2024年 4月 27日 (土)

【襲来!新型コロナ】関西解除、首都圏・北海道継続! 緊急事態めぐる知事たちの泣き笑い 大阪「花丸」、神奈川「ペケ」、東京は何点?

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   政府は2020年5月21日、新型コロナウイルス対策で東京都や大阪府など8都道府県に発令していた緊急事態宣言を、大阪府、兵庫県、京都府の関西3府県で解除した。

   東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏4都県と北海道では継続する。宣言の期限となる5月末までに解除できるかを、25日に検討する方向だ。

   ネット上では解除された関西3府県では、喜びと同時に一気に気が緩んで第2波がくるのではないかと心配する声も強い。また、取り残された関東では、足を引っ張った形の神奈川県知事に対する批判の声も。

   解除か継続かをめぐり、知事たちのリーダーシップが問われる結果となった。ネットの声を拾うと――。

  • 強いリーダーシップで解除にこぎつけた吉村洋文・大阪府知事
    強いリーダーシップで解除にこぎつけた吉村洋文・大阪府知事
  • 強いリーダーシップで解除にこぎつけた吉村洋文・大阪府知事

「足を引っ張って申し訳ない」と神奈川県の黒岩知事

   政府は5月21日午前、感染症学者や経済学者でつくる基本的対処方針等諮問委員会に解除方針を諮った。妥当との判断が得られれば、同日午後に開かれる衆参両院の議院運営委員会にそれぞれ事前報告したうえで、政府対策本部で決定する。

   主要各新聞の21日付朝刊の論調とネットの声を読み解くと――。

   5月21日まで緊急事態宣言が発令されていたのは、北海道、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、兵庫県の8都道府県。政府が解除の目安の中で特に重視したのが「直近1週間の新規感染者数が10万人あたり0.5人程度以下」という基準だ。

   これを8都道府県にあてはめると(直近1週間5月13日~19日)、神奈川県が突出して高くて0.99人、次いで北海道(0.74人)、東京都(0.60人)と続き、この3都道県が基準以上となる。

   以下、大阪府(0.34人)、埼玉県(0.30人)、千葉県(0.22人)、兵庫県(0.13人)、京都府(0.08人)はみな基準以下だ。しかし、埼玉県と千葉県は東京都と一体の生活圏、経済圏とみなされ、解除の対象外をなった。関西の3府県はみな基準以下で、かつ同じ生活圏、経済圏なので同時に解除と決まったわけだ

   ちなみにこの8都道府県の中で、神奈川県だけが前の週より新規感染者が増加しており、右肩上がりのカーブを示している。直近の5月20日の新規感染者も18人と全国2位の東京都(5人)より13人も多かった。だから、19日の首都圏4都県知事のテレビ会議で、神奈川県の黒岩祐治知事が、

「神奈川が皆さんの足を引っ張る形になっている。(それぞれの都県の)地元の経済界からは解除の要望があると思うが、考えをうかがいたい」

と謝罪すると、小池百合子都知事らから、

「私たちは一心同体です。一緒になって頑張っていきましょう」

と励まされたのだった。

   コロナ対策では全国の知事の手腕が問われているが、産経新聞(5月21日付)「本紙全国都道府県知事アンケート 緊急事態宣言40知事『効果』」が、それぞれの知事の苦悩や自信を表していて興味深い。

   各自治体が行っている感染防止策について聞くと、46人の知事が「効果があった」と自信を示したのに対し、神奈川県の黒岩知事だけがただ1人、

「新規患者が発生しており、現段階での評価が難しい」

と、自らの対策の「効果」を認めなかったのだ。

   一方、政府が4月7日に全国に発令した緊急事態宣言について、46人の知事が「効果があった」と一定の評価を示したに対し、たった1人、異を唱えた知事がいた。大阪府の吉村洋文知事だ。

「延長の際には出口戦略も示すべきだ。どちらかといえば評価しない」

と突き放したのだった。

マスクなしの大阪の子「コロナ終わったから大丈夫や」

   その吉村府知事の地元、関西は喜びの声があふれている。

「関西人で~す。お先で~す。行きつけの焼肉屋が苦しそうだったので、ひとまず営業再開できそうで良かった。自分はもうしばらく様子を見ますが、頃合いを見てお客の少ない時に顔を出してあげたい。百貨店務めの嫁も仕事が再開できそうで、生活に希望が出てきました」

