2021年 4月 11日 (日)

いないはずの「移民」が支えるニッポン、外国人と上手に付き合うために......

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   2019年4月に改正入国管理法が施行され、外国人労働者の受け入れに道を開いたことで、日本は「移民国家」へと舵を切った。

   安倍晋三首相は国会の答弁で「移民政策はとらない」と繰り返しているが、すでに日本の経済は「移民」抜きでは成り立たないということが「非公然の事実」になっている。

   そして、少子高齢化の進み方に照らせば、今後は街に、職場に、ますます外国人が溢れていくであろうことは、誰の目にも明らかだ。本書「となりの外国人」は、移民先進地域などを引き合いに、外国からの「移民」との付き合い方を論じている。

「となりの外国人」(芹澤健介著) マイナビ出版
  • 外国人の割合は日本の人口の割合でみれば約2%。50人に1人は外国人だ
    外国人の割合は日本の人口の割合でみれば約2%。50人に1人は外国人だ
  • 外国人の割合は日本の人口の割合でみれば約2%。50人に1人は外国人だ

日本の「移民」広辞苑の「定義」で146万人、国連式なら280万人

「人手不足が深刻化しているため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受けいれていく仕組みを早急に構築する必要がある」――。

   安倍首相は2018年6月の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)で、少子化や人手不足への対応について触れ、こう述べた。そして早くも同年秋の臨時国会で改正入管法を可決した。産業界から強い要請があったことをうかがわせる。

   「拙速すぎる」と反対する野党を押し切る格好で走り、19年4月に施行されたが、安倍首相は「移民政策は断じてとらない」と強調。「深刻な人手不足に対応するため、即戦力になる外国人材を期限付きで受け入れる」などと繰り返していた。

   安倍首相が「移民政策はとらない」と言い続け、日本国内にいる「移民」の存在を否定しているのは、移民という言葉にネガティブなイメージがあり、選挙でプラス要因にならないことが考えられる。

   自民党独自の定義では、「入国時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受け入れは『移民』には当たらない」というもの。この定義だと、日本にはほとんど移民がいないことになる。

   一方、広辞苑の「移民」の定義は「他郷に移り住むこと。特に、労働に従事する目的で海外に移住すること」。国連統計局では「国外で3か月以上暮らす人」を「短期移民」、「1年以上」だと「長期移民」と呼ぶ。広辞苑の定義に従えば、日本の「移民」は約146万人。国連式のカウントなら約280万人になる。

「ワラビスタン」に「リトル・エチオピア」って、どこ!?

   安倍首相らが「移民」の存在を否定しても、日本で暮らす外国人の人口はすでに京都府の人口(約254万人)より多い。日本の人口減の歯止めの役割を担っているのは外国人というのが現実なのだ。

   日本の総人口の割合でみれば約2%、50人に1人が外国人という計算だ。

   東京都新宿区。総人口約35万人のうち、外国人は約4万3000人と12.4%を占める。新宿区が特徴的なのは20歳人口に限ってみると45%が外国人であり、特に外国人の多い大久保地区では、その割合が87%になるという。新宿区のもう一つの特徴は外国人住民の出身国・地域の多彩さ。実に126か国に及び、まさに国際都市の様相を呈している。

   新宿区の成人式には、外国人の新成人はそれぞれの国の民族衣装を着けて参加。そのなかでタイ人留学生だけはリクルートスーツ姿で、著者がその理由を聞くと「できれば日本で働きたいので、いま就職活動をしている」という。「夢は日本で働くことだが難しい。どうなるかわからない」と続けた。

   東京都に近い埼玉県南部の川口市や蕨市には、クルド人のコミュニティーがあり、クルド人の故郷の呼び名であるクルディスタンと蕨をかけて「ワラビスタン」と呼ばれる。 日本全国には約2000人のクルド人が住んでいるが、その6割ほどが埼玉南部で暮らしているという。1990年代の初めに、JR蕨駅周辺にクルド人が住み始め、以来、徐々に増えたものらしい。

   クルディスタンは、トルコ、イラン、イラク、シリアにまたがり、「ワラビスタン」のクルド人のほとんどは、それぞれの国に戻ることはできず日本で難民申請している。しかし過去にクルド人が認定された例はなく、みな「仮放免」という状況だ。

   難民としては認めないが人道的な判断から在留は許可するという「仮放免」は、就労は認められず、健保加入も不可、移動も著しく制限されている。そして、いつ入管に収容されるかわからない状況の中で毎日を過ごしている。

難民申請は10年以上認められない......

   東京都葛飾区の四つ木周辺には「リトル・エチオピア」と呼ばれる地域がある。80人ほどのエチオピア人が暮らしており、多くは政情不安定な母国から逃れて、短期ビザで入国し難民申請中。クルド人の「仮放免」とは異なり、職業に一定の制限がある「特定活動」という在留資格を認められている人もいる。そういう人でも難民申請は10年以上認められないという。

   外国人のコミュニティーとしてはほかに、東京都新宿区、高田馬場地区にあるミャンマー人の「リトル・ヤンゴン」が知られている。本書では、「ワラビスタン」や「リトル・エチオピア」の住人らの先行きの不透明な暮らしぶりについて報告されているが、その内容は安倍首相らの「移民はいない」という主張の一方で、移民以前の状態の人が少なからず存在することを伝えてもいる。

   著者の芹澤健介さんは、長年、日本在住の外国人の問題を取材してきたライター、編集者。著書に「コンビニ外国人」(新潮新書)、共著に「死後離婚」(洋泉社)などがある。 「旅行者ではなく、生活者として日本で暮らし、働いている外国人が増えている。アパートやマンションのおとなりさんが外国人、という状況もいまでは決して珍しくない」と芹澤さん。「決して珍しくない」にもかかわらず、「移民」がいないことになっているためか、なかなか光が当たることがない「日本社会のなかの外国人」に本書では光を当てた。さまざまな移民先進地域が紹介されているのも、その狙いの一つだ。

   本書ではほかに、高齢人口を多く抱える大規模自治体ばかりか、山中の過疎に悩む小さな自治体までもが、独自に外国人材の発掘に乗り出している様子などについてのルポや、関係者のインタビューも盛り込まれ、日本の「移民」について、立体的にアプローチできる一冊。

「となりの外国人」
芹澤健介著
マイナビ出版
税別850円

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