2021年 9月 26日 (日)

役立つヒントが満載! 元SMAP中居さんが退所会見でみせた「逃げない」姿勢を学べ(大関暁夫)

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   国民的アイドルグループのリーダーだった元SMAPの中居正広さんが、所属していたジャニーズ事務所を、2020年3月一杯で退所することになり、記者会見を開きました。

   この会見がなかなかの評判で、中居さんの人柄、いや「人たらし」と言えそうなぐらい、好感度の高いやり取りが各方面で大絶賛されました。私もYouTubeで全編見返してみましたが、上司の部下との信頼づくりや経営者の取引先との関係づくりに役立つヒントがあるように感じましたので、そんな観点からこの会見のポイントを探ってみます。

  • 経営者は中居正広さんの「逃げない」記者会見に学べ!(写真は、2020年2月の退所会見)
    経営者は中居正広さんの「逃げない」記者会見に学べ!(写真は、2020年2月の退所会見)
  • 経営者は中居正広さんの「逃げない」記者会見に学べ!(写真は、2020年2月の退所会見)

「リスペクト」する気持ちの表し方

<ポイント1 恩義を示すことの共感>

   事務所からの独立、退所というと、とかくトラブル、ケンカ別れ、自分勝手...... のような悪いイメージで捉えられがちなのですが、中居さんの独立・退所は過去に例のないほど好意的に受け入れられているようです。

   その大きな要因と言えるのが、故ジャニー喜多川氏に対する「恩義」と氏に対する感謝を全面的に表しつつ、今回の発表に臨んだということがあるように思います。

   中居さんのジャニーさんに対する「恩義」とは、ジャニーさんなくしてSMAPも中居さんも存在し得なかったということを、これまでもことあるごとに言葉にするだけでなく態度で示してきたこと。そして今回の会見では、なんとジャニーさんの遺骨の欠片をミニチュアボトルに入れてお守り代わりに大切にして持ち歩いていることを明らかにしました。私はテレビのニュースで会見のVTRを見ましたが、驚きとともにある種の感銘すら受けました。

   尊敬する人や、お世話になった人に対する「恩義」やリスペクトの気持ちを周囲に見えるように表明することは、ほぼ間違いなく好意的に受け入れられるものです。「恩義」やリスペクトの表明は、感謝の気持ちを忘れない人間であるということや、高慢さとは正反対に位置する謙虚さや真摯さをイメージさせることにつながるからです。自分が誰に「恩義」を感じ、あるいは感謝の気持ちを抱いているのかは、遠慮なく表現して何の問題もない、いやむしろ積極的に表現すべきなのだと教えられた気分です。

会見下手の経営者は中居さんを見習え!

<ポイント2 気遣いをみせることによる引き込み>

   中居さんは、周囲の誰もが口をそろえるほど、ふだんから気配り屋で気遣いのある人なのだといいます。今回の会見でも、予定開始時間よりも早く登場して、自ら前説的な役割を買って出ることでカタくなりがちな場の雰囲気を和らげたり、あえて司会者を置かず自ら進行役を務めたりすることで、記者との距離を直接縮める努力をしているのがよくわかりました。

   気遣いとは、相手に対して待ちの姿勢ではなく、自ら動くこと。こちらから動くことで、相手に不要な心配や不安を与えない。それが相手に対して何よりの気遣い、気配りになるわけなのです。

   先手を取られ、相手の自分に対する気遣いを感じさせられた側は、相手に対する警戒心や対抗心から解き放たれ、圧倒的な距離感の短縮を感じることになるでしょう。中居さんの気遣いの数々は、そんなことを教えてくれています。

<ポイント3 ごまかさない正直さに対する好感>

   会見の受け答えでの中居さんは、会見下手が多い企業経営者に見習ってほしいと思うほど、見事な対応であったと思います。ポイントは、「正直であること」「ごまかさないこと」「逃げないこと」です。終わってから、よくよく考えたら、「なんとなくうまくかわされた」ということでもいいのです。聞き手に不快感、不満足感を残さないということが重要です。

   「ノーコメント」として質問を突っぱねたり、訴訟や捜査を理由に「その点に関しては、コメントを差し控えさせていただきます」などと言って、その場を逃げるのは、一見筋が通っているようで、じつはものすごく取材サイドに不快感、不満感が残る受け答えなのです。

   不快感、不満感が残れば、同じことを報道するのにも、書き手のトーンはまったく変わってしまいます。会見を開いたことで、かえって批判的なトーンで報道されてしまうというケースは、たいていはこの点で失敗しているものです。

中居さんの会見が高評価なワケはこれだ!?

   中居さんの会見の中で、一番きわどかったのは、「SMAPは不仲だったのですか?」という質問。皆が一番聞きたいと思われる質問を代表して記者がした、そんなイメージでした。彼の回答は、ひと言目が奮っていました。

「え、なんで知ってるんだろう」
「よくご存知で」

と。

   皆知りたいと思っていることを、回答拒否したり、無視したりすれば印象は確実に悪くなります。ビデオで見返してみると、全体では核心に迫るところは回答をボカしているのですが、ひと言目の入りの印象で、それを感じさせないあたりの対応はさすがであった、と言えそうです。

   以上が中居さんの退所会見から、なぜ彼の会見が一般的に高評価なのかを考えてみた結論としてのポイント3点になります。そこでこの3点ができなかったらと、逆手に考えてみると、日頃の部下との関係やお客様との関係改善のヒントがさらに明確に見えてきます。 すなわち、

「人に対する恩義を感じさせない姿勢のダメさ加減」
「相手に対する気遣いのない自己利益追求の自分勝手な言動」
「肝心なことに対する無視、ごまかしによる不信感」

が、日々のさまざま場面で物事の進みを悪くしているのではないだろうか。そんな目で自己チェックしてみるものいいかもしれない、と思わされた会見でした。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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