   ただ、大半の人は「まだまだ、油断禁物。第2波、第3波がくるかもしれない」と浮かれていない。こんな風にコロナをまき散らしそうなアブナイ人がウヨウヨいるからだ。

「大阪の学童保育で働いています。今日、学童にきている子供がマスクをはずしてお友達とくっついて遊んでいるので、注意をすると、『もうコロナ終わったから大丈夫やで』と。びっくりしました。こんな認識で学校が再開されて危なくないのでしょうか?」
「外出自粛要請が出てからも寄せ鍋を使って宴会を開き、自分の意思でマスクをつけないと公言し、緊急事態宣言が出てからも窓のないレンタルスペースで人を集めてミニライブをしていた知り合いの70代の高齢者が、今日から営業再開した大阪城天守閣にさっそく遊びに行ってSNSで自慢していました。発令中でも遊びまわっていた人も怖いですが、今後の気の緩みで、こんな人がいっぱい出るかと思うともっと怖いです」
「ここ数日、近畿3府県解除の情報が流れてから、マスクなしで街を歩く人がどっと増えた感じです。このあとの土日の人出がどうなるかですね。百貨店も開いたことですし、梅田やなんば、心斎橋に一斉に人が溢れる気がします。居酒屋も平常通りの営業に戻るそうですから、自粛して溜まっていたモンを一気に吐き出すでしょう。新しい生活様式を守って、コロナが急激に増えないことを祈るばかりです」

林文子横浜市長、なぜメディアに現れて市民に発信しない?

首都圏の足を引っ張ったとされる黒岩祐治・神奈川県知事(神奈川県庁ホームページ2020年5月21日付より)
首都圏の足を引っ張ったとされる黒岩祐治・神奈川県知事(神奈川県庁ホームページ2020年5月21日付より)

   一方、取り残された首都圏では、神奈川県をやり玉に挙げる声が目立った。黒岩県知事と林文子横浜市長のリーダーシップに疑問を持つ声が多い。

「東京と神奈川をまたいで通勤しているが、東京から神奈川へ行くにしたがって、マスクしない人が増えているのを目に見えて実感する。特に高齢者に。新規感染者が東京より神奈川が多い理由は気の緩みだと思う。黒岩県知事と林文子横浜市長の発信力が、小池都知事に比べて弱すぎるからではないか」
「神奈川県民だけど、ウチの知事には自らの信念がまったくなく、都知事に追随するだけだから誰も期待してないよね。吉村大阪府知事のように、何かあったら俺が責任取る!的な行動ができればいいが、あれでは、自粛なんて本気でやる県民がいなくなる。神奈川だけ置いて行かれるのがさみしい」
「最近、厚生労働省の各都道府県のPCR検査の合計件数が公表されたが、東京都、埼玉県、千葉県は1万数千件とやっているのに、神奈川県は2千数百件!どういうこと? そのうち、神奈川だけロックダウンしろという事態もあり得るよ」
「医療関係者です。確かに横浜市はクルーズ船の先頭に立って、病院施設が疲労しているのは認めます。しかし今、医療用マスクが足りなくて泣く泣く感染のリスクを背負ってマスクを使い回さざるを得ない看護師さんは神奈川県内にたくさんいます。一番支援を必要としていた時に、大阪の知事は雨ガッパを送ってほしいと自らの言葉で発信しました。横浜市はありません。今、現場は必至で持ちこたえているのです」
「神奈川県で増えているといっても感染者の大半は横浜市だ。IR誘致の大都市構想、新市庁舎移転...とハコモノのときや、東京五輪の会場問題のときなどは小池都知事批判で連日メディアに顔を見せたのに、新型コロナ騒動が起こってからは全部、黒岩知事任せ。横浜市長は全国の市長の中で一番報酬が高いはず。それでいてまったく外部発信をしていない。目立たなすぎてマスコミも取り上げない。だから、横浜市内のクラスター問題があまり話題にならない。かなりおいしい立ち位置だ」
「横浜市民です。市長は雲隠れです。PCR検査数も陽性の患者数も信用できません。むしろ今解除されても不安しか残らないので、今回、解除されなくて安心しました。子供がいるので学校再開も心配です。自分の住んでいる街の行政を信じられないというのがいかに悲しいか、思い知らされました」

