2024年 4月 19日 (金)

【コロナに勝つ! ニッポンの会社】東工大が保有特許131件を無償開放 コロナ禍社会の再起動に使って!

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   新型コロナウイルスの影響は、日本や世界中で深刻なダメージをもたらしているが、それも今は眠る「特許」で克服、あるいは吹き飛ばせるかもしれない――。

   そんな考えから、数多くの特許を持つ東京工業大学(東京都目黒区)が、「社会の再起動への貢献」を目指して保有している特許の無償開放に踏み切った。近年盛んになっているオープンイノベーションでの活用を期待しているという。

  • 東工大・大岡山キャンパスの本館(東京工業大学提供)
    東工大・大岡山キャンパスの本館(東京工業大学提供)
  • 東工大・大岡山キャンパスの本館(東京工業大学提供)

初の試み、殺菌技術やロボット技術も......

   東工大は、新型コロナウイルスの感染拡大による社会の混乱を克服すること目的に、研究・産学連携本部が「社会再起動技術推進事業」を、2020年5月1日にスタート。その活動第1弾として立ち上げたのが「お役に立てれば(Hope to This Helps:HTH )プロジェクト」と名付けた、保有特許131件の無償開放だ。東工大は7日に、その内容を明らかにした。

   研究・産学連携本部副本部長で、このプロジェクトのリーダーを務める大嶋洋一教授によると、無償開放された131件は、東工大が保有する日本特許(他機関との共有含む)のうちの9%程度で、東工大単独で保有する日本特許のうちの4割ほど。「開放の対象は企業に商用で実施されていない案件のみ。今回は、現状ですぐに対応できる本学単独の案件を選択しました」(大嶋教授)。特許の無償開放は、東工大にとっては初の試みという。

   開放対象の特許はいずれも、新型コロナウイルスの感染拡大以前に取得。したがって、コロナ対策のために開発されたものではないが、「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」の社会に貢献できる可能性を秘めたものは少なくない。

   東工大ではプロジェクト発表の際に、「プラズマを活用した包装容器の殺菌技術」や「膨大なプレゼンテーション資料に対して利用者に検索結果を効率的に提供するe-ラーニング(遠隔学習システム)技術」、「要介護者及び介護者を支援するためのロボット技術」などを、有望な候補に挙げている。

「私たちでは思いつかない使い方」を期待

   131件のリストをみると、なお興味深い案件が並ぶ。「ストレージ装置、その制御方法およびシステム管理プログラム」は、リモートワークの環境改善に効果を発揮しそうだし、「ウェアラブル臭覚ディスプレイ」は、新型コロナ感染症の対策に使えそうだ。「段差を乗り越えられる全方向移動車輪機構」のように、新型コロナとは直接に関係がなさそうでも、これからのテクノロジーの進化への貢献可能性を感じさせる。

   ウェブで用意されたリストでは、図解付きの詳しい説明とリンクしている案件もある。

   大嶋教授は、

「今回提示させていただいた特許は、感染の予防や終息、また外出自粛中や終息後の生活に、直接効果がある特許とはいえません。しかし、多くの皆さまの目に触れることで『私たちでは思いつかない特許の使い方』を考えていただけるのではないかと期待しています」

と話す。

   特許使用料の相場は、利用して行うビジネスでの売り上げの3~5%が相場。数十万円から、モノのよっては数十億円にのぼるものもある。

「コロナ汚染によるダメージは、かつて経験のないレベルの影響であり、大学も社会の一員として社会貢献をしたい、という決意を表明させていただいた」

と大嶋教授。

   東工大のホームページやSNSに、この特許の無償開放のニュースが掲載されると、いつもより多くの「いいね」が寄せられるなど、関心が高まっているという。

   特許利用の申し込み期間は、2021年2月28日まで。ウェブサイトから、特許実施許諾申込書をダウンロードして必要事項を記入、申し込むことができる。

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