2024年 4月 25日 (木)

「稼ぐ家政婦になるのが虚しい」女性の投稿が大炎上 彼氏の家事能力のなさにショック 「結婚やめろ」の大合唱だが......

   「稼ぐ家政婦になるのかと思うと... 虚しいです」というアラフォー女性の投稿が大炎上している。

   結婚してもいいと思う同世代の男性にめぐりえた。しかし、彼の一人住まいのアパートを訪れてショックを受けた。あまりの散らかりよう、汚いトイレ、浴室のカビ、ボタン1つつけられない家事能力のなさ......。

   こんな人と結婚して大丈夫? と不安になったのだ。

  • 私は稼ぐ家政婦?(写真はイメージ)
    私は稼ぐ家政婦?(写真はイメージ)
  • 私は稼ぐ家政婦?(写真はイメージ)

彼氏の部屋は「汚いトイレと浴室にカビ」

   話題になっているのは、女性向けサイト「発言小町」(2020年1月9日付)の載った「稼ぐ家政婦になるのか... 虚しいです」というタイトルの投稿だ。

「アラフォー会社員です。結婚を前提にお付き合いしている同世代の彼がいます(お互い初婚)。結婚は嬉しいのですが、ふと、この人と結婚して私はメリットあるの? と思うときがあります」

と、冒頭で書いたあとに、不安な点を以下のように列挙するのだった。

・前提として、私と彼は同業で、ほぼ同じ年収で結婚しても共働き
・彼の家(築20年の古いアパート)のトイレの壁のシミ(飛び跳ねを掃除していない)、お風呂の天井のカビを見ると、掃除が得意とは思えない(結婚したら私がやることになりそう)
・彼はよく私の料理を食べたいと言ってくるし、コートのボタンが取れたらつけてほしいとお願いされた(家事は私の担当になりそう)
・住む家へのこだわりが強く、戸建てで犬を飼いたいと譲らない(私は家の中にゴミを溜めておくのが嫌なので、ごみステーションのあるマンション希望。また、動物が嫌い)

   そして、こう心配するのだった。

「彼は、私の意見に合わせる気がなさそう。口では、家事分担すると言っていますが、彼にしてみれば、男性と同額稼ぐ嫁が来れば楽になる。学生時代一生懸命勉強し、今の仕事についたのは、誰かを楽にするためだったのか。彼が求めているのは『稼いでくる家政婦』なのではないのか......。こんな思考だからアラフォーまで売れ残るのは重々承知ですが、悩んでいます」

「そんな不精な男、ワンオペ家事になりますよ」

   この投稿に対して、「結婚はやめるべき」とする意見が大半だった。その理由の第一は、投稿者が心配するとおり「そんな不精な男、ワンオペ家事になるのは目に見えている」というものだ。

「人は変わらない。浴室天井のカビ、それだけで充分お断りする理由になります。一時が万事。一人暮らしなのにボタンつけもしないって? 小学校で習ったはず。今の私のようにストレスいっぱいの最悪の結婚生活になりますよ。ボタンつけも私が甘んじてやっています。アイツめ、できるくせに!私みたいな結婚、令和で根絶しましょう」
「やめとくほうがいいって。特にリストされている点はとても大事。価値観がズレすぎ。事前に約束や規則を作っても無意味。年齢的にいろんなことが確立している者同士だから、のちのち耐えきれなくなるのは目に見えています」
「自分の住んでいる家の掃除すらまともにできない男と結婚して何がしたいの? 家事はもちろん、ペットの世話だって絶対にやらないよ。彼は人生のパートナーが欲しいのではない。『稼ぐ家政婦』どころか『稼ぐ母親』が欲しいのです。自分のこだわりやわがままを全部聞いて、面倒くさいことも全部やってくれる母親を。私があなたの家族なら、目を覚ませ!と体を張って結婚を止めます」

   そしてもう一つ、「その結婚やめるべき」という意見の中で多かったのが、「そもそもあなたには彼に対する愛が感じられない」というものだった。

「彼を愛していますか? 結婚のいいところは『大好きな人と一緒に生きていける』という点です。メリット、デメリットと言っている時点で、彼への愛がまったく感じられない。結婚するべきではありません」
「あなたには彼氏さんに尽くしたいという気持ちがないのですか。自分の要望のみが大切で、合わせる気なしなのはドン引きです。地雷臭がプンプンします。結婚して不幸になるくらいなら未婚を貫いたほうがましですよ」
「賢いあなたが自分を分析している通り、だから縁遠いのでしょう。結婚や人を愛することは、私がこれだけしてやったのに、してもらっていないという発想では成立しません。お互いに相手に何をしてあげられるのだろう、から出発しないと悲劇です」
「30歳既婚共働き女です。私のほうが夫より年収が200万円高いです。勤務時間は私のほうが短いため、平日はすべての家事を私が担っています。私は、あなたがいう『稼ぐ家政婦』かもしれませんね。でも私は夫が大好きで、夫が仕事に打ち込めるように全力でサポートしたいと考えているので、稼ぐ家政婦だと思ったことはありません」

