新型コロナウイルスの感染拡大にともない、開催が危ぶまれている東京オリンピック・パラリンピック。安倍晋三首相は、G7首脳による緊急テレビ電話会議で「完全な形で実現することについてG7の支持を得た」と説明しましたが、海外メディアは見事にスルー。それどころか、戦時中を彷彿させる非常事態のさなか、「予定どおり開催する」との強気発言を繰り返す関係者に「おとぎの国の住民か?」との辛口報道まで登場しました。IOC(国際オリンピック委員会)の対応にも批判が集まるなか、果たしてどんな結論が待ち受けているのでしょうか?「安倍会見」に英国アスリートは「僕は確信できない」WHO(世界保健機関)が「パンデミック」を宣言した後も新型コロナウイルスの勢いは止まりません。新たな震源地となった欧州では連日多くの方が亡くなっていると報じられています。ひと足遅れて「緊急事態宣言」を打ち出した米国でも、出入国が制限されたり、レストランや劇場が休業したりするなど、刻一刻と状況が深刻化しています。そんななか、東京五輪・パラリンピックに対する海外の反応がガラリと変わってきました。世界中であらゆるスポーツ大会が延期(もしくは中止)に追い込まれ、自分や家族の生活を守ることに必死な人にとって、「オリンピックどころじゃない」というのが本音でしょう。そんなことから、安倍首相が記者会見で「東京オリンピックは予定どおり開催したい」と述べたことも、海外では皮肉交じりに報じられています。JapanisstillpreparingtohosttheOlympics,despitegrowingglobalconcernoverthecoronavirusoutbreak:米CNNテレビ)(日本は、世界的な新型コロナウイルス拡大の懸念が広がっているにも関わらず、まだオリンピックの準備を進めている:米CNNテレビ)このCNNのニュースに寄せられたコメントも、「PMAbewillbetheloser」(安倍首相の負けだろう)「Celebrationofdeath?」(死者の祭典にする気?)といった辛口ばかり。次のコメントがかろうじて気持ちをホッとさせるほどです。「I'mbettingonaoneyeardelay」(僕は1年延期に賭けるね)著名アスリートも、安倍首相の「強気会見」に辛口な反応を示しています。ThepressconferencethatIsawfromtheJapaneseprimeministerdidn'texactlyfillmefullofconfidencethattheseGamesaregoingtogoahead(僕が見た日本の首相の記者会見からは、五輪が無事開催されるという確信を得られなかった:ガイ・リアマンス選手)陸上の英国代表のキャプテンで男子800メートル走のガイ・リアマンス選手は、「安倍首相の記者会見からは五輪開催の確信が持てなかった」として、IOCに延期を求めたと報じられました。こういった選手たちの延期を求める発言は増えていて、「アスリートファースト」をうたうIOCの決断にインパクトを与えそうです。IOC、それとも東京?「誰が最初に中止を言い出すか」のガマン比べそれでも、海外メディアの報道を見る限りでは、批判の矛先は日本(安倍首相)よりもIOCに向けられているようです。プロセスを明らかにせず、ひたすら「延期も中止もない」と強気発言を繰り返す関係者に不信感が強まっているようです。CanOlympicorganizersbetrustedtomaketherightcallonTokyoGames?(オリンピックの関係者たちは、東京五輪について正しい決断をすると信用できるだろうか?:USATODAY)maketherightcall;正しい決断をするTheIOCstillinsiststheOlympicsarehappening-theyarelivinginfantasyland(IOCはまだオリンピックを行うと主張している。彼らはおとぎの国に生きているのだろうか)もちろん、オリンピック開催の裏には、米NBCの放映権料をはじめとする巨額の資金が動いていて、中止か延期に至ったときには、莫大な経済的損失が発生することは周知の事実です。一説によると、IOCもNBCも不測の事態を想定して保険に加入しており、損失は最小限にとどまる、とも。それでは、誰が最終的な判断を下すのでしょうか?英BBC放送のスポーツ編集長は、「IOCが権限を握っているが、IOCはWHOの専門家や日本政府の助言に従って動くことになる」としています。そして、「WHOか日本政府がIOCに大会続行は無理だと告げるまでは、IOCが延期や中止を急ぐことはない」と予想しています。中止や延期の判断は「将来的に他の都市の立候補を妨げてしまう可能性があるから」だそうです。こういった状況を、米メディアのUSATODAYは次のように報じています。Notintermsofthecontract,justintermsofwhoblinksfirst(契約の問題じゃなくて、誰が真っ先に屈するか、の問題だ)blink:まばたきするIOCか、WHOか、それとも日本政府の誰が真っ先にガマンできなくなって瞬きをしてしまうのか――。そんな「ガマン比べ」モードに入っているようです。これまで数々のトラブルを乗り越えてきたIOCのバッハ会長は「ガマン比べ」にも長けていることでしょう。それでも、世界各国で代表を決める選考試合が相次いで延期(もしくは中止)になっているような「危機的な状況」に、アスリートからの悲鳴は増すばかりです。果たして、誰が「ガマン比べ」にピリオドを打つのか。ここ数日の動きに大注目です。◆新型コロナウイルス注目ワードVo1.5「panicbuying」(買い占め)残念なことに、世界中で「panicbuying」(買い占め)による騒動が起きています。オーストラリアのスーパーでは、商品を奪い合って相手にケガを負わせた男性が逮捕されるといった事件がありました。Coronavirus'panicbuying'hitsAustraliansupermarket(オーストラリアのスーパーで、コロナウイルスによる買い占め騒動が起きた)人々が「買い占め」している商品は、トイレットペーパーが万国共通のようですが、欧米ではパスタが真っ先に棚から消えているようです。パンよりも保存が利くパスタの方が、非常時にはニーズがあるのでしょうか。(井津川倫子)
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