2024年 4月 19日 (金)

【決算ウォッチ】日産、6712億円巨額赤字のショック!「脱ゴーン」を急いでコロナで火だるま、救世主は現れるか?

新型車を開発せずに旧車を値引き販売、ブランドに傷が

カルロス・ゴーン被告(2014年撮影)
カルロス・ゴーン被告(2014年撮影)

   カルロス・ゴーン被告が行ってきた拡大路線の「後遺症」という日産独自のお家の事情を指摘するのは、朝日新聞の「『ゴーン路線』引きずり窮地」という記事である。

「内田誠社長は記者会見で新型コロナの影響に加え、『日産固有の事情』にも言及せざるを得なかった。拡大志向のゴーン前会長が長年率いてきた日産は近年、新興国を中心に生産能力を増強する一方、クルマのモデルチェンジを控え、古い車種が増えた。それを値引きして売る無理な販売活動を続け、ブランド価値は地に落ちた。そこへ前会長が逮捕される『第二のゴーンショック』が加わり、業績不振に歯止めがかからず、悪化した」

というのだ。

   販売低迷に陥ったきっかけは、新車開発費を抑え、魅力あるクルマを造る力が落ちていることが背景にある。2020年3月期の販売台数は、日本で前年度より10%減、米国14%減、欧州19%減。主な地域で2ケタ減となり、唯一好調だった中国でさえ1%減と下落に転じたのだ。世界全体では11%減の493万台に落ち込んだ。

   日本経済新聞「日産、改革遅れコロナ直撃 財務脆弱、日仏連合カギ」も、ゴーン被告の拡大路線で膨らんだ生産体制を、新型コロナウイルスの影響による需要減が直撃した問題を主に財務面から明らかにしている。

「ゴーン被告が進めた拡大路線の修正に手間取っていたところに新型コロナが直撃、抜本改革を迫られた。(ゴーン前会長による)前回までの改革ではコスト削減と海外成長でV字回復につなげた。今回は止血の先の成長に欠かせない財務体力に不安が残る。(ルノー、三菱自動車との)日仏3社連合をうまく生かせるかがカギになる」

と指摘した。

   日本経済新聞も、読売新聞と同様に、業績悪化の原因は「コロナより事業戦略の失敗」と説明した。

「新興国で生産を増強したが稼働率が低迷した。米国での値引き販売の傾斜でブランド力が落ちた。2018年のゴーン被告逮捕による経営の混乱で時間を空費した。北米での販売奨励金の見直しが進まず、売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)に新型を投入できなかった。仏ルノーとも経営の主導権を巡って対立した...。」

   結局、あれやこれやが重なって、財務体力を消耗してしまった。資金力は他社に比べ、見劣りする。2020年3月期末で有利子負債は自己資本の1.9倍と、1倍以上も他社より高いのだ。これはリーマン・ショック前の2008年3月期より悪い数字だ。

   日本経済新聞が続ける。

「今後の資金調達に不安が残る。格付け会社ムーディーズ・ジャパンは日産を格下げ方向で見直している。格下げされれば日銀の社債購入対象外になるとみられる。『大きな規模の起債は難しい』(銀行系運用会社)との声がある。弱い財務基盤を補完するのは仏ルノーや三菱自動車との3社連合だ」
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