2021年 6月 20日 (日)

増える所有者不明の土地 改正土地基本法で「歯止め」はかかるのか!?(鷲尾香一)

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「骨太の方針」で打ち出されたものの......

   所有者不明の土地などは、

(1)土地需要の減少と資産価値の低下
(2)相続した土地を利用する必要性の低下
(3)土地と居住地の遠隔化
(4)土地の売却・貸付けの困難化
(5)土地の利用・保有意識の低下
(6)法定相続人等による共同相続・共有・遠隔地居住

といった土地所有形態の増加などの要因により増加を続けている。

   しかし、所有者不明の土地は、土地の利用・管理・処分ができないうえ、所有者探索に多大の手続コスト(時間・労力・費用)を要する。そのうえ、所有者がわからない土地は手入れがされず、周辺の生活環境が悪化する原因となるほか、防災やインフラ整備の障害ともなる。

   今回の土地基本法改正案では、「土地の適正な利用・管理の確保」と「地籍調査の円滑化・迅速化」などが行われる。

   「土地の適正な利用・管理の確保」では、土地所有者等の土地の適正な「利用」「管理」に関する責務(登記等権利関係の明確化、境界の明確化)を明らかにし、国・地方公共団体の講ずべき施策について土地の適正な「利用」「管理」を促進する観点から見直すとともに、土地政策全般の政府方針(閣議決定)として土地基本方針を創設する。

   「地籍調査の円滑化・迅速化」では、2020年度からの新たな国土調査事業10か年計画を策定するとともに、所有者探索のための固定資産課税台帳等の利用、所有者等からの報告徴収、地方公共団体による筆界特定の申請等の調査手続の見直し、都市部における官民境界の先行的な調査や、山村部におけるリモートセンシングデータを活用した調査といった地域特性に応じた効率的な調査手法を導入する。

   これにより、政府は土地所有者に適正な管理の責務があることを明確し、所有者不明土地の増加を抑制し、都市開発や公共事業の迅速化につなげたい意向で、年内の施行を目指している。

   今回の改正は、本格的に土地所有者の管理の責務を明確化するもので、これまで「お題目」だった所有者不明土地問題の解決が一歩でも前進することを期待したい。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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