2024年 4月 20日 (土)

仕事の「学び」転換期 リモートネイティブ世代に「人間力」は足りているか?(高城幸司)

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   今年(2020年)は新入社員の導入研修がリモートで行われました。おそらく初めての取り組みに会社も戸惑っていましたが、受講する新入社員も同様であったかもしれません。

   職場環境に慣れてもらうためのプロセスとして行う部分である集合研修をオンラインで開催。在宅でパソコンから講義を受けたり、Zoomのブレイクアウトルーム機能やGoogleのオンラインホワイトボード「Jamboard」を活用したりして議論するグループワーク研修も実施されました。昨年までとはまったく違った形態で導入研修行われたことでしょう。

  • 今後ますます増えるリモート研修。でも、不安もある?
    今後ますます増えるリモート研修。でも、不安もある?
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入社式に懇親会、辞令もリモート

   すでにリモートで行われた研修のことが、ネット上には数多く紹介されていますが、人事部のみなさまは大変であったことでしょう。おそらく、研修の準備を始めた昨年末くらいには、誰も想定していなかった「コロナ災害」。ここまで仕事の学び方が転換することになるとは、劇的な変化に遭遇することになったことでしょう。

   そんな今年の入社組は、「リモートネイティブ世代」と呼ばれているようです。導入研修だけでなく、入社式もリモートで開催。知人が経営するネット系企業では、新入社員を経営陣が自宅から歓迎のコメント。社長は会社に出社して応接室から「エア・辞令」を交付していました。

   入社前には、セットアップしたノート型パソコンを配送されており、入社式への参加や導入研修の受講も自宅で行われたようです。ハレの機会なのでホテルの宴会場とかで行うほうがうれしい気もしますが、環境が許さないので仕方ない対応ともいえます。

   さらに同期入社組との懇親も、リモート飲み会。配属先の上司との対面までリモートとなった職場まであるようです。おそらくは今後の働き方も、リモートが占める部分が大きくなることでしょう。

   今後の成長過程に大きく注目していきたいですね。

接客や営業職には「人間力」が欠かせない

   そんなリモートネイティブ世代も、コロナが落ち着けば対面での仕事が増えてくることでしょう。ここで気になるのは、「人間力=ヒューマンスキル」の育成が不足している可能性です。

   ヒューマンスキルと米国の経営学者R. カッツが提唱したもので、他者との良好な人間関係を構築し、円滑なコミュニケーションを可能とするスキルのこと。 この点に関してはリモート型ですと実施が難しいので、身に付けることなく配属されることになるでしょう。

   昨年までなら、導入研修の合間に人事部や講師にやってきた先輩社員との雑談で、

「どんな保険に入っているのですか?」
「スートはどこで買うのですが?」

と簡単な質問を通じて、社会人としてのコミュニケーションを身に付ける機会があります。これがないままだと、対人関係が重要となる、接客や営業職として仕事をスタートさせるには少々不安を感じてしまいます。

   なので、社会人の先輩たちとリアルに交流する機会は、別途セットしていくべきでしょう。そうした機会に、先輩から社会人として大事にして欲しいことを伝える。新入社員は先輩からいただいた金言をしっかり受け止めることで、大きな成長の機会になる気がします。できれば、飲み会ではなく討議する機会にするといい気がします。

   リモートネイティブ世代に、早々に活躍していただくため、いろいろ応援していきましょう。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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