2024年 4月 29日 (月)

テレワークで進展する「成果」評価 成否の分かれ目は「管理職」にあり!(大関暁夫)

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   「コロナ危機」によって、いきなり「働き方改革」の実践を余儀なくされた日本。それまで一部の大企業での実験的導入や新進のIT企業あたりでしか見られなかった、テレワークという名の勤務体系が突如として当たり前の世界に転じました。

   Zoomに代表されるオンライン会議のアプリケーションが驚異的なダウンロード数を記録したり、企業が在宅用PCの調達に走り中古PCが市場から消えたりするなど、にわかテレワークブームが巻き起こっています。

  • テレワークに戸惑いも……
    テレワークに戸惑いも……
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オンライン会議なら時間を有効に使える

   じつは、テレワークは2013年に安倍政権のアベノミクス戦略の中で、その促進が盛り込まれていました。当時の目標は、「2020年に、週一日以上在宅勤務する雇用型在宅ワーカーを全就業者の10%以上にする」というもので、女性の就業支援策の一環でした。

   今の、極力外出を控えるという情勢下での在宅勤務率は、50%を超える状況にあろうかと思いますが、これはあくまで有事の緊急避難的な措置であり、当然これをもって目標達成とはできないでしょう。

   しかし、コロナ危機が終息に向かった後にも、今回の経験がテレワークの定着に貢献することは間違いなく、結果として平時の目標の達成も確実な状況にありそうです。

   私自身も4月以降は、ほぼ100%テレワーク状態が続いています。仕事柄、これまでクライアント先に出向いて行なってきたミーティングや会議は、すべてオンライン化に移行し、自宅兼事務所ではそのための、あるいはそれを受けた資料および企画づくりという流れになりました。

   利点は、これまで月に1~2回訪問して、打ち合わせや議論に1~4時間ほどを費やしてきたのが、まず移動時間がゼロになるということ。これは大きいです。移動にいかにムダな時間を費やしていたか、今まで当然のこととしてあまり意識してこなかった事実を突きつけられた気分です。ムダの排除により、デスクワークも確実にはかどりました。

   オンラインの打ち合わせについて申し上げれば、画面越しの長時間はつらいので1回のミーティングはおおむね1時間以内に抑えられ、参加者も時間を意識する傾向が強くなって要点を捉えた話を心掛ける、脇道に逸れない意識が出るといった利点を感じています。

   何より訪問ミーティングの場合は、一度の訪問でついあれもこれも済ませてしまおうと、打ち合わせがてんこ盛りになりがちなのですが、オンラインならいつでも気軽にコミュニケーションがとれるので、打ち合わせを分割することが容易な点が、大きなメリットと感じています。

テレワークだと社員は仕事をサボっている?

   逆にオンラインミーティングのデメリットは、画面を介するコミュニケーションであるがゆえの臨場感の欠如です。

   中学生の娘さんが塾のオンライン授業を受けているという弊社スタッフの話では、子供の中には自分のカメラがオンになったままマンガを読んでいる姿が写ったり、あるいは寝ている姿なども見えたり、リアルでない緊張感の欠如が目についたと言っていましたが、大人もある意味同じです。 上の空だったり、スマホをいじっていたり。マンツーマンならともかく、大人数でのミーティングの課題かもしれません。

   さて、今回止むに止まれぬ事情から多くの企業がテレワーク対応に移行したわけですが、経営者が盛んに口にしているのが管理の問題です。

   従来は、オフィスに社員を通勤させることで所定勤務時間内を社内拘束し、仕事に専念させるという行動管理が成立していたわけなのですが、自宅でテレワークとなるとそれが不可能になります。性悪説に立って考えるなら、管理者の目が届かないのをいいことに所定勤務時間内に仕事をしないでサボっているかもしれない、という疑念が生まれるわけなのです。

   この対策として、登録された自宅のパソコンが稼働しているかリアルタイムで遠隔確認できるシステムや、さらにはパソコン画面で何をしているかまで確認できるシステムが販売されていると聞きます。

   しかし、こういった拘束時間管理の考え方は、テレワークにおいてはナンセンスなのではないかと思います。そもそもテレワークは、就業人口の減少に対していかに効率を上げていくのかという命題を背負って生まれてきたシステムであり、その先にあるものは女性活躍の場を広げるための環境整備であり、社員の副業を認める他社とのワークシェアの伸展でもあるのです。

   すなわち、拘束時間管理という概念に縛られていては、テレワークは本来の目的を達し得ない、と考えるべきということになるわけです。

その業務、「成果」を評価できますか?

   ならば、管理対象は何か。それは拘束時間から「成果」という視点に移行せざるを得ないということになるでしょう。すなわち、時間ではなく「成果」が管理・評価できる業務であるか否かそこが、テレワークに移行できる業務であるか否かの分かれ道になるとも言えるのかもしれません。

   これを経営サイドに立って考えるなら、経営者自身も給与に見合った「成果」をあげてくれさえすれば、所定勤務時間などという縛りはなくてもいい、という考え方の転換が必要になってくるわけなのです。

   さらに重要なことは、企業が本格的にテレワークを導入する際に、業務の「成果」管理が重要になるということは、同時に「成果」の管理・評価がしっかりできる管理者が存在しているか、という問題にもなってくることです。

   そうなのです! テレワークをスムーズかつ有効に機能させられるか否かは、最終的には自社の管理者の能力にかかっていると言っても過言ではないのです。なぜなら、管理者がテレワークの「成果」を正当に評価できないならば、結局は時間管理に戻らざるを得ないわけで、それではテレワークのメリットを十分には享受できないからです。

   このコロナ危機を機に、今後テレワークを本格的に導入しようと考える企業がたくさん出てくるのではないかと思います。その際に、まずもって必要なことは、制度の作成ではなく、成果を管理・評価できる管理者の育成であるということ。それを理解したうえで進めないと、業務をテレワークに移行しても十分な効果が期待できないだろうということを申し上げておきます。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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