2020年 8月 10日 (月)

【日韓経済戦争】日本企業「資産の現金化」でガチンコ最終バトルに?! ルビコン川を渡る文大統領に安倍首相が用意した報復の中身

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   日本と韓国の激しい対立の引き金になっている徴用工裁判をめぐる問題で、韓国の裁判所が差し押さえた日本企業の現金化をはかる手続きを一気に進めることが明らかになった。

   韓国の公共放送KBSが2020年6月3日、「相当期間止まっていた資産売却手続きが急激に進む」と報じたのだ。

   仮に資産が売却されたら、日本側が強力な報復措置に出るのは必至で、日韓の対立はガチンコの全面戦争に突入する。いったいどうなるのか。日韓のメディアの論調から読み解くと――。

  • 日本企業の資産現金化を報じる中央日報(2020年6月4日付)
    日本企業の資産現金化を報じる中央日報(2020年6月4日付)
  • 日本企業の資産現金化を報じる中央日報(2020年6月4日付)

日本側が1年5か月も裁判所命令を無視できた不思議

   徴用工裁判の被告企業、日本製鉄(旧・新日鐵住金)に対する差し押さえた資産の現金化の動きを報じるのは、中央日報(2020年6月4日)「韓国裁判所、日本製鉄の資産差し押さえ...売却手続きにまた一歩」だ。

「韓国の裁判所が、強制徴用被害者に対する大法院(最高裁判所)の賠償判決に従わないでいる日本企業に対して、資産売却のための事前手続きに入った。大邱(テグ)地方法院浦項(ポハン)支院は、日本製鉄に韓国人強制徴用被害者賠償のための資産差し押さえ書類などを公示送達したと6月3日、明らかにした。公示送達期限である8月4日午前0時を越えて日本側から何の反応がない場合、押収した日本製鉄の国内資産に対して現金化命令を下すことができる」

   そして、こう続ける。

「茂木敏充外相はこの日、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と行った電話会談で、資産現金化問題に対して『深刻な状況を招く』と警告した。日本は資産現金化措置に対応して韓国に対する金融制裁、韓国側資産の差し押さえ、韓国製品の関税引き上げなどを2桁の報復措置を準備していると日本メディアがこれに先立ち報道した」

と、一触即発の状況を伝える。

   韓国大法院は2018年10月に強制徴用被害者4人が新日鐵住金を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で会社側に被害者1人あたり1億ウォン(890万円)ずつ賠償金を支給うよう命じる確定判決を下した。代理人団は確定判決に基づいて浦項支院から日本製鉄が保有している株式97億3970万ウォン(約8億7300万円)の差し押さえ命令を受けている。

   ただし、手続きを進めるには被告の日本側に決定命令を送り、受領したという証明がなければならない。ところが、日本の外務省と日本製鉄は昨年(2019年)2月以来、何度も送達要請書を受領したのに、韓国側に送り返し続けたのだった。つまり、判決が確定してから1年5か月の間、日本側が命令書を無視し続けたから現金化ができなかったというわけだ。

   そこで、裁判所は「公示送達」という手続きに踏み切った。これは裁判所が「書類を裁判所が保管しているから、受領せよ」と知らせるもの。書類をホームページ上などに公開掲示した後、一定期間が過ぎれば訴訟当事者に書類が伝えられたとみなす。その期限が8月4日というわけだ。1年5か月もの長い期間放置せずに、最初からそうすればよさそうなものだが、そこには文在寅(ムンジェイン)大統領政権の「政治判断」が働いたと、日本と韓国メディアの多くがみている。

また、文政権お得意の「やるやる詐欺」か?

文在寅大統領はルビコン川を渡るか?
文在寅大統領はルビコン川を渡るか?

   時事通信(6月4日付)「動かない日本に不満 韓国政府」が、こう伝えている。

「韓国政府が6月2日、日本政府の輸出管理強化に関し、世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表したのは、一向に措置撤廃へと動かない日本に不満を募らせたためとみられる。そして最大の懸案である元徴用工問題が進展せず、措置撤廃に動かない日本に対し、しびれを切らし始めた。文在寅大統領は昨年8月、『日本に二度と負けない』と語った。輸出管理強化から1年となる今年7月までに事態が動かなければ、国内で政権批判が高まる恐れもあった」

   韓国では現在、従軍慰安婦支援団体の資金流用問題で大揺れに揺れている。特に巨額の横領が明かになった支援団体の代表者だった人物が、今年3月の総選挙で文政権の与党・共に民主党から出馬して当選したからたまらない。文大統領への批判が殺到して、総選挙時には80%台だった支持率が50%台に下落した。