   横浜とその周辺がいかに危険な状態になっているか、運転手がこう証言する。

「運送業で横浜市内の港湾地区とみなとみらい地区周辺の配送をしています。休業になった赤レンガ倉庫やコスモワールドなど観光施設の周辺は中高生が群れをなして毎日出歩いています。鵠沼海岸や江ノ島にも県外から大勢来ています。スーパー内のフードコートでも午前中から中高生と高齢者がヒマそうに密集しています。神奈川県が日本で最も感染者と死者の多い県になってしまうのは時間の問題かもしれないと思うようになりました」

   一方、東京都も今回のコロナ禍を契機に、首都の在り方を考え直すべきだという意見が目立った。

「これを機に一極集中を考え直したらどうだろう。最近、関東で頻繁に地震が起こっている。いつ南海トラフや首都直下の震災がやってくるかわからない。東日本大震災のときですら東京は蚊帳の外で何も変わらなかった。パンデミックは大都市ほど直撃だから、今回を機にせめて本社機能は3割までとか、東京に本社を置いたら税金10倍とか、大胆な政策を打ち出してほしい」

   いずれにしろ、首都圏の解除は東京よりも神奈川県の問題がネックになりそうだ。

コロナ後の首都の在り方に期待したい小池百合子都知事(東京都ホームページ2020年4月23日付より)
コロナ後の首都の在り方に期待したい小池百合子都知事(東京都ホームページ2020年4月23日付より)

北海道は16県分の広さ、分割して解除してほしい

第2波到来でも道民の信頼が厚い鈴木直道・北海道知事(2020年3月撮影)
第2波到来でも道民の信頼が厚い鈴木直道・北海道知事(2020年3月撮影)

   さらに、「コロナの第2波が来た」といわれる北海道は、いつ解除になるのだろうか。そもそも、どうして北海道は再び感染者は増えたのだろか――。北海道民がこう証言をする。

「医療関係ですが、第2波は、3月中旬から下旬にかけての東京や関西からの避難(主に学生の帰省)によって起きたという感覚はあります。来るぞ~、来るぞ~絶対来る、あーやっぱりきた!という感じでした。小池都知事が東京のロックダウンを言い始めたころ、かなりの人が関東方面から入ってきました。現在、患者数が多いのは、病院や老人施設のクラスターです。第2波の半分前後が千歳と札幌で生じたクラスターとその濃厚接触者です」
「鈴木直道北海道知事の英断と道民の努力で第1波を封じたにもかかわらず、関東、関西のピーク時に、『コロナ疎開』の人々がかなり沈静化した北海道を往来したのです。感染者を羽田で阻止すべきだと、鈴木知事が何度も政府に懇願したのに、何の策も講じられなかったのです。結果、第2波の実験地区になってしまいました。今回の関西圏の解除で、これを他県も学んでほしいです」

   ところで、北海道に他県にはない別の大きな問題がある。地域が広すぎることだ。現在、札幌がクラスター状態だが、北の稚内方面には感染者はいない。それでも北海道全土を一律に「非常事態宣言」を発令したままでいいのか、という声が多い。

「北海道の広さってどのくらいか知っていますか。九州8県と中国地方5県、四国3県(徳島県をのぞく)を合わせた広さより大きいのですよ。地域によっては感染者が2、3人で、札幌からの距離が東京から福島以上に離れて、人口密度なんてスッカスカ、人間よりキツネに出会うことが多い地域もある。それなのに『北海道』というだけで、メッチャ制限される。北の稚内の酒場まで自粛させられるのはおかしいと思う」
「もし北海道が5月31日までに解除できずに再延長されるなら、面積を考えたら道内一括じゃなくてもいい。新規感染者数が多く集中している札幌市とその周辺地域と、それ以外の道内とを分けて解除を検討するべきだと思う」

(福田和郎)

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