   また、「そんなに不安なら、何も結婚しなくても同棲したらどうか」とアドバイスもいくつかあった。

「子供を持つ気がないなら、わざわざ入籍しなくてもいいのでは。事実婚というか、同棲するだけでもいいのでは。結婚せずにパートナーでいるという方法もありですよ」
「いやあ、私の娘みたいだ。なので、アラカンおばさんから助言を。とりあえず別居婚にしなさい。ワンルームマンションを借りて、週末通い婚を。同居はしない! 相手は犬でも何でも飼えばいい。彼の財産だから、家は自分で掃除してもらう。財産は分離しておく。あと、ボタンぐらいは自分でつけてよって、裁縫道具をプレゼント。離婚しないように最初からハードルを下げておくのが大人女子の知恵です。週末はディナーデート。彼にカネを出させる。同等に稼ぐ配偶者を持てるのだから、男に譲歩させなさい!」

「私は夫の家政婦であり、夫は私の執事である」

   その一方で、結婚を勧める意見も目立った。「結婚してから家事をさせるように彼を教育すればよい」というわけである。

「私は、家事面ではまさに彼氏さんのような男性(今は夫)を、料理の面だけは改善させてから結婚しました。私の料理が食べたいと言ってきても、絶対に作ってあげませんでした。その代わり一緒に料理をしました。彼をキッチンに並んで立たせたのです。彼は料理が未経験でしたが、私が一から教えました。しかし、掃除の面では教育できませんでした。でも彼は、私が掃除をしなくても何も言いません。文句は言われないという自由さがあります」
「私はバツありです。前の旦那に何一つ家事をさせなかった。『あなたはそこに座ってて!』と言ってしまう。するとね、男は私を母親と思うのね。母親なら何をしても許してくれる。浮気三昧。あなたは勇気を出して結婚していい。そして遠慮せず彼にいっぱい家事を頼む。小さな頼みごとをたくさんした方が実は相手から好かれます。相手は頼られていると感じる。結婚して彼をジャンジャンこき使いましょう」
「私は夫のボタンが取れていたらつけてあげたいし、私の作る美味しい物を食べてもらいたい。夫は高い位置の電球が切れていたら取り換えてくれるし、外出するときは車の運転をしてくれる。夜遅くなると迎えにきてくれる。私は夫の家政婦であり、夫は私の執事である。お風呂掃除やトイレ掃除が妻の分担なら、車の洗車や換気扇の掃除が夫の分担にすればよい。若く結婚した人だって、すり合せをしながら一つの家庭を作っていますよ。成熟した大人同士、話し合いで解決することは多いと思います」

   また、「家事をしない程度なら、DV男などに比べればいいではないか」という意見もあった。

「はっきり言って、あなたがあげている事柄は大した問題じゃない。アラフォーなら、すべての理想に当てはまる男性などなかなか現れません。ギャンブル、借金、暴力、酒乱、浮気性なら問題ですが、それ以外はどちらかが譲歩すれば解決する問題。アラフォーなのに意地を張ってすべて自分の意見を通すようでは、彼に限らず結婚はうまくいきません」

「家事は女性がするものという固定観念にとらわれてはダメ」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開する「ビースタイル」の調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、今回の「稼ぐ家政婦になるのが虚しい」論争について意見を求めた。

――今回の「稼ぐ家政婦になるのが虚しい」という投稿騒ぎを読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「投稿者さんが悩まれているということは、『稼ぐ家政婦』になるつもりはない、と明確な意志を持っているわけでもないのだと感じました。もし夫婦対等に共働きすることを前提にしているのであれば、理屈上は『稼ぐ家政婦』になる必要はないはずです。それでも『稼ぐ家政婦』になることを視野には入れているということは、家事は女性がするものという固定観念の呪縛が、投稿者さんの心情に少なからず影響を及ぼしているのではないかと思いました」

――なるほど。投稿者自身にも家事は女性が担うものという先入観があるから悩んでいるというわけですね。「結婚すべきではない」という意見の大半は、「不精な男と一緒になっても、あなたの予感どおり『稼ぐ家政婦』になるのを目に見えている」というものです。こうした意見についてはどう考えますか。

川上さん「投稿者さんの中に、自分が家事をしなければならないという気持ちがあれば、夫婦の関係性はそのようになっていくと思います。つまり、そのままなら投稿者さんは本当に『稼ぐ家政婦』になってしまう心配があります。もし、働き方は対等なのに家事負担はすべて投稿者さんに乗っかってしまうとしたら、一般的な感覚からしても確かに不公平だと感じます」

「男ヤモメにウジがわく。女ヤモメに花が咲く」は昔話か

――投稿者は難しい選択の岐路に立っていますね。個人的な話になりますが、私が独身だった1970年代(昭和40~50年代)には「男ヤモメにウジがわく。女ヤモメに花が咲く」という言葉があり、独身男が部屋を散らかし放題にしているのは、ごく当たり前の光景でした。回答者たちの意見を読むと、そんな男は許されない時代に変わっていますね。近年、急増している40代、50代の「結婚できない男たち」問題の背景には、「家事ができない男はアウト」という女性の意識があるのでしょうか。

川上さん「統計上、40代、50代男性の未婚率が女性よりも高いのは、男性が再婚する際に女性は初婚のケースが多いのに、逆は少ないからだという指摘もあります。つまり、モテる男性が何回も結婚して複数の妻を得るぶん、モテない男性があぶれてしまうという図式です。
また、40代、50代が子どものころは、まだ『夫が稼いで妻が家事』という価値観が根強く残っており、今とはかなり違っていました。しかし、女性の就業率が上昇を続け、徐々に夫婦対等に共働きする時代へと移り変わっていく中で、女性自身の意識変化は進んでいったと思います。その一方、もちろん個人差がありますが、男性は子どものころに植え付けられた価値観のままの人が多く、女性ほどには進んでいない可能性はあるかもしれません」

――ところで、もう一つ「結婚すべきではない」という意見の中で多いのは、「投稿者に彼に対する愛が感じられない」「彼に尽くしたいという気持ちがあるのか」といった「結婚=愛のゴール」という古典的な結婚観があり、投稿者の打算的な考えを批判しています。こうした考え方についてはどう思いますか。

川上さん「結婚観は人それぞれに違いがあってよいと思いますが、中には投稿者さんに『結婚=愛のゴール』という結婚観がなさそうに見える点に疑問を感じる人もいるのだと思います。しかし、そのことよりも、打算的に見えてしまう結婚によって投稿者さんや夫、そして周囲の人たちまでも、後々不幸になってしまうことがないかを懸念しているのではないかと感じます」

「事前にお試し同棲するというのも一つの方法」

――一方、「結婚しなさい」と勧める意見の中には、「彼に家事をするように教育すればよい」「それでもだめなら離婚すればよい」と、まずは結婚してから考えなさいという意見が多いです。こうした意見についてはどう思いますか。

川上さん「むしろ、良くも悪くも結婚してから夫婦の関係は変わっていくことのほうが多いです。お子さんができれば、その変化はより大きくなるかもしれません。結婚前にすべてを想定しておくことは難しいはずです。そういう意味では、結婚してから変えていく、という考え方にも一理あります。
回答の中にあるアドバイスの、事前に同棲してシミュレーションするというのは一つの方法のように思います。別居結婚からスタートするという方法もあるのかもしれませんが、結婚すれば籍を入れることになるので、ご当人同士はもちろんのこと、それぞれのご両親たちの理解を得るよう配慮する必要があるかと思います」

――川上さんなら、投稿者にズバリ、どうアドバイスしますか。

川上さん「結婚前はとても仲が良かったのに結婚後はうまく行かなくなるご夫婦もいれば、お見合い結婚ですが、結婚後にお互いへの理解が深まって、おしどり夫婦となられるご夫婦もいます。結婚後に上手くいくかどうかを心配する気持ちは当然だと思いますが、おそらくはどれだけ考えても確実な答えは出てこないでしょう。
大切なのは、夫になる方と一生一緒にいたいと思うかどうか。そして、生涯を通じて自分たちが幸せになることはもちろん、周囲を不幸にしない覚悟が持てるかどうかだと思います。家事などは、そのためにクリアすべき課題の一つにすぎません。覚悟に必要なのは、判断ではなく決断です。最終的にどのような結論を出されたとしても、ぜひ考え抜いた末のご自身の決断を信じて、前に進んでいただきたいと思います」

――なるほど。「案ずるより産むが易(やす)し」ということですね。

川上さん「投稿者さんが『稼ぐ家政婦になるのではないか』と悩まれている背景には、今就いている仕事への想いも関係しているように感じます。結婚や出産はキャリアに影響を及ぼします。だからこそ、ご自身のキャリアを今後どうデザインし、どのように発展させていくか、という観点も交えて、決断していただきたいと思います」

(福田和郎)

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