ』では、当社での主要79職種すべてにおいて職務内容と職務レベルを定義し、レベルをA~Dの4段階に分けています。レベルAは非常に高いスキルを持った方、レベルDはエントリーレベルの方という位置付けです。『キャリアマップ』によってスキルレベルを可視化することで、派遣社員は自身の能力を客観的に把握できるようになるだけでなく、どの職務にどのようなスキルが必要なのかもひと目でわかります。こうすることで、自身が目指すキャリアを実現するには何をすれば良いかが明確になります。
   大切なのは、『キャリア開発=キャリアマップ』ではないということです。キャリアアップは望まないので、同じ仕事をずっと続けたいと考えている方がいれば、われわれはそれをサポートします。しかし『人生100年時代』と言われるだけでなく、先を見通すことが今まで以上に困難な現在、同じ仕事を続けるのにもアップデートが必要です。『キャリアマップ』はそうしたときにも役に立ちます。
   派遣社員のキャリア開発を支援するもうひとつの仕組みが『キャリアコーチ制度』です。キャリアコーチは派遣社員専属の担当者で、コーチングを通じて派遣社員が自身のキャリアに関する気付きを得られるように促したり、職場で高いパフォーマンスが発揮できるようにモチベーションを高めたりします。新たなチャレンジを望む派遣社員には、どのような知識やスキルが必要になるのかアドバイスしたり、それに合わせた教育プログラムを提案したりするのも役割のひとつです」

キャリアコーチは「派遣社員専属の担当者です」

無期雇用派遣を中核事業のひとつとして推進(アデコの川崎健一郎社長)
無期雇用派遣を中核事業のひとつとして推進(アデコの川崎健一郎社長)

   ――キャリアコーチというのは聞きなれない言葉ですが、営業担当者とは別なのでしょうか

   川崎社長「まったく別です。一般的に、人材派遣会社では営業担当者が派遣先企業と派遣社員の担当を兼ねることが多いのですが、当社では企業を担当する営業担当者と、派遣社員をサポートするキャリアコーチの役割を明確に分けています。キャリアコーチは派遣社員専属の担当者ですので、たとえば派遣社員の勤務先が変わっても原則同じキャリアコーチがフォローし続けます。派遣社員一人ひとりに向き合い、どうすれば『キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。』というビジョンを実現できるのかを考えた結果、このような分業制を導入することにしました。まだ改善すべき点はありますが、この仕組みを導入した前後で比べると、派遣社員の皆さんの満足度が明らかに向上しました」

派遣社員の「キャリア開発」のための「ハケン2.5」

派遣社員に寄り添いキャリア開発を導く(アデコの川崎健一郎社長)
派遣社員に寄り添いキャリア開発を導く(アデコの川崎健一郎社長)

   ――アデコは派遣社員の新しい働き方として独自に「ハケン2.5」というサービス導入しているとうかがいました。「ハケン2.5」の特徴と狙いを、教えてください。

   川崎健一郎社長「これは、ひとつの派遣先で2年半(2.5年)以上継続して勤務している実績があれば、どの派遣会社に所属していても当社の無期雇用の派遣社員として迎え入れる制度です。『ハケン2.5』の『2.5』は、この2.5年を意味しています。
   当社からの派遣実績がない方を無期雇用の派遣社員として採用するのは初の試みだったため、サービス立ち上げにあたっては社内でもかなり議論がありました。しかし、当社のビジョンに照らしたときに、今まで私たちとのかかわりがなかったからといって、その人のキャリア開発の道を閉ざしてしまうのは、ビジョンに反するのではないかと考え、実施に踏み切りました。サービス開始発表直後から大きな反響があり、実際に『ハケン2.5』で無期雇用に転換する方も増え続けています」

   ―― 同一労働同一賃金が今年4月より始まりますが、どのように対応しますか。

   川崎社長「同一労働同一賃金制度の導入は、年功序列型の職能給から、ジョブ型の職務給への転換を意味していますが、当社で過去6年間にわたって運用している『キャリアマップ』は、職務給の考えに基づいて設計されています。そのため、同一労働同一賃金も非常にスムーズに導入することができました。人材サービス業界の中でも、当社はかなり早い段階から取り組みを始めていたと思います。
   2019年は当社の派遣登録者と派遣先企業向けに合計300回以上の説明会を開催しました。同一労働同一賃金は非常に関心の高いトピックで、定員以上の申し込みをいただくこともかなり多かったです」

   ―― 派遣社員のこれからのサポートついて、どのようにお考えですか。

   川崎社長「5年後、10年後のキャリアを考えるのは誰にとっても簡単なことではありません。常にアンテナを張り、セルフマネジメントでキャリア開発をするというのはなかなか難しい。当社は派遣社員へのコーチングを通じて気づきを促しながらチャレンジしていけるよう導いていき、一人ひとりが理想のキャリアや働き方を実現できるようにこれからもサポートしていきます」
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