2021年 7月 31日 (土)

新型コロナの「真実」 クルーズ船ルポの感染症医師が明かした「パニック」への対処法

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   新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府による「緊急事態宣言」が全国に拡大して発令されて、「制限」や「自粛」をめぐって、さまざまな影響が取り沙汰されている。

   じつは、社会が感染症リスクに見舞われたときには、誰にとっても等しく危険であることから、必ずといっていいほど感染症そのもの以外の問題が表れるのだそうだ。その典型例が「パニック」。6年前に刊行された「『感染症パニック』を防げ! リスク・コミュニケーション入門」は、コロナ禍の現状を思わせる指摘が多く、今見直されている一冊。このほど6刷が増刷された。

「『感染症パニック』を防げ! リスク・コミュニケーション入門」(岩田健太郎著)光文社
  • 対処療法しかない今は「コミュケーション」も大事は対策(国立感染症研究所提供)
    対処療法しかない今は「コミュケーション」も大事は対策(国立感染症研究所提供)
  • 対処療法しかない今は「コミュケーション」も大事は対策(国立感染症研究所提供)

行く先々で感染症の流行に......

   著者の岩田健太郎さんは、神戸大学医学研究科感染症内科の教授。新型コロナウイルスの感染者が見つかり、その後感染が蔓延したクルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号に乗船し、船内の様子を世界に伝えたことでも知られる。

   本書は、岩田教授が2014年に著した。感染症の被害拡大を防ぐために大切なことはコミュニケーションだとして、その方法を解説している。新型コロナの感染拡大につれて本書への注目度も高まり、売り切れになる書店も相次いでいた。

   岩田教授が本書を執筆していたころの2014年は、西アフリカ各地でエボラ出血熱の流行。直接のかかわりはなかったが、あちらこちらの医療者、医療機関から問い合わせを受けたという。

   米国ニューヨークで勤務していた2001年には「9.11」テロ後に起きた「炭疽菌によるバイオテロ」対策に関与。その2年後には北京で「SARS(サーズ)」対策に従事した。2009年には神戸市で見つかった「新型インフルエンザ」症例の対策に関わるなど「行く先々で感染症の流行に見舞われている」キャリアを持つ。

   これらの経験から「病原体を見つけ、その病原体を殺して治療する以上に必要」と感じたものが「コミュニケーション」だ。

パニックも「リスク不感症」も問題

   リスクがあるときには、コミュニケーションが非常に大きな影響を与える。2011年の東日本大震災にときはSNSが普及しはじめたころで、それ以前のどんなリスク時に増して、携帯端末での情報収集、情報発信が盛んに行われた。すでに充実した機動力を備えていたテレビも影響力も大きく、街を飲み込んでいく津波の映像は、見る人を恐怖に落とし入れた。

   なかでも、リスクが感染症であるときには、効果的なコミュニケーションが非常に重要。頭痛がしたり、胃が痛くなったりするのはもちろん、ガンや心筋梗塞などの病気はどれも怖いものだが、直接「外」からやってくることはない。

   しかし感染症の病原体は外からやってきて、しかも見えない。コミュニケーションを誤れば、感染症の実害以上に「パニック」の発生が問題になることもある。

   とはいえ、パニックが起きさえしなければよいというものではない。逆に感染症のリスクに「不感症」になって回避行動をとらないという状態になるのも問題。コロナ禍に見舞われている今は、どちらかというと、こちらに近いかもしれない。

   リスクをどう捉え、どう伝えるか――。十分か、そうではないかという評価は別にして、安倍晋三首相や小池百合子東京都知事がことあるごとに、記者会見を開いて状況や対策を説明しているのは、リスク・コミュニケーションの実践だ。

   本書では、「リアルで効果的な」感染症のリスク・コミュニケーションが論じられている。その内容は、感染症のリスクを伝える立場の人たちにはもちろん有用だが、感染のリスクにさらされているわたしたちにとっては、本書を読むと、問題を担当している政治家や専門家が何を伝えようとしているのかが、より理解できるに違いない。

「『感染症パニック』を防げ! リスク・コミュニケーション入門」
岩田健太郎著
光文社
税別860円

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