   だから、「慰安婦」に代わるもう一つの「反日」材料である徴用工カードを切ってきたという見方もできるのだ。

   しかし、時事通信はこう続ける。

「日本政府関係者は『大統領府中枢で現状を好まない考えを持つ人物がいたのではないか』と推測する。ただ、韓国側は『日本との対話は続けていく』(大統領府高官)と柔軟な構えも示している。韓国がどこまで強硬な姿勢に踏み出すか日本側も見極める考えだ」

というから、また例によって文政権お得意の「やるやる詐欺」のようなものなのだろうか。

   NHK(6月4日付)は、「『徴用』めぐる裁判 韓国の裁判所 資産売却命令8月以降検討か」で、日本政府側のクールな反応をこう伝える。

「外務省幹部は6月3日夜、『韓国側も、現金化したら大変なことになることは理解していると思う。今後も外交当局間で緊密に意思疎通を図っていきたい』と述べた。また、別の幹部は『日本としては、韓国政府の責任で国際法違反の状態を是正するよう、引き続き求めていくことに変わりはない』と述べた」

   韓国メディアも文政権が本当に現金化に踏み切るかどうか、やや懐疑的だ。朝鮮日報(6月4日付)「『日本企業強制徴用』残る1件も賠償手続き開始」が、こう伝える。

「今回の公示送達決定は、韓日関係が悪化している中で最も裁判の進度が遅かった李春植(イ・チュンシク)原告の件でも賠償手続きが開始されたという点では意義がある。ただし、裁判所関係者は『韓日関係の特殊性を考慮すると、公示送達期間が過ぎたからと言って、裁判所がイ・チュンシク氏の件に対してだけすぐに売却命令を下し、手続きを進めるというのは容易ではないだろう』と見ている」

   裁判所だけではなく、高度な「政治判断」が絡んでくるというのだ。

韓国側がもっとも恐れる報復措置9項目は

韓国への報復で支持率アップを図る(?)安倍晋三首相
韓国への報復で支持率アップを図る(?)安倍晋三首相

   ところで、もし文政権が「差し押さえた資産の現金化」というレッドライン(外交・軍事上の越えてはならない一線)を越えたら、日本側はどんな報復に出るのだろうか――。

   ここに興味深い分析の記事がある。ジャーナリストでコリア・レポート編集長の辺真一(ピョン・ジンイル)氏が、コリア・レポート・オンライン版(2019年5月3日付)に発表した「徴用工問題での日本の『報復措置』に戦々恐々の韓国」という見出しの記事だ。韓国大法院で、徴用工判決が出てから7か月後に書かれた。辺真一氏は日本政府が用意している報復のラインナップを、こう紹介している。

「仮に日本がレッドラインとみなしている資産売却が行われれば、韓国は日本からそれ相応の報復措置を覚悟しなければならない。すでに麻生太郎財務相は3月12日の衆院財務金融委員会で『関税、送金の停止、ビザの発給停止とかいろいろな報復措置があろうかと思う』と述べていた。菅官房長官は報復措置について『手の内を明かすことになる』として言及しなかったが、韓国側が想定しているのは、以下の9項目である」

として、辺真一氏は

(1)駐韓日本大使の召還
(2)国際司法裁判所(ICJ)への提訴
(3)日本国内の韓国企業の税務調査強化
(4)韓国人の本国への送金規制
(5)韓国製品への関税強化
(6)貿易保険の適用から除外
(7)韓国への部品、素材の輸出中断
(8)韓国のTPP加入拒否
(9)韓国人の入国ビザの審査強化

の9項目をあげた。

   そして、この中で韓国が最も恐れ、警戒しているのが、(7)の韓国への部品、素材の輸出中断と、(5)の韓国製品への関税強化であるという。(7)の部品、素材の輸出中断は、まさに記事が書かれた2か月後に日本政府の輸出規制として実行に移された。辺真一氏はこの記事の中で、具体的な品目まで予想していた。

「主力輸出品である半導体、平面ディスプレイ等は日本製の中間財(部品や素材)と資本財(製造機械)に依存する構造にあり、日本にとって代わる国は他にない。韓国への輸出がストップすれば、韓国が被るダメージは大きい。特に韓国にとって最も辛いのは、半導体製造に欠かせないフッ化水素など核心素材と部品の韓国への輸出が規制されることである」

   そして、こう結んでいるのだ。

「日本の報復措置は『日韓貿易戦争』を招き、韓国で黒字を出している85%の日本の韓国進出企業にも相当なダメージを与えることになる。文在寅政権がこのまま対処しない場合、返り血を浴びてでも『伝家の宝刀』を切るのか? 安倍政権の『本気度』が試されることになりそうだ」

   確かに返り血を浴びる結果となったが、この記事のとおりの「日韓貿易戦争」が、さらに激しさを増しそうだ。となると、この記事から次に日本が報復で打つ手は――。

(福田和郎)

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