2020年 4月 9日 (木)

なお続くドラッグストア業界再編 マツキヨ首位返り咲きなるか

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   少子高齢化による市場の縮小、ライフスタイルの変化などで、従来のやり方ではモノを売るのが難しくなっている。

   たとえば、クールビズをきっかけにオフィスのファッションがカジュアル化、ネクタイを締めた通勤姿が減っているのもその表れの一つ。また、ネット時代なってECが伸張したことなど、小売業界では時代の変化に合わせ、近年は企業が生き残りをかけ離合集散を繰り返してきた。

   本書「最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」によると、加速している業界再編はいよいよ最終局面。その締めくくりはドラッグストアの大型統合と予測する。

「図解入門業界研究 最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]」(平木恭一著) 秀和システム
  • 業界再編で製品が安くなるなら消費者は大歓迎!?
    業界再編で製品が安くなるなら消費者は大歓迎!?

高齢化や健康志向の高まりでビジネス拡大

   現在、街のあちこちにあるドラッグストアは、消費者にとってコンビニと同じくらい、人によってはコンビニ以上に親しみを感じている小売チェーン。デパートやスーパー、コンビニはそれぞれ再編が落ち着き、次のフェーズの戦いに臨んでいるところだが、ドラッグストアまだ再編統合の動きが止んではいない。

   ドラッグストア業界は、高齢化や健康志向の高まりを背景にビジネスを拡大。当初は「薬屋」「薬局」の範疇だったものが、日用品からドリンク剤、化粧品などへと品揃えを充実させ、業界そのもののプレゼンスを拡大した。

   さらには食品も揃えるようになり日用品ともども集客力をアップ。利益率が高い市販薬の購入を促す作戦が当たり成長を続けた。

   また、医薬分離が進んだことが追い風に作用。ドラッグストアでの調剤薬販売機会が増えて、さらに業界成長に拍車がかかったという。

   だが、しばらくすると調剤薬の取り扱いに必要な薬剤師が不足する事態となり出店ペースが鈍化。とくに都市部ではコンビニや、小型店展開を図るスーパーとの競合が激しくなり場所の確保も難しくなってきていた。さらに、いわゆるインバウンドによる大量購入にも「一服感」が出て、業界内では再編統合の動きが強まった。

ツルハホールディングスを追え!

   ドラッグストア業界では成長過程の中で、北海道を地盤とするツルハホールディングスが企業買収を重ねて躍進を遂げた経緯があり、各社がこれを範に、規模の拡大で可能になる大量仕入れをテコに価格競争力を高め生き残りを画策しているという。

   1929年に旭川で創業したツルハは、87年に東京に進出。95年に流通最大手ジャスコ(現イオン)と資本・業務提携した。そして、2001年に神奈川県で薬局チェーンを展開する「リバース」を買収(M&A)して子会社化。06年には千葉県の「くすりの福太郎」、09年に島根県の「ウェルネス湖北」を傘下に収めた。

   その後もM&Aの意欲は衰えず買収を続け、店舗数は2019年5月時点で2000を超えた。19年5月期決算では、売上高は前期比16.2%増の7824億円、営業利益は同4.0%増の418億円で増収増益となり、堂々と業界首位に輝く。

   業界でいま注目されているのは、かつて業界の雄だったマツモトキヨシホールディングスだ。マツキヨは2015年まで20年以上にわたって売り上げで首位を続けてきたが、ツルハの買収による進撃でわきに追いやられ現在では業界5位に甘んじている。そこで、このままでは終われぬとばかりに発起。19年4月に業界7位のココカラファインと資本・業務提携に向けた協議を進めると発表した。

   しかし6月に入り、ココカラファインが業界6位、「スギ薬局」のスギホールディングスとの経営統合の協議に応じると明言。マツキヨはこれを受けて、ココカラファインとの協議範囲を経営統合に拡大。再編をめぐる3社の駆け引きが過熱した。

   結局、8月になってココカラファインは医薬品や化粧品で共通の強みを持つマツキヨとの協議を選択すると発表。統合は21年10月に予定されている。実現すれば、マツキヨは売上高1兆円、店舗数3000店となり、ツルハを抜いて業界トップとなる。

デパートは不動産に軸足か

   本書では、ほかに「スーパー編」ではイオングループとセブン&アイ・ホールディングスの2強対決に焦点を当て、「デパート編」では各社が不動産業に軸足を移そうとしている現状を報告。「家電量販店編」では、住宅リフォームや酒販事業など、企業によってさまざまに多角化を目指す様子が描かれ興味深い。表紙の惹句にある通り「業界人、就職、転職に役立つ情報満載」だ。

   著者の平木恭一さんは、金融業界を中心に取材・執筆している経済ジャーナリスト。金融業界紙編集長を務めるなど金融業界の取材歴30年を誇る。近年は小売、コンビニなどに取材範囲を広げ、精力的に執筆活動を行っている。

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「図解入門業界研究 最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]」
平木恭一著
秀和システム
税別1300